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【スカサカ!ライブ】内田篤人がドイツで感じた“日本と同じではない”サッカー

2017.11.07

 番組レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く!」~ウニオン・ベルリン内田篤人篇~前編が放送された。岩政と内田は鹿島アントラーズの元チームメートであり、日本代表でもともに戦った間柄。岩政はドイツに渡ってウニオン・ベルリンの試合を観戦し、かつての同僚と再会を果たした。

■シャルケからの移籍について

岩政大樹(以下、岩政) はい。よろしくお願いします。

内田篤人(以下、内田) (笑)。恥ずかしいな。

岩政 今のチーム、ベルリンに来て、どうですか2部っていうのは? 初めて……ドイツ国内、海外での移籍も初めてですけど。というか、そうか、まだ2回目か! 移籍っていっても。

内田 そうっすね。鹿島で4年半かな。で、シャルケで7年。で、今来たばっかなんで。

岩政 現代では珍しいですね。まだ2回目なんてね。

内田 移籍は別にそんなに、あんまり何だろう、自分の中では意識していないですけど、長くいたいなとか。

岩政 ああ、そうなんですね。

内田 別にそんな意識していないけど、まあ流れでこうなっちゃった感じですかね。愛着はある、チームにあるけど、判断するならパッパッと移籍するタイプだなって思います。自分でも。

岩政 なるほど。じゃあその、毎回毎回ちゃんと判断をしている中で、結果的に長くなってしまったと。

内田 そういうことっすね。もちろんシャルケ出るチャンスとかオファーのチャンスは、7年の間にいくつかありましたけど、やっぱあのスタジアム(シャルケの本拠地フェルティンス・アレーナ)でやったら、あのスタジアムでやり続けたいなって思った自分がいたので、契約延長も何年か、何回かしましたし、チャンスが少ないなって思ったら出ていくし。そこはもうスパッと。ほぼ後悔はなかったですね。後悔というか、迷わなかったですね、シャルケ出る時は。監督と話をして、もうその日に代理人と連絡を取って、もう出るからどっか探してくれって(笑)。そんな感じでしたけど。

岩政 シャルケにとっても大きな存在になりました。退団セレモニーなんて、日本でも大きく扱われましたけど。

内田 僕がチームにいる間では、ラウール(ゴンサレス)と(クラース・ヤン)フンテラールだけですからね。退団セレモニーやってくれてたのは。チームを出る時、上の人と話をした時に、「そういうのやらないとファンに怒られるから、やらせてくれ」って軽い冗談みたいな感じで。ありがたいなと思って。タイミングが合えばと思っていて、タイミングが合ったのでやらせてもらえた感じでしたけどね。ありがたいですね。やっぱそれできっぱり出られる、シャルケをね。それはありがたかったですね。

■ドイツのサッカーについて

岩政 日本にいる人たちからすると、ドイツというとバイエルンとかドルトムントっていうイメージが強いですけど、シャルケもこっちでは本当の名門というか、ビッグクラブで、その中でしのぎを削る中で、7年。その期間の中で地位を確立できた、セレモニーをしていただけるようになったっていうのは、そこの部分をもっと深く迫りたいんですけど。日本、鹿島から移籍しましたけど、あそこからドイツのサッカーに入ってきて、最初は刺激的だったですか?

内田 いや、最初はけっこう戸惑いましたね。自分の中で。日本って、いい選手ってけっこう落ち着いているじゃないですか。ドイツは、戦えるヤツがどんどんいい選手っていう。試合を落ち着かせようとかっていうのはほとんど感じなかったですね。最初に行った時は。丁寧につないでとかじゃなくて、もっとアグレッシブにやらなきゃだめだって言われるだけだった。最初はちょっと戸惑った。俺、日本のサッカーとドイツのサッカーって、あんまり同じスポーツのような気がしないぐらい、違う気がする。ぐらいの言葉で分かるかな?

岩政 ゲームをコントロールするという部分が、コントロールの仕方が違うっていうことですか?

