番組レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)が、UEFAチャンピオンズリーグのグループステージ第5節、ユヴェントス対バルセロナ戦をピックアップ。ユヴェントスの守備戦術について解説した。
相手のビルドアップに対し、ユヴェントスは相手に対してハイプレスを仕掛けるのではなく、FWがハーフウェーライン付近まで下がって、全体を20メートルから30メートルぐらいのコンパクトな陣形にして待ち受ける。
「ここではある程度のゾーンを構えながら、ボールに対して守備をしていく」と岩政。バルセロナはその陣形を崩すことができず、結局はバックパスをすることになるのだが、その瞬間にユヴェントスの守備には変化が生じるという。
「バックパスして、(ジェラール)ピケからのボールが少し浮くんですけど、そこを(パウロ)ディバラが狙っていきます。その瞬間に相手陣地でどんどんプレスをかけにいき、その時にマンツーマン気味にプレスを切り替えていきます」
「バックパスに対して少しずつ全体を押し上げ、それぞれがチャンスをうかがっていきます。そして前線の選手がボールを奪いに行った瞬間に全体が感じ取って、相手をつかみに行きます」
こうなるとバルセロナの守備陣は近隣へのパスコースが消され、ロングボールに逃げることになるが、これに対してはユヴェントスのセンターバックが前に出て対応し、バルセロナ陣内に相手を押し込んだ状態で自分たちの攻撃に転じることができるようになる。
「この切り替えが淀みなく流れているのがユヴェントスの良さ」と岩政は分析した。
一方の攻撃については、バルセロナのアンカーに入ったセルヒオ・ブスケッツの両脇のスペースを有効活用していた。
「バルサは(リオネル)メッシがいないので「4-4-2」ではなく「4-5-1」、アンカーのブスケッツの両サイドが空くので、ユーヴェはそこを突く。ディバラが入っていって自ら展開したら、空いたブスケッツのサイドのスペースにもう一度入っていく」
「(ブスケツの脇に入りながら)ビルドアップすることでバルセロナが少しずつプレスをかけてくるんですけど、かけてくることで(イヴァン)ラキティッチ、パウリーニョがユヴェントスのダブルボランチに対してマンマーク気味に来ます。その瞬間にブスケッツの横のスペースが空くので、ディバラがスッと入ってくる。そのタイミングはさすがディバラ」
「起点を作ったら、今度は逆サイドに展開していって、ブスケッツを置いてけぼりにして、空いた(敵陣中央の)スペースに入っていきます」
岩政はディバラの印象について、次のようにコメントしている。
「ディバラは今年、よりたくましくなってきたな、という印象です。この試合でも、後半から出てきたメッシよりディバラのほうが目立っていました。いろいろな局面で『自分で決着をつけてやるぞ』という印象が強いプレーぶりでした」
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By サッカーキング編集部
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