得点王のトロフィーとともに、笑顔を見せる
ビーチサッカー日本代表は、3月末に行われたAFCビーチサッカー選手権2015で、準優勝を果たした。灼熱のカタールで、8ゴールを挙げてチームをけん引したのが後藤崇介。今夏のビーチサッカーワールドカップのアジア予選も兼ねた大会で、得点王に輝くとともに、日本に8大会連続となる大舞台の出場権をもたらした。
後藤は大会前、「得点王を獲りたい」と明言。見事に有言実行の形となったが、サッカーキングが平日12時から13時に配信しているニコニコ生放送の生番組『ハーフ・タイム』に、15日に出演した際には「周りのチームメートが上手いので点が取れる。自分の評価よりチームの評価」と殊勝に語った。
上位3カ国にワールドカップの出場権が与えられる大会で、準決勝では前回大会の決勝で敗れたイラン代表と激突。「ワールドカップ出場のかかった試合で、相手のイランはアジアでナンバーワン。挑戦者という気持ちだった」という一戦で、5-4の勝利に導く2ゴールを挙げた。
「どこで貢献できるかといったらゴールしかない」という生粋の点取り屋だが、「日本は献身的な選手が多く、仲間に恵まれている」と感謝も忘れない。得点王宣言の裏側ではコンディション不良で苦しんでいたそうだが、「言葉にすればプレッシャーがかかる」と敢えて口にしていたメンタルの強さも魅力だ。
ただ、ワールドカップの出場権と得点王こそ手にしたが、決して順風満帆な道のりが待っているわけではない。5月10日には、所属する東京レキオスBSが使用する練習場の閉鎖が決まっている。常に笑顔を絶やさない同選手だが、「支援をして頂けるところがあれば」と、切実な願いが思わず口をつく。
日本代表選手ですら練習場所の確保に苦労するところに、ビーチサッカーを取り巻く状況の厳しさも垣間見えるが、それでも当人は高い志を失っていない。実はサッカースクールの代表という顔も持つ後藤。4月26日に川崎市産業振興会館で行われ、同じくビーチサッカー日本代表の田畑輝樹、原口翔太郎とともに、ファンも参加できる壮行会に向けて「オーバーヘッドを見せますよ」と公約するなど、競技普及にも取り組んでいる。
かつて、「ワールドカップで優勝しない限り、ビーチサッカーはメジャーなスポーツにはなれない」と語っていたが、ポルトガルでの大舞台が近付く今、「目標はもちろん優勝。自分を信じてやってきたので、最後までそれを突き通してやっていきたい」と力強さは増すばかり。
川崎に生まれ、沖縄でビーチサッカーと出会い、スイスやイスラエル、イタリアのインテルで技を磨いた29歳。日に焼けた褐色のストライカーが、南欧の眩い太陽を浴びながらビーチを駆ける瞬間が迫っている。