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『JFA・キリン ビッグスマイルフィールド』で広がる笑顔の輪、KIRINの新たな挑戦とは

2017.12.27

 キリングループは長きにわたって日本サッカーを応援し続けている。「サッカーを通じて人を応援する」という理念のもと、1978年から「オフィシャルスポンサー」として日本代表を支え、2015年4月には「オフィシャルパートナー」へ。応援の活動は来年で40周年を迎えるが、そのサッカーを通じて、“復興応援”に取り組んでいることは意外と知られていない。

 中でも「JFA・キリン スマイルフィールド」は代表的な活動の一つだ。2011年9月から「復興応援 キリン絆プロジェクト」の一環として、公益財団法人日本サッカー協会との共催で、子どもたちの笑顔づくりに貢献し、東北に笑顔の輪を広げていくことを目指して岩手・宮城・福島の各県にある小学校でサッカー教室を実施してきた。

 そして、東日本大地震から6年が経った今年、名称を「JFA・キリン ビッグスマイルフィールド」に変更。復興が進み、被災地が日々変化していく中で、“応援の形”が変わらぬままでいいのか、もっとできることはないだろうか。そんな思いから、新たな試みに挑んだキリン株式会社の泉伸也氏、磯貝明子氏に、「ビッグ」に込めたキリングループの思い、進化を続けるプロジェクトのこれからについて話を聞いた。

『ビッグ』を加えた理由とは?

――日本サッカーとキリンの関係の深さは、いまやサッカーファンには広く知られています。
泉伸也(以下、泉)1978年からサッカー日本代表を応援しはじめて、来年でちょうど40周年になります。おかげさまでサッカーとキリンというイメージや認知度は高いかもしれませんが、今日取り上げてもらう『JFA・キリン ビッグスマイルフィールド』をはじめとする社会活動については、そこまでまだ認知されていないかと思います。我々は日本代表の応援だけでなく、サッカーの力を通じた社会活動を東日本大震災以前から行ってきました。今後も力を入れていきたいと思っています。

――これまでは『スマイルフィールド』という名称でしたが、今回はそこに『ビッグ』の言葉が足されました。まずは『スマイルフィールド』の実績を振り返っていただけますか?
泉 キリングループにとって全国にお客様がいらして、もちろん東北にもたくさんいらっしゃいます。2011年3月の東日本大震災以降、復興応援ができないかということで、『復興応援 キリン絆プロジェクト』を立ち上げました。その中には、農業や漁業などのハード支援(農業機械、養殖設備など)のお手伝いをさせていただいたり、その後には人材育成などのソフト面の支援にも関わらせていただきました。それと並行して、キリンはサッカーを応援してきたので、そのサッカーの力を通じた復興応援ができないかということで、2011年9月から『JFA・キリン スマイルフィールド』を始めました。岩手・宮城・福島の3県で開催し、今年の3月までに合計693校の小学校で10万人以上の小学生に参加いただきました。

キリン

秋田豊氏や中西永輔氏ら元日本代表によるサッカー教室を開催。ボールを蹴る子どもたちの笑顔が弾けた

――そしてこの秋からは、『ビッグスマイルフィールド』にリニューアルされました。
泉 これまでの6年間、『スマイルフィールド』として東北3県の小学校に出向いて、元日本代表選手と一緒にサッカー教室を行ってきました。一方、復興が進んでいく中で被災地の状況は刻々と変化しています。そこで、より地域に寄り添い、子どもたち、さらには会場に集まる人と人とのつながりや、絆づくりを応援するため、『ビッグスマイルフィールド』に進化させました。子どもから大人まで、地元の方も、県内外の方も楽しめるイベントを目指し、自治体にもご協力いただき、この秋から岩手県宮古市、宮城県南三陸町、福島県郡山市の3会場で開催してきました。サッカー教室だけではなく、大人も楽しめるサッカーアトラクション「キックターゲット」やシュートスピードを計る「キックスピード」、さらに幼児も楽しめる「ミニスマイルフィールド」というミニサッカー教室も用意しました。

キリン

サッカー教室以外にもアトラクションを用意。シュートスピードを計る「キックスピード」では、大人が必死になってボールを蹴る姿もあったという

――『キリン絆プロジェクト』で応援してきた団体の協力をもとに、地元食材を使った料理を振る舞う「マルシェ」も展開されたそうですね。
泉 みなさまのご協力のもと、地元の料理を提供していただきました。食材のおいしさを通して、地元の方々にもあらためてその地域の価値を再認識してもらえたり、また地元以外の方にもその地域の良さを知ってもらえたりするのではないかと考えています。いろいろな側面から『スマイルフィールド』をより進化させることができたのが、この『ビッグスマイルフィールド』だと思っています。

――実際に三会場を回ってみて、印象的な出来事はありましたか?
磯貝明子(以下、磯貝)南三陸ではイベントからお帰りになる時の家族の姿が印象に残っています。イベントの看板の前にお子さんが並んで、保護者の方が写真を撮る。その写真を見て笑いながら帰っていく光景を見て、家族の笑顔につながるものができたんだなという喜びにつながりました。あとは地域のみなさんも本当にたくさんいらっしゃって、小さい子どもたちを喜んで見つめる年配の方々を見て、今回の『ビッグスマイルフィールド』になったからこその広がりを感じることができました。

