Jリーグ副理事長を務める原博実氏が登場し、2018シーズンのJリーグについて語った。
従来からの変更点として、今シーズンは金曜日にもリーグ戦の試合が開催されることになった。昨季までも、例えばAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のアウェイゲームを火曜日に行うチームがあった場合、土曜日や日曜日にリーグ戦の試合をしてから現地に行くと調整が間に合わないため、金曜日開催の試合を実施していた。今季からはそれ以外のケースでも金曜日に試合が行われることになったのだが、原副理事長は狙いについて次のように説明した。
「例えば試合間隔が1週間空く時、ミッドウィークに天皇杯やJリーグYBCルヴァンカップ、ACLの試合がない週に、試合開催日を1日増やして露出を増やしましょうという狙いがあります。週末はどうしても家族で過ごしたいという人が、金曜日ならば試合を見に行けるというケースもあるでしょうし、金曜日に1試合でもやることによって、テレビのスポーツニュースで取り上げてくれたり、翌日の新聞紙面に掲載してくれたりするでしょう。そうやって露出を増やし、可能性を増やすことにチャレンジしたいと思っています」
露出を増やすメリットについて、原副理事長はヨーロッパの環境を例に挙げてこのように語った。
「ヨーロッパを見ると、UEFAチャンピオンズリーグは火曜日と水曜日に開催されています。木曜日はヨーロッパリーグ。金曜日開催はブンデスリーガが取り入れています。土、日はどこもリーグ戦をやっていて、プレミアリーグはマンデーナイト・フットボールと称して月曜日に試合をしている。結局、ほとんど毎日試合が開催されていて、サッカーがたくさん見られるようになっていますよね。日本はまだそこまで到達できないにしても、まずはサッカーを見る人を増やすことにトライしてみようと。観客動員が減ってしまうリスクもあるけれど、違うメリットも出てくるんじゃないかなと」
金曜日開催を実施するにあたっては、クラブごとのスケジュール調整にも腐心したという。
「バランスも考えていて、特定のクラブだけ金曜日開催が多くなる形にはできないし、アウェイの金曜日開催ばかりになってサポーターが遠征できないチームが出てくることも避けたかった。うまくバランスを考えて、各チームある程度均等になるようにしました。今年は開催が難しいというクラブがあれば金曜日開催を回避するなど、いろいろ調整しました。各クラブとも協力してくれました」
もう一つの変更点はJ1の昇降格についての変更だ。昨季まではJ1の下位3チームはJ2に自動降格となり、J2の1位、2位は自動昇格、3位から6位までのチームはJ1昇格プレーオフを戦うというレギュレーションだったが、今シーズンはJ1の下位2チームは自動降格、J2の上位2チームは自動昇格となり、J2で3位から6位になったチームがこれまで通りトーナメント形式のプレーオフを戦い、勝ち上がった1チームとJ1で16位のチームが直接対決を行う形になった。原副理事長は変更した理由を、J1側、J2側の見地からこのように説明した。
「J1ではACLに出てハードな戦いをしたクラブがリーグ戦で調子を落とし、16位になって降格してしまうケースが何度かありました。そのあたりのバランスを考えて、3チームが自動降格ではなく、2.5枠にしました」
「今のJ2では、ラスト2節ぐらいの段階で、10チーム前後が6位圏内を争っているという状況が多くなっています。最後まで戦況が拮抗していることもあり、J2の関係者に聞くと『プレーオフは絶対に残してほしい』という意見が多かったので、こういう形がいいんじゃないかと」
原副理事長はJ1参入プレーオフの導入によって、「新しいやり方を導入したことで緊張感が生まれ、盛り上がってくれること」を期待しているという。
また、ルヴァン杯ではレギュレーションが大きく変更になった。J1の18チームに加えてJ2に降格したヴァンフォーレ甲府、アルビレックス新潟も参加し、4チームずつのグループでホーム&アウェイの2回戦総当たりのグループステージを行い、上位2チームがノックアウトステージに進む方式になった。原副理事長によると、これはACLを意識してのものだという。
「ACLの価値が上がっていて、JクラブとしてはACL制覇を目標にしてほしい中で、たとえACLに出られなくても、ルヴァン杯で同じような戦い方を経験しておけば、ACLに出場した時に戦いやすくなるかな、という狙いがあります。また、(ルヴァン杯のグループステージを免除されている)ACL出場クラブはシーズンが始まってすぐにハードスケジュールを余儀なくされるので、それがリーグ戦での戦いに不利にならないような調整をしたいという意向もあります」
今季のルヴァン杯は、決勝も含めた全試合で21歳以下の選手を1名以上先発に含めなければならないという規定がある。
「シーズン開幕当初なので、監督も若い選手を競争させたいはずです。リーグ戦に出なかった若い選手をミッドウィークのカップ戦で使えば、チーム内の競争も激しくなるんじゃないかと。多くの選手の出場機会が増え、チーム内の競争が高まれば、週末のリーグ戦にもいい影響が出るのではないかと思って導入しました」
これらの変更点は各チームにどのような影響を及ぼし、それぞれのコンペティションではどのような戦いが演じられることになるのだろうか。
北海道コンサドーレ札幌の野々村芳和社長がMCを務める『Jリーグラボ』は、毎月第2日曜日の21時から放送される。日本のサッカー水準向上を目的に、毎回ゲストを招いて様々な角度から日本サッカーを分析していく。次回は3月11日(日)21時から放送される予定となっている。
By サッカーキング編集部
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