内田 そうですね。常に点を取ろうとして90分終わっていく。2点3点取って、ゲームを2-0、3-0で終わらせに行くけど、絶対に誰かが点を取るチャンスを狙っている。

岩政 あーなるほど。

内田 日本は攻守が分かれている気がする。ドイツは常に攻めている。ディフェンスの時も。

岩政 いったん下がっているように見せても、その後をイメージしながら守っているっていう感じですね。

内田 よくサッカーの練習で1対1とか、2対2、3対3、4対4の、ゴールがついているアレが、いろいろなところでやっている感じですかね。

岩政 さっき練習でもやっていましたけど、攻めて、そのまま守ってっていうその繰り返しがずっと試合のいろいろな場面で行われていると。

内田 そう。で、それの一つひとつの行動にサポーターが反応してくれる。だからやっているこっちもモチベーションが上がるし、スライディングしてサポーターが湧いてくれるなら全然するしっていう。

岩政 そうか、だから逆に言うと、例えば中盤とかで、相手の流れを止めるようないいプレーに繋がったり、そこが見えているっていうことですよね。相手のいい流れに行かれそうな前のところ、おおもとのところで止めるプレーとか、流れをうまく遮断できるプレーだけでも評価されるっていうところが。

内田 そう。ホント細かいけど、一つのプレーでいい選手だって判断してくれる。その代わり戦わなかったり、ちょっと逃げたりするとすごいブーイングされる。

■うまい選手とは?

内田 うまい選手ってホント、最後ギリギリで“嘘つく”んですよ。俺DFなんでアレなんですけど、嘘つかれるんですよね、ギリギリで。ボール持っているいい選手って。このタイミングで蹴るしかないでしょ、って思っていても、パッて切り替えたりして、掴めない選手。そういうのはドイツの中盤に多いですけど、やっぱまあ、サッカーを見ていてもスペインとか多いですね。

岩政 トップレベルとやりながら、少しずつ変わってきた自分の考え方ってあります? 対応の仕方でもいいですけど。

内田 相手のレベルとか大会のレベルが上がるにつれて、自分の間合いが狭くなってくるっていうか、自分の間合いだと取れるとか、ボール触れるっていうのが触れなくなってくる。よーいドンして俺が絶対勝てるっていうヤツが、勝てなくなってくるんですよね。そうすると、ちょっと守り方を変えたりとか、先に予測とかしなきゃいけないんで、めっちゃ頭が疲れるんですよね。気が抜けないっていうか。でかい大会とか大事な試合のほうが、やっぱり疲れる。

岩政 自分も最後まで待たなきゃならないっていうことですよね。

内田 そうそう。相手がどう判断するか分からないし、絶対に最後に嘘つくんだけど、どうしてもそれに対応しなければならない。一番いい選択、シュートコースを減らすだけでもいいから、しなきゃいけないんだけど、それがやっぱ難しい。

岩政 今、シュートコースを切るっていうのも出ましたけど、それに対する自分も、最後の局面まで、何か一つに決めつけないようにしなきゃいけないっていうことですよね。

内田 そう。基本的には滑っちゃダメだなって思っていて。基本的には。正統派に強いシュートをバンッって打つ選手ならガチッって止めてもいいけど、シュートフェイントとか、技術がある選手って分からないから、難しいな~。

岩政 相手との対応の中で、個人が磨かれていくじゃないですか。その時にドイツだけじゃないんですけど、こっち側(ヨーロッパ)のサッカーって、一対一に対しての球際の勝負はすごく厳しいし、相手も最後まで嘘をついてくる。一方で、すごく戦術的にも整備されていて、1人目が行きます、そしてそいつがもしかわされた場合に、2人目もすごく速いじゃないですか。これも連続っていうフレーズだと思うんですけど。

内田 そうですね。チームとしての連続ですね。

岩政 ここもこう、こっちは途切れないイメージがあるんですよ。そこの差も気づきました? こっちに来て感じました?

内田 まあ慣れっすね。最初はやっぱ失敗したりとか、仲間と意見が合わなかったり、失敗していく中で、それに慣れていかなきゃいけない。けど、練習を100パーセントでやるので、それに慣れていくって感じですね。なんかこう、急にパンッって変われるっていうよりは、だんだん、だんだんですかね。チームメートの信頼を勝ち取るには、試合に出て勝たなきゃダメだなって思いました。それでやっぱり話とか会話が増えてくる。だからよく、ドイツ語がしゃべれないからあの選手使えないって言われることがある人もいるけど、絶対にない。試合に出ていないからそうやって言われるだけ。試合に出ていないから居場所がなくなるだけ。って思っている僕は。

岩政 練習で慣れていかなければならないという話がありましたけど、練習の厳しさも大きな違いの一つですか?

内田 日本人はすごく勤勉で真面目って言われるけど、サッカーだけで言えば、全然100パーセントでやってねーなって思いましたね。やっぱこっちに来て、何だろう、100でやるってこういうことなんだって思ったっす。

11月10日の『スカサカ!ライブ』は通常の午後9時からではなく、午後11時から生放送される。直前に行われる日本代表対ブラジル代表の親善試合レビューの他、レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く!」~ウニオン・ベルリン内田篤人篇~後編などが放送される。

By サッカーキング編集部

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