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「見ていて面白い」攻撃的なパスサッカー 日大藤沢が県勢初の選手権制覇を狙う

2023.12.30

攻撃的なパスサッカーを志向する日大藤沢[写真]=吉田太郎

 日大藤沢が神奈川県勢初の日本一を目指し、全国高校サッカー選手権大会に臨む。

 神奈川県は全国トップクラスの激戦区。今夏のインターハイでは、第1代表の桐光学園が準優勝し、第2代表の日大藤沢も3位に食い込んだ。夏の全国大会ベスト4のうち、2チームがいるだけでも選手権予選は厳しい戦いが予想されたが、その一角である桐光学園が準決勝で名門・桐蔭学園に敗戦。日大藤沢も慶應義塾との準々決勝で、試合終了10分前までリードを奪われていた。

 加えて、伝統校の湘南工大附(旧相模工大附)や東海大相模など、力のあるチームが争った神奈川県内の戦いだが、日大藤沢が2年連続7度目となる優勝を果たした。佐藤輝勝監督が「本当、神奈川の場合はどこが出てきても、素晴らしいチームが多い」と語る混戦を制し、同校にとって初の選手権予選連覇を成し遂げた。

 激戦区を突破した日大藤沢は、今回の選手権の有力校の一つだ。J2の水戸ホーリーホックに内定しているDF尾野優日(3年)は、今大会屈指の攻撃的左サイドバック。昨年から『10番』を背負うMF安場壮志朗や直接コーナーキックでの得点にも注目のレフティー・DF宮崎達也、188センチの大型GK野島佑司(いずれも3年)をはじめ、各ポジション充実の選手層を誇る。U-17日本代表の2年生MF布施克真でさえも、主将のMF佐藤春斗(3年)や神奈川県予選決勝で決勝点を決めたMF荻原大地(3年)とのボランチ争いを勝ち抜かなければピッチに立つことができないほどだ。

 チーム全体の技術力が高く、ボールも、人も動くスタイルの攻撃で主導権を握る。その一方、インターハイではいずれも高円宮杯プレミアリーグ勢の米子北(鳥取)と市立船橋(千葉)に球際のバトル、運動量の部分でも上回って連破。尾野は「日大藤沢はパスサッカーで、見ていても面白い攻撃的なサッカーをしたい。日大藤沢の攻撃的なスタイルを変えずに全国制覇したいと思っています」と語るが、相手の土俵で勝てることも証明済みだ。

 その日大藤沢は、神奈川県にとって悲願の選手権制覇が期待されている。神奈川県勢は2011年の桐蔭学園、2012年の三浦学苑、2019年の桐光学園がインターハイで日本一。また2017年の日大藤沢、2018年と今年の桐光学園がインターハイ2位となっている。また、U-16で争われる国体少年男子の部で神奈川県選抜は最近開催された8大会のうち、4大会で優勝。神奈川県の高校年代は全国舞台で強さを発揮しているが、選手権の決勝進出は1950年度の小田原とMF中村俊輔(現:横浜FCコーチ)を擁した1996年度の桐光学園だけで、日本一は一度もない。

 今回の日大藤沢は、近江(滋賀)との初戦(2回戦)から厳しい戦いとなりそうだが、主将の佐藤は「日大藤沢として、また神奈川県として初の日本一になれるように良い準備をしていきたい」と意気込んだ。得意とするパススタイルや粘り強い守備でもライバルたちを上回り、今冬、神奈川県の歴史を変える。

取材・文=吉田太郎

By 吉田太郎

サッカー専門媒体を中心に、主に育成年代の取材活動を展開。

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