OBマッチに出場した両チームの選手たち
17日、ユアテックスタジアム仙台にて、ベガルタ仙台OBとユヴェントス・レジェンズのOBマッチが行われ、5-4でユヴェントス・レジェンズが勝利した。ベガルタ仙台OBは、ブランメル仙台時代を支えた懐かしい選手から、平瀬智行、岩本輝雄、千葉直樹、そしてマルコスとシルビーニョなど20年のクラブ史において重要な役割を果たしたOBが出場。一方のユヴェントス・レジェンズは、1986年のトヨタカップ制覇に貢献したタッコーニやボネッティ、1990年のイタリア・ワールドカップ得点王スキラッチなどが参加した。
ベガルタ仙台の20周年記念試合として行われたこの試合、友好ムードに満ちてはいても球際の激しさは真剣勝負の好ゲームとなった。主役を演じたのは元オランダ代表のダーヴィッツ。41歳になったが体型は現役当時と全く変わらず、アグレッシブなプレーも健在。攻撃の核としてゴールを奪い合う展開となった試合で一際輝きを放った。
4-4で迎えた試合終盤、ユヴェントス・レジェンズがサプライズで投入した「切り札」は、先日までザッケローニ日本代表監督の通訳を務めた矢野大輔さん。平均年齢がベガルタ仙台OBより10歳ほど高いユヴェントス・レジェンズの選手たちから出場をオファーされての登場となった。
矢野さんは実は、セリエAでプレーすることを夢見てイタリアに渡り、トリノの下部組織に所属していた経歴の持ち主。プロ契約を勝ち取るには至らなかったが、そのままトリノに残り、スポーツマーケティング会社に就職してユヴェントス関連の仕事にたずさわってきた。そういう「縁」があっての通訳就任であり、出場だったというわけだ。
その矢野さんは後半アディショナルタイム、CKを豪快なダイビングヘッドで合わせてゴールを奪う。試合はそのまま終了し、矢野さんはユヴェントスのデビュー戦で見事に決勝点を記録した形になった。
試合後、矢野さんは出場に至った経緯をこう明かしてくれた。「まず、通訳としてこのチームに参加できたことを光栄に思っています。けが人が出たことで、ペッソット監督から『試合に出ないか』と打診されました。それでハーフタイムに、急きょスーツからユニフォームに着替え、スパイクも借りてピッチに立つことになりました。試合終盤に出すと聞いていたので、ベンチで待っている間は緊張で心臓バクバクでした(笑)」
ゴールについてはこう振り返る。「右からのFKで、しっかりマークにつかまれていたので、逃げる動きでファーポストに走り込みました。ずっとザッケローニ監督に言われていた形です。具体的には明かせませんが、監督が常々指導されていた形を出しました」
通訳から一躍ヒーローになった矢野さん。試合後はユヴェントス・レジェンズの選手に大いに祝福されながらスタジアムを後にした。最後に「アギーレ代表監督も注目していたんじゃないですか」と振ると、「だとうれしいですね!」とおどけた。