広島国際学院・野見明輝[写真]=金田慎平
第102回全国高校サッカー選手権大会の開幕戦が28日に行われ、広島国際学院(広島)が早稲田実業(東京B)に2-0で勝利した。この試合で先制点を決めた広島国際学院の“エース”FW野見明輝が、メディアからの取材に応じた。
選手権初出場の広島国際学院の選手たちにとって、国立競技場という大舞台はもちろん初めて。ただ、エースの野見は緊張しつつも冷静だった。
「スタジアムが広いので奥行きが広いので、慣れるまで時間がかかるかなと思っていました。最初の15分間で相手にやられるかなと思いましたけど…」
試合の立ち上がり、広島国際学院は後方でのミスが目立ち、早稲田実業にカウンターから2度の決定機を許した。GK片渕竣介のビッグセーブで失点こそ免れたが、決まっていれば試合はまた違う結果になっていただろう。
「僕もやられたと思いました。GKのおかけでなんとか守ることができたので良かったです。(あの時間帯は)すごく怖かったです(笑)。早稲田実業さんは、都大会の決勝で早い時間に先制点を取って、そこから5バックで守りを固めていたので、自分たちも先に先制点を奪われると厳しいなと思っていました。そこでGKがなんとか防いでくれて…。ヒヤヒヤしていました。前の方の選手たちは顔を合わせて『ヤベェ…』って言ってましたね(笑)」
ピンチを凌いだ広島国際学院は、野見のスピードを活かしたロングボールでチャンスをつくる。徐々に試合の流れを引き戻すと、28分には先制点を奪う。相手陣内左サイドでスローインを得ると、島川翔汰がロングスローと見せかけて、近くに寄った岡田康誠にスロー。岡田が入れたクロスを長谷川蒼矢が落とし、最後は野見がヘディングシュートでゴールネットを揺らした。得点場面を振り返り、野見はこう語る。
「自分たちはスローインが強みだと思っていますし、今日のようなゴールを自分も決めることが多いです。スローインの調子も良かったので、(ゴールは)狙っていました」
狙い通りのゴールだと明かした野見。実は「大会初ゴールを決めたい」と試合前にチームメイトに話していたとのこと。「有言実行することができて良かったです」と笑顔を見せ、「ヘディングはあまり得意ではないですが、折り返しの場面では、感覚的に『このあたりにボールが来るかな』というのがあるので、それを狙っていました」と満足げだった。
対戦相手が東京B代表の早稲田実業だったこともあり、国立競技場に駆け付けた応援の人数は、広島国際学院の方が少なかったかもしれない。ただ、逆境をモチベーションに変えられる野見にとっては好都合だった。「自分は強いユースやジュニアユースに入ったことがないんです。いつも『下から上を喰う』感じでやってきました。だから、アウェイの舞台は好きなんです」と、大胆不敵な笑みを浮かべた。
「自分たちは夏のインターハイで全国大会に初出場したことで歴史を変えることができました。ただ、1回戦で敗退してしまい、新しい歴史を創ることができませんでした。だから、冬の選手権では、絶対に1回戦を突破したいと思っていたなかで、開幕戦に当たったので…(笑)すごくいい舞台だなと思いましたし、自分たちの学校だけでなく、大会の歴史にも残る試合だと思うので…。最高です!」
夏のインターハイで全国大会初出場、冬の選手権で全国大会初勝利を飾った広島国際学院。ただ、エースの野見はまだまだ大会を終えるつもりはない。
「今日の出来は、10点満点でいえば、7点くらいです。裏に抜けた後、自分がスピードを上げれば良かったところで上げられず、相手に追いつかれて、ブロックされたり、シュートを打てなかったところがありました。チャンスを無駄にしていては、次の試合で負けてしまうので、次からは修正していきたいです」
野見の活躍などで2回戦進出を決めた広島国際学院は、31日に浦和駒場スタジアムにて、静岡学園(静岡)と明徳義塾(高知)の勝者と対戦する。
By サッカーキング編集部
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