市立船橋FW郡司璃来 [写真]=小林渓太
第102回全国高校サッカー選手権大会・1回戦が29日に行われ、市立船橋(千葉)は高川学園(山口)に4-1で勝利。この試合でハットトリックを達成した清水エスパルス内定のU-18日本代表FW郡司璃来がメディア取材に応じた。
主役は市立船橋の“エース”だった。試合開始からわずか7分、左サイドの深い位置でボールを受けた郡司は、相手を華麗にかわして中に切れ込み、思い切り右足を振り抜く。強烈なシュートはGKのニアサイドを鋭く射抜き、ゴールネットに突き刺さった。郡司は先制点をこう振り返る。
「カットインしたとき、少しボールが浮いたんですけど、2タッチ目でうまく良い場所におけて、シュートはニアをぶち抜いて、良いコースに行きました。ファーサイドを狙ってふかすことが多かったので、ニアの方が決められるなという感じでした」
勢いの止まらない市立船橋は、先制点からわずか3分後に追加点を奪取。キャプテンの太田隼剛がペナルティエリア内で相手のハンドを誘発して、PKを獲得。このPKを郡司が冷静に決めて、2点差に広げた。
「高校に入ってから外している回数が多かったんです(笑)キャプテンに任せられたPKだったので、『絶対に決めないと』と思っていました。決められて良かったです」
その後、高川学園に1点を返されるが、後半開始早々に相手のミスから久保原心優が追加点を奪取。そして、3-1で迎えた61分、太田のピンポイントのクロスに合わせたのは、またしても郡司だった。抜群の得点感覚でこの日、3点目を決めてハットトリックを達成。本人が「少ないチャンスで決めきれた3点」と語るように、圧倒的な違いを見せつけた。
「ハーフタイムに話して、ボールを持ったら僕のことを見てくれると言っていましたし、練習でもああいう形で決めていました。隼剛とは『ホットライン』があるので、自分があとは決めるだけでした」
注目が集まる選手権の初戦でいきなりのハットトリック達成となったが、本人は至って冷静だった。「普通じゃないですかね?(笑)」と飄々と語り、「どれだけ注目されていても、自分のプレーをしないといけないと思いますし、緊張感のある中で、どれだけできるかだと思っています」と話した。大舞台にも関わらず物怖じしないメンタリティは瞠目に値する。
「自分も緊張している部分はありました。ただ、緊張に左右されず、自分たちのプレーができたら絶対市船は強いと思っていました。落ち着いてプレーできたのが良かったと思います」
選手権初戦という舞台でも堂々とプレーできたのは、これまで積み上げてきた練習の成果に他ならない。郡司も「練習すればうまくなる」と、練習の重要性をあらためて語る。
「誰よりも長く自主練をしている自信がありますし、GKが届かないコースに蹴れば入ると思うので、そういった練習はしてきました。自主練は止められても、何本かは絶対に蹴りに行きます。止められるまでやっています」
郡司が自主練に熱を込め始めたのは、3年生に入ってから。もともと「練習よりも試合が好きで、昔は練習が嫌いだった」というが、『もっと点が決めたい』という強い思いが芽生え、意識的にシュート練習を始めたという。
「1年生から2年生に上がっても、得点数や取れる感覚が変わらない感じがあったので、物足りないなと思って、3年生に入ってから意識が変わりました。高円宮杯プレミアリーグEASTで2桁得点を取りたいと強く思って、シュート練習を始めました」
練習の成果を発揮して3得点を決めた郡司は、自身の目標にまた一歩近づいた。
「得点王は狙っていますし、日本一を獲ってからエスパルスに合流できたらいいなと思っています」
郡司を擁する市立船橋は、31日に県立柏の葉公園総合競技場にて、2回戦で帝京長岡(新潟)と対戦する。
By サッカーキング編集部
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