日本サッカー協会(JFA)が主催する第9回フットボールカンファレンスが10日、東京ビッグサイトで開幕。同カンファレンスは指導者向け研修会として毎年開催され、今年は「ワールドカップ2014-本気で日常を変えよう」というテーマに、国内外から約800人の指導者が集まった。
初日となったこの日は、JFAの山口隆文育成担当技術委員長のイントロダクションからスタート。続いて国際サッカー連盟(FIFA)のテクニカルスタディグループ長でリヴァプールやリヨンなどで監督を務めたジェラール・ウリエ氏が、ブラジル大会におけるFIFAの技術・戦術分析を説明。「スピード、テンポは過去にないレベル。南アフリカ大会との大きな違いは、ボールを待っているプレーヤーがいなくなり、全員がハードワークするようになったことだ。切り替えのペースやスピードがクオリティのカギになった。1試合平均2.67点は1998年フランス大会以来の数字で、すべてのチームが得点を挙げて勝とうとしていた」と評した。
続いてJFAのテクニカルスタディグループから木村浩吉ユースサブダイレクターが登壇した。「我々も右肩上がりで成長してきたと思っていたが、世界は4年前から予想以上に右肩上がりになっていた」と世界との差を表現。「本大会は全員攻撃全員守備で攻守が一体化。一瞬のスキを突く攻撃と一瞬のスキを突かれない守備」をポイントに掲げ、攻守における“インテンシティ”(プレー強度)の重要性を説いた。
その後、アルベルト・ザッケローニ前日本代表監督が本大会を振り返ったインタビュー映像が展開された後、イタリア在住のザッケローニ氏と電話でコンタクト。前指揮官は若年層の指導に関して「フィジカル面よりもメンタルを重視して、個人戦術を伸ばすような指導をしてもらいたい」とアドバイスを述べ、「日本はすでに高いレベルで戦えるところまで到達している。ここからすべてのポテンシャルを伸ばすためには、選手たちの勇気を奪い去ってしまう抑制を取り払うことが重要。そのためには海外でより多くの国際試合を戦い、相手に過剰な敬意を抱かず、自分たちに自信を持つことだ。日本には日本の良さがある。日本にあったサッカーは実現できる。日本がワールドカップで優勝する日を待っているし、きっと来ると思う」と日本サッカーの将来に期待を寄せた。
同カンファレンスは12日まで開催。11日はメキシコ代表のミゲル・エレーラ監督やドイツサッカー協会インストラクターのラルス・イゼゲ氏によるワールドカップの準備と戦いに関する講演が、13日には前UEFAテクニカルダイレクターのアンディー・ロクスブルク氏によるコーチングの講演などが行われる予定となっている。
文=青山知雄