磯貝

今年10月、ブランド戦略部サッカー担当に就いたという磯貝さん。「まだやれることはある」と可能性を語る [写真]=野口岳彦

プロジェクトは道半ば、でもそこが楽しみ

 キリンは日本サッカー協会と切っても切れぬほどの濃密な関係を築いてきた。泉さんは、両者の取り組みを「掛け算」という言葉で表現する。サッカーを通じて人々を応援する、笑顔にする――。その思いが変わらぬ限り、キリンの社会活動、そして『ビッグスマイルフィールド』には大きな可能性が広がっている。

――日本サッカー協会自体も裾野広げをしていますが、そこにキリンのようなナショナルブランドの企業が参画することで、さらに輪が広がっていっています。
泉 もちろん今後も日本サッカー協会とタッグを組んでいろいろな取り組みを行っていきたいですね。私たちはお酒や清涼飲料を製造、販売しています。飲みものを通じて人を応援する企業であり、サッカーを通じて人を応援する企業でありたいと思っています。日本サッカー協会との掛け算でさらに活動の幹を太くしていきたいですし、その可能性はまだまだ広がりが出てくると考えています。

――確かに、これまでは代表チームをサポートする印象が強かったですが、サッカーを包括してサポートする取り組みが顕著になってきた印象があります。
磯貝 日本サッカー協会とのお付き合いが始まったきっかけは、原宿にあった我々の元本社と当時日本サッカー協会が入っていた岸記念体育館がすぐに近くにあったというところからでした。『ちょっと窓の外を覗いたらキリンの社屋が見えたので、お声がけしてみよう』という感じだったようです。そのご縁はいまやここまでいろいろな関わり合いが持てるまで広がっている。やはりサッカーは世界的にも人気のスポーツで、キリンとしても日本、海外市場で展開していく視野を持っています。サッカーを通じたさまざまなコラボレーションは、我々自身が広がりを持つためにもすごく大切なものだと思います。

泉

泉さんは3会場で運営するにあたって社内のつながりも広がったと語る

――さきほど話に出ました「マルシェ」ですが、まさに飲料・食品メーカーならではの広がりを持った取り組みに感じます。
泉 南三陸会場ではサッカー教室を体育館で行い、マルシェは屋外に開きました。サッカー教室を行っている時間はマルシェには人があまり来ないと思っていましたが、実際には屋外にもたくさんの人がいました。これは『ビッグスマイルフィールド』にイベントを進化させたことの意義だと感じます。サッカー教室だけでなく、アトラクションやマルシェにも多くの方に集まっていただく。我々が目指していたことが、一つ実現できたと思っています。

磯貝 サッカーを通じた笑顔だけでなく、食を通じての笑顔にもつなげられたことはうれしかったです。食にまつわるキリンならではのイベントにすることができたと感じました。

キリン

キリンの飲み物と一緒に地域の食材を使った料理を無料で提供。出店者の方にも笑顔が広がった

――老若男女を取り込むイベント。今後の展開についてお考えは?
磯貝 まだまだ改善点、より良くしていけるところはたくさんあります。親御さんの視点に立っても何かできることがあるのではないか、とも思います。保護者の方は、子どもたちに喜んでほしいと思うものです。子どもが喜ぶ姿を見て、親御さん、そしてイベントに集まったみなさんが笑顔になる。その輪をもっともっと大きくできるようにしていきたい。サッカーを通じて広げていきたいです。まだまだプロジェクトも道半ばですが、そこが楽しみでもあります。

キリン

――CSV(=Creating Shared Value)として行っているこのイベント。最後に、あらためてキリンにとってのサッカーやこのプロジェクトの意義とは?
泉 来年でサッカーとのつながりも40年になります。社員にとってもサッカーを支援していることは誇りです。日本代表の応援だけでなく、サッカーを通じて人を応援する。そのためにもキリンチャレンジカップへの特別協賛や、お酒、飲料における日本代表応援デザイン商品の発売などの一方で、このような社会活動をしっかり行っていきたいです。サッカーの力は本当に絶大です。言葉はいらないというか、ボールがあればコミュニケーションも取れて、それで笑顔になれる。お酒や飲料もコミュニケーションツールですが、サッカーも間違いなくそうですよね。もちろん社会貢献の意味は大きいです。ただCSVとしてやっているので、我々の主たる事業にもつなげていかなくてはいけません。すぐに売上に直結するものではありませんし、目先の物を追うものでもないと思っています。まずは取り組みに共感いただき、キリンに親しみを持っていただけるようにしていきたいですね。それによって、また我々もさらなる取り組みにつなげられる。その好循環を成立させたい。そのきっかけにこの『ビッグスマイルフィールド』がなれれば幸せです。

インタビュー=西川結城
写真=KIRINグループ、野口岳彦

【動画】各会場の様子はこちら

By サッカーキング編集部

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