高川学園FW山本吟侍[写真]=吉田太郎
「もちろんプロサッカー選手になるのが一番の夢なので、大学のサッカーにつなげるためにも、6年間、または3年間やってきた仲間のためにも、自分のゴールで。インターハイも得点王になれなかったので、全国高校サッカー選手権大会こそは得点王になって、また代表や高校選抜に入りたい」
高川学園の“エース”でU-17日本代表候補のFW山本吟侍(3年)は、自分のゴールで高川学園中から6年間、また同校での3年間一緒に過ごしてきた仲間たちを喜ばせ、自身の将来にもつなげる意気込みだ。
180センチ、75キロという恵まれた体躯を活かして前線でタメを作るほか、正確なワンタッチパスで攻撃を加速させる。ゴール前ではGKにも競り勝つような高さを発揮。そして、U-16日本代表候補合宿で直接フリーキックを決めたこともあるように、シュートの精度、強さも魅力だ。
一見、肉体派のストライカーのように映るが、ゴール前での巧さをより感じさせるフィニッシャーだ。「結果を残さないと上にいけない」との思いを持って、磨き続けてきた得点力は注目。今夏のインターハイでは初戦で2ゴール、2回戦でも先制点を決め、チームを16強進出へ導いた。また、負傷明けで出場時間を制限された選手権山口県予選も準決勝で2ゴール。決勝でも1ゴール、1アシストの結果を残している。
今年はJクラブの練習参加も経験。日常の過ごし方やより高い強度などを学び、それを自身の日常に取り入れてきた。関係者たちから高評価も得ていたが、本人は将来、即戦力としてプロへ進むために大学進学を決意。高卒でプロ入りする選手たちに比べると、選手権での注目度は低いかもしれない。それでも、MF佐藤大斗(3年)やFW田坂大知(2年)、MF松木汰駈斗(2年)、DF藤井蒼斗主将(3年)ら、多彩なチャンスメーカーたちのサポートを受けながらゴールを連発し、大会の主役になる可能性は十分にある。
初戦の対戦相手は、優勝候補の一角で清水エスパルス内定のFW郡司璃来を擁する市立船橋(千葉)。同じAブロックには尚志(福島)の京都サンガF.C.内定のMF安斎悠人がいるほか、高川学園初の日本一を勝ち取るためには、ライバル校のJクラブ内定選手にも勝っていかなければならない。山本は「やっぱりプロ内定している選手たちがいる中で、自分もプロに行けば良かったかなという思いも出てくる」と明かしていたが、「自分の選んだ道」が正しかったことを証明するつもりだ。
現時点でもJクラブ内定選手に負けていないこと、上回る力があることを示し、高川学園を初の日本一へ導いて選手権を終える。
取材・文=吉田太郎
By 吉田太郎