ラグビー日本代表の五郎丸歩 [写真]=Getty Images
ラグビー日本代表は10月末まで開催されたラグビー・ワールドカップでグループリーグ3勝を飾るなど、大会を通して素晴らしい戦いを見せた。その躍進の立役者の一人となったフルバックの五郎丸歩が、7日にテレビ東京系で放送された『FOOT×BRAIN』にゲスト出演し、理想の指導者論、世界で勝つために過ごした4年間について語った。
大会3位に輝いた強豪・南アフリカを破るなど、世界中を沸かせたラグビー日本代表。自らを「真面目なラグビー馬鹿」と表現した五郎丸は、世界との距離が縮まった要因について「それだけのトレーニングはしていた。世界一のね」と4年間続けてきた努力の成果だと語った。
4年間でチームが一番大きく変わったことは「プライドを持ったこと」だと明かした。日本代表のエディー・ジョーンズHCは、W杯の最終戦となったアメリカ戦で涙ぐみながら「俺はお前らにプライドを持って欲しかった。そしてお前らは俺の期待に応えてくれた。国を背負うプライドを持ってくれて嬉しかった」と選手たちに声をかけたという。
これについて五郎丸は、以前から報道で話を聞いたことがあると述べ、「すごく悔しかった。日本で生まれて日本人としてここで育ってきて、『日本人のプライドが持てていない』というコメントがすごく頭にきた。でも本当にみんな日本のために体を張りましたね」と日本の選手が怒りとともに気持ちを奮い立たせて戦ったことを明かした。
ラグビーだけではなく、スポーツ全般において最も重要なのは「基礎」だと語る五郎丸。「当たり前のことを当たり前にしたらトライを取れる」と話すように、国際舞台でこそ基礎の差が実力の差になると分析した。一方で五郎丸が日本代表としてデビューを果たしたのは2005年の19歳の時。当時を振り返り「恐怖でしかなかった。その時は自身の(体の)ラインが細かったから。あのデカイ相手とコンタクトするのが怖かった」と恐怖心があったことという。
南アフリカ戦の勝利が奇跡と報じられていることについては「(あの勝利は)必然ですね。ラグビーに奇跡はないので。世界一タフな南アフリカの選手たちにフィジカルバトルで逃げなかったというのが一番のキーですね」と一言。エディーHCは日本人のスピードを落とさずにフィジカルを鍛えるトレーニングを指導し、「世界一タフな練習を積んできたので、普通に試合をこなせた」とその効果を実感したようだ。
「フィジカルから逃げてしまうとラグビーもサッカーも戦えない。日本人は小さいからという考えを捨てないとだめですね。しっかり摂取して、良いトレーニングをしていけば体は必ず大きくなる」と続け、固定観念を捨ててフィジカルトレーニングを行う必要があると提言した。
エディーHCの特徴的な指導法の一つとして、“寸止め”のトレーニングがあるという。五郎丸は「8割、9割の所で(練習を)止めるんですよね。『もう限界』っていうところのちょっと手前で。そうしたらまた翌日もやらなければいけないじゃないですか。その辺のコントロールは絶妙です」と説明した。
また、練習の重要なポイントとして、あえてミスが起こるように仕掛けられたトレーニングがあるとも明かした。これは実際の試合でミスが続き、選手がパニックになった状態をどう打破するかという狙いのもとに行われている。この練習法については「全てのスポーツが取り入れるべき」と主張し、試合においても大きな効果を発揮しているようだ。
ペナルティゴールやコンバージョンキックを蹴る際に見せた“五郎丸ポーズ”については「W杯に行って戦う中で、あそこで自分がルーティンを全く持っていなかったらどうなっていたんだろうと思いました。ぞっとしました」と大舞台でのプレッシャーの大きさがあったことを告白。しかし、自身のポーズが日本で話題になっていることについては「僕のポーズが話題になっていますけど、海外に行ったらヘンテコな格好の人がいっぱいいますよ(苦笑)」と率直な感想を答えた。
五郎丸はその他、“五郎丸ポーズ”誕生のきっかけとなったメンタルトレーナーとの出会いや、スポーツ全体の将来、ジョン・カーワン元日本代表HCからかけられた言葉などについて語った。
By サッカーキング編集部
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