近江の前田高考監督[写真]=金田慎平
第102回全国高校サッカー選手権大会・準決勝が6日に行われ、近江(滋賀)は堀越(東京A)に3-1で勝利し、決勝進出を決めた。試合後、近江の前田高考監督が記者会見でメディアからの質問に回答した。
初の決勝進出を決めた近江の前田監督。準決勝の前日には「堀越さんの映像を朝方まで見て」分析したという。
「徹夜まではいかないですけど、僕らは初めて選手権で勝ち上がらせてもらったので、起きているのか寝てんのかわからないような感じで。これから決勝に向けての準備が始まりますけど、もう途中から夢なのか現実なのかわからない状態です」
決勝進出はまさに夢心地。準決勝では試合開始から22分間で近江が3点を奪い、圧倒する展開となったが、これも前田監督にとって予想外のことだった。選手たちの恐れを知らない堂々としたプレーぶりに驚いたという。
「別に『前半やめとけよー』と普段言っているわけではないんですよ?(笑)。聖地・国立競技場の雰囲気で、(選手たちが)ノっちゃったんじゃないですかね?ビックリしていますよ、スタッフも。『入っちゃうの?!』って(笑)。準々決勝の神村学園戦も、後半に15本シュートを打って3点だったんですよ。だいたい5本に1本しか入らないし、これがいきなり直るわけじゃないので『打ちまくろうや』って言っていたら…。なんか今日は入ってビックリしちゃって。逆にハーフタイム何言おうかなとめっちゃ迷って(笑)今日はそっちで来たか…と(笑)」
喜びを素直に語ってくれた前田監督。大会を通して、選手たちの成長をすごく感じているという。
「たぶんですけど、国立競技場(の凄さ)にピンと来てなかったと思うんですよ。僕も一緒です。聖地と言われていますけど、あまりそういう感覚がなかったんです。実際に国立に着いて、青森山田さんと市立船橋さんの第1試合をやっているときに入ってみたら、『やっぱすげぇな、これ!』ってなって、『やっぱ聖地なんや…』って逆にビックリしました。やってみないとわからないんだなと思いましたね。もちろん、前半は雰囲気に飲まれている部分もありましたけど、選手たちはこの大会で成長させていただいて、彼らももしかしたら夢の中にいるような感覚かもしれません」
夢のような時間を過ごし、決勝まで勝ち上がってきた。ここまで来れば、もうあとは最後に夢を現実にするだけ。目標は優勝のみだ。
「どうせ夢の中に入っているのなら、そのまま夢の中に入っとこうと思っています(笑)。そしたら、なんか出てくるんちゃうかなと(笑)。よくわからない状態ですけどね(笑)」
近江のチームスローガンは「ビー・パイレーツ(海賊になれ)」。決勝では高円宮杯プレミアリーグ“王者”の青森山田に挑み、選手権優勝のトロフィー奪取を目指す。
取材・文=高橋羽紋
By 高橋羽紋
2023年からWebサッカーキング編集部に勤務