本連載の著者である安藤隆人氏は、元銀行員という異色の経歴を持つサッカージャーナリスト。今では、高校サッカーを中心に日本列島、世界各国を放浪し精力的な取材を行っている。巷ではユース教授と呼ばれる。本連載では安藤氏の“アンダー世代”のコラムをお届けする。
文=安藤隆人
7日行われた高円宮杯U-18プレミアリーグ2014の記者会見。壇上に上がった6チームの監督のうち、千葉県が3チームあった。
昨年度の高円宮杯プレミアリーグ・チャンピオンシップ日本一・流通経済大柏、昨年度のインターハイチャンピオン・市立船橋、柏U-18。市船と柏U-18は参入戦に勝利し、念願のプレミアリーグ参戦となった。
この3チームは共にイーストに入るため、1年間に2試合は必ず対戦することになる。これは非常に興味深いことである。なぜならば、一般的に同じ地域にいると、頻繁に練習試合をやっているイメージがあるだろう。しかし、実はそうではない。ある年は1年間で一度も対戦しないまま終わることもある。プレミアリーグとプリンスリーグは同じ週末に行われるし、リーグ戦の整備により、『マッチ・トレーニング・マッチ』の流れが一般化したことで、間に練習試合を入れにくい環境が影響していると言えるし、強烈なライバル関係にあるがゆえもある。理由はいろいろあるが、同じリーグに入って初めて、ガチンコの戦いができる。
今回、3チームが同居したことで、記者会見では早くもお互いを意識した発言が飛び交った。
「日頃は練習試合などでも市立船橋とは戦わないけど、今回お互いが途中で負けなければ、1年間に4回戦わないといけない。切磋琢磨して、千葉のレベルを下げないように頑張りたい」(流通経済大柏・本田裕一郎監督)。
「流通経済大柏さんは同じ柏市にありながら、試合をする機会がなかった。なので、今回同じ舞台で、真剣勝負で試合ができることが非常に楽しみです」(柏U-18・下平隆宏監督)。
朝岡隆蔵監督は具体的に口には出さなかったが、昨年はプリンスリーグで柏U-18と激しく競り合い、インターハイ予選、インターハイ決勝、選手権予選で流通経済大柏と激突するなど、やはり県内のライバルが全国的に見ても強烈なライバルとなっている現状に、勝負師として熱い思いを持っていることは、会見での表情を見ても一目で分かる。
こうして実力拮抗の同じ地域のライバルが、ユース年代最高峰のリーグで相まみえることとなった。これは千葉県のサッカーのレベルの高さを象徴すると共に、お互いの強烈なプライドが激しくぶつかり合う『ダービーマッチ』として、大会の盛り上げに一役買ってくれるはずである。
「高校年代には3つの大きな旗があって、インターハイ、プレミア、選手権で3冠となります。昨年、この2つを千葉が獲ったのは凄いこと(インターハイ・市立船橋、プレミア・流通経済大柏)。もう1本どうしても獲りたかったけど、残念ながら予選で負けてしまった」(本田監督)。
「トップチームもJ2から昇格した初年度でJ1優勝をしている。我々も昇格1年目で『即優勝』を狙います」(下平監督)。
千葉を制するだけでなく、千葉が全国を席巻する。高いモチベーションを持った3人の指揮官が、今年のユース年代を熱くさせるのは間違いない。