元川崎フロンターレ・プロモーション部部長で、現在は東京オリンピック・パラリンピック組織委員として活動している天野春果氏が、「スポーツクラブのあるべき姿」について語った。
天野氏は高校卒業後、アメリカに渡ってワシントン州立大学でスポーツマネジメントを学んだ経歴を持つ。ワシントン州立大は人口わずか2万5000人ほどの小さな街プルマンにある大学だが、カレッジスポーツの強豪として知られ、アメリカンフットボールチームの試合の際には、大学が所有する6万人収容のスタジアムが満員になるほどの人気を誇っているという。
この日の収録に、天野氏はワシントン州立大のエンブレムが入った帽子をかぶって登場した。「今年の夏、自分が培ったものをもう一度見直したいと思い、20年ぶりに母校に遊びに行った」という天野氏は、そこで次のような光景を目にしたという。
「街で(大学の)グッズを身につけている人の割合が、100パーセントだったんですよ。改めて驚きました。地元のチームは街の一部ではなく、街そのものなんですよね。アメフトが好き、バスケットボールが好きとかじゃなくて、地元の代表だから、という感覚。みんなが(グッズを)身につけているし、街がそのカラーばかりなんです」
天野氏は、川崎も同じような存在になってほしいと語る。
「地元のクラブは(その街の人々にとって)街そのもの。(川崎も)そこまで持っていきたい。実際そういう場所があるんだから、日本でできないわけがない」
では、日本でどのように応用し、実現すればいいのか。
「だからいろいろな仕掛けが必要なんです。スタジアムでのイベントに加え、試合がない時の仕掛けもしていかないと。どこに反応するか分からないですからね」
川崎がそのような存在になるために、天野氏は在職中、常に頭を働かせていたという。
「行動。とにかく動くしかない。動いて自分で感じる。『よくアイデアが浮かぶね』って言われるんですけど、実際には毎日、毎秒考えています。もう、夢に出てくるぐらい。アイデアが自然に浮かんでくるわけじゃないので、どうすればいいのか常に考えています」
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By サッカーキング編集部
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