試合の流れを変えた前橋育英のMF白井誠也(2年)[写真]=金田慎平
前橋育英の2年生MF白井誠也が圧巻のドリブル突破で試合の流れを引き寄せた。
第103回全国高校サッカー選手権大会の準決勝が11日に行われ、東福岡(福岡)と前橋育英(群馬)の優勝経験校対決は、7大会ぶり2度目の全国制覇を目指す前橋育英が1-3で勝利し、決勝進出を決めた。
前半は今大会無失点を誇る東福岡の堅守を崩せず、シュート0本に抑え込まれた前橋育英。しかし、後半の立ち上がりにFW佐藤耕太の献身的な守備からボールを奪って追いつくと、その後の10分間に2点を加えて一気に試合をひっくり返した。その逆転劇を牽引した選手のひとりが、後半頭から投入された161センチの“ドリブラー”白井だ。
前橋育英の山田耕介監督は試合後、「前半の終わり頃にやっとテンポとリズムが出てきて、このまま0-1でいければ後半はなんとかいけるかなと思っていた」と振り返り、「途中から出ると切れ味の良いドリブルがあるので、それで打開できると思った」と、これまでも度々流れを変えてきた白井を投入した理由を明かした。
送り出された白井も「チャンスがあれば、しっかり仕掛ける。ボールの方に集まってくるので、簡単にボールを離して相手を寄せて逆サイドに変えるというのを意識していた」との言葉通り、素早い仕掛け出しとドリブルで的を絞らせず、局面を打開していく。そして圧巻だったのが58分、素早いトラジションから自陣内で前を向くと、ボールを奪いにきた東福岡の選手を華麗にかわし、追い縋るDFをものともせず独走。右サイドのオノノジュ慶吏に展開し、その折り返しをボックス中央からゴールに流し込んだ。
自身のドリブルで観客が沸くことが「楽しい」と語る白井は「自分もメッシを見て、ドリブルを練習しようと思ったので、小さくても出来ると証明できるようになってきたのが嬉しい」と述べつつ、「小さい子たちが自分を見て、もっともっと頑張ろうと思ってもらえるように、これからも頑張ろうと思います」と主張。小柄でもトップレベルで通用することを証明するため、決勝のピッチに“希望の轍”を刻む所存だ。
国立競技場で行われる決勝戦は13日に行われ、対戦相手は初優勝を飾った96回大会(2017年)と同じ流通経済大柏(千葉)となっている。
By サッカーキング編集部
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