番組では1週間前から、「日本代表、これから強化すべきことは?」というテーマで質問や提言を募集していた。視聴者から寄せられた質問、提言について、番組MCの岩政大樹(東京ユナイテッドFC)、この日のスタジオゲストだった中西哲生氏、岩本輝雄氏、河治良幸氏がそれぞれの意見を語った。
まずは「日本が一番強化すべきは指導者育成だと思いますが如何でしょうか?」という提言について。
「間違いないんです!」と断言したのは岩本氏だった。
「23歳、24歳になってから『こうやりましょう』じゃ遅くて、13歳、14歳ぐらいから戦術がすべて分かっていて、相手を見て(プレーの選択肢を)変えられる選手を育てていかないといけない。それには選手だけじゃなく、指導者もどんどん海外に行っていろいろな人と話をしないといけないし、見ないと分からないものもある。現地で見て、長期的に勉強するべきだと思います」
河治氏は指導者の育成について、アイスランドの実例を紹介した。
「アイスランドが意欲的にやっていますよね。指導者を増やして。1つの教室に1人の指導者ぐらいの割合、日本で学校に先生がいるぐらいの感じでサッカーの指導者がいるんですよね。その密度はすごいと思います」
岩政が「日本では街クラブの指導者が困った時に、どうしていいのか分からないというのはありますよね。その指針がいまいち示されていない気がします」と、指導者の現状について問題提起をすると、岩本氏はこのような解決策を提示した。
「Jリーグクラブの人たちとうまく連携を取って教えてもらうとか、積極的にそういう時間を作らせるのがいいかもしれないですね。Jクラブの指導者も学ぶ機会が必要だと思うんですが、海外に学びに行く時間はなかなかないじゃないですか。それなら例えば、退任して時間がある時などに、日本サッカー協会がその人たちと連動して、費用を出してあげて海外で学ばせるというのをやってもいいのかなと思いますけどね。サッカー協会はお金あるからね」
中西氏は「指導者もそうですけど、僕らメディアの人間がどれだけ勉強するか」も重要だと提案し、ロシア・ワールドカップのテレビ中継についてこのように不満を述べた。
「今回のW杯のいろいろな番組とか解説とか、報道とか客観的に見ていましたけど、ものすごく(外国と)差はありますよね。はっきり言いますけど」
岩政が「今大会せっかく夜のいい時間に地上波で放送されていたのに、伝える側が少しもったいなかったなっていう試合はたくさんありました」と同調。中西氏は「ポジションの配置だとか、配列を替えたとか、瞬時に変えたところに対してパッと見極めて何が言えるかということも含めて、解説者のリテラシー(与えられた材料から必要な情報を引き出し、実行する力)をもっと上げないといけない」と語り、そのために“解説者ランキング”の創設を提案した。
「見ている人たちが決めればいいので、90分間解説した人たちのランキングを決める。こっちが評価される側にならないと進化しないじゃないですか。いろいろな指針を作って競争しないと進化しないですし、日本サッカーに強くなってほしいと思うなら、全員が戦う立場に立たないといけないと思います」
「いろいろなプランを持つ為にもサブと主力の力の差を埋めなくては 特に左右SBの控え GKの育成は急務だと思います」という提言に対しては、岩本氏が海外移籍の必要性を説いた。
「(レギュラークラスと控えの実力の)差を早く埋めるのは、日本の選手が海外のいいチームに移籍して試合に出ることが一番手っ取り早いと思いますね。経験が大事なんですが、日本にずっといて指導を受けていてもなかなか経験できないので、いい選手はとにかくどんどん海外に出る。そうすれば差は埋まっていくんじゃないですか」
中西氏も「UEFAチャンピオンズリーグでベスト8以上に進むようなチームに何人行けるか。もしくはスペインやイングランドなど、戦術的に進んだ国に行ったり、素晴らしい監督の下でプレーできたりすれば、どんどん(レベルは)上がると思います」と賛同。一方、岩政は「指導者もどんどん出て行ったほうがいい」と、指導者の“海外移籍”を提言。中西氏は「若い監督をもっとJリーグでも使ってほしい」、岩本氏は「Jリーグって同じ指導者がグルグル回っていますよね。あれ変えたほうがいいんじゃないですか?」と、Jリーグにおける指導者の在り方についても疑問を呈した。
毎週金曜日21時から放送されている『スカサカ!ライブ』。次回は7月27日(金)21時からの放送で、ロシア・ワールドカップの大会総括などをお届けする予定。岩政がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く」はKASオイペン 豊川雄太篇の前編を放送する予定となっている。
By サッカーキング編集部
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