10月13日から18日にかけて、第53回全国社会人サッカー選手権大会(全社)が開催。「日本サッカーを強くするために アマチュアサッカーの未来像について」と題し、アマサッカーの現状を伝えた。
全社は全国9地域の予選を勝ち抜いた31チームに、開催地の1チーム、合計32チームが参加する大会で、5日間連続のトーナメント形式で1位を競う。ベスト4位内かつ地域リーグで優勝していない最大3チームには、JFLへの登竜門である全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)への出場権が与えられる。今年の大会では、東海地域代表の鈴鹿アンリミテッドFCが、決勝で松江シティFC(中国地域代表)を2-1で下し、初優勝を飾った。
この日のスタジオゲストである羽中田昌氏が率いる東京23FCも出場し、地域CL出場権獲得を目指したが、残念ながら2回戦で敗退。羽中田監督は「できるだけの準備をしてここに臨んで、あとは人事を尽くして天命を待ったんですけど、神様は向こう(2回戦の対戦相手だったJAPANサッカーカレッジ/北信越地域代表)に微笑んだ。向こうのほうが強かったということ」と無念の表情を浮かべた。
アマチュアサッカーを精力的に取材している写真家・ノンフィクションライターで、この日のスタジオゲストだった宇都宮徹壱氏は、全社について「アマチュアのナンバーワンを決める権威ある大会」と位置づけし、5日連続で試合が行われるレギュレーションの採用理由を次のように説明した。
「選手たちが社会人で働いているので仕事を休めないのが理由の一つ。もう一つは、この大会は国体のプレ大会という位置づけで、その準備としてボランティアや運営のシミュレーションをするために5日連続でやってほしいというリクエストがあるんですね。改革案は毎年のように出ているんですけど、ずっとこの形態が続いています」
様々な課題を抱えるアマチュアサッカー界だが、日本サッカー界の発展のために、宇都宮氏は「アマチュアも気軽に使える施設」の増設を提言。羽中田監督はその実例として、東京23FCのトレーニングの実態を明かした。
「ウチの場合はなかなか確保が難しくて、朝しか(グラウンドが)空いていないので、朝7時にトレーニングを始めています。遠くに住む選手は午前4時前に家を出て、江戸川区の南葛西にあるグラウンドまで来て練習しています」
また、レギュラー解説員で、東京23FCと同じ関東1部リーグの東京ユナイテッドFCでプレーする岩政大樹は、実際にアマチュアリーグを経験して感じた問題点を次のように指摘した。
「1年間やってみて一番きつかったのは、真夏の昼間に試合をすること。もう少し日程を組み替えられないのかと疑問に思っています。特に人工芝のグラウンドだと、スパイクが熱くなって立っていられないほど。この状況で(日本サッカー界の)底上げができるのかは疑問。サッカーをするというより、どちらが粘れるかの勝負になっていて、サッカーの機知を学ぶところではないと思います」
宇都宮氏は「アマチュアの人たちもちゃんとサッカーができる環境を作り、サッカーをして、見て楽しんで、サッカーのリテラシーが上がることが、最終的には日本のサッカーが強くなることにつながると信じています」と語り、施設面の充実化に期待を寄せた。
10月27日午後9時から生放送される『スカサカ!ライブ』では、ジュビロ磐田を特集。また、レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く!」~浦和レッズ 興梠慎三篇~後編などを放送する。
By サッカーキング編集部
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