番組MCの岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く」~KASオイペン「豊川雄太篇」~前編が放送された。
豊川は2013年に鹿島アントラーズに加入し、翌2014年にJリーグデビュー。2016年にはファジアーノ岡山に期限付き移籍し、ここで岩政とともにプレー。チームのJ1昇格プレーオフ進出に貢献した。2018年1月にはベルギーリーグのKASオイペンに移籍。3月11日のリーグ最終節では、途中出場から3ゴ-ル1アシストの活躍を見せてチームを奇跡の1部残留へと導いた。
顔を合わせた際に「お久しぶりです」と挨拶をし、握手を交わした2人。和やかな雰囲気の中、対談がスタートした。
■ベルギー移籍の理由
岩政大樹(以下、岩政) 向こう(ベルギー)に渡って半年ですか。J2のチーム(岡山)からヨーロッパに行くというのはすごく難しいところもあったと思いますけど、決断の面ではどのように考えて?
豊川雄太(以下、豊川) 海外には小さい頃から行きたかったので、本当にたまたま運がよかったんですけど、たまたま今のベルギーのチーム(KASオイペン)からオファーがあって、迷いはなかったですね。行かないという選択肢はゼロで、飛び込みたいというその気持ちだけで。英語もゼロですけど、ただ飛び込みました。
岩政 英語もゼロって、向こうはチーム内の会話は英語ですか?
豊川 だいたい英語も喋れますけど、チーム内で飛び交っている言葉はフランス語ですね。
岩政 ああ~。じゃあより難しいですね。
豊川 そうですね。もう……やばいです。
岩政 やばい(笑)。何言っているか分からない?
豊川 もう全然何言っているか分からないですね。
岩政 まあでも、向こう(海外)に渡るということが自分の目的としてあって、チームなり国なりはあまり問わずに、行きたかったということですか?
豊川 そうですね。とりあえず(日本を)出たかったという。向こうでチャレンジして、サッカーをやりたいというその気持ちだけでしたね。「失敗したらどうしよう」とかっていうのは全くなくて。
岩政 それは元々ないんでしょうね、たぶんね。
豊川 そうですね。とりあえず行こうみたいな感じでした。
岩政 行ってみて最初の印象ってどうでした? ここに住むのか、という感覚が最初、現実味としてなかなか湧かなかったのかな、という気がしますけど。
豊川 正直、慣れるまでには時間がかかりました。生活も、サッカーもですけど、スピード感とか当たりの強さとかっていうのはやっぱりJリーグとはちょっと違う部分があって。モタモタしていたらボーンと吹っ飛ばされてボールを取られましたし、ちょっと悩みながら最初はサッカーやっていましたけど。
■日本とベルギーのサッカーの違い
岩政 そのスピードという面で考えると、走る速さ?
豊川 もちろん。アフリカ系の選手がベルギーには多いんですけど、そのスピードは「何でそんなに速い?」っていうぐらいの速さのヤツもいますし、「何でそんなにゴツいんやろ?」っていう選手ばかりなんで。ホントに“フィジカルリーグ”みたいな感じです。ベルギーリーグは。
岩政 スピードの面でいうと、一瞬の速さと加速している速さと、どちらに違いを感じますか?
豊川 一瞬の速さですねやっぱり。一瞬が速いですし、日本では出てこないようなところから足が出てきたりとか、日本ではなかなか経験できないようなことを今はさせてもらっていますね。
岩政 そこから自分で練習しながら、そのスピード感の違いとかの中で戸惑いもあると思うんですけど、そこからどのように適応していこうと最初は考えていました?
豊川 とりあえず、相手を見るようになりましたね。まあちょっと、あまり大樹さんの評価を上げたくはないんですけど(笑)、よく大樹さんに連絡して、いろいろ相談に乗ってもらっていましたから。
岩政 ああ、そうですか?
豊川 いや、何ですかそれ(笑)。
岩政 (笑)。
豊川 まあ、いろいろアドバイスをいただいて。結局、当たり前のことなのかもしれないですけど、相手を見るというところにたどり着いたなと思っています。
岩政 それは、よーいドンで走るとなかなか難しいのがあって、より相手をうまく外すということにフォーカスしないと生き残っていけないということですか?
豊川 そうです。Jリーグでできていたことが向こうに行ってできなくなったということがあって。相手を見ないでボールに触ろうとすると、ホントにムチ打ちになるぐらいボーンと当たって来ますから。怖いんですよ。要するに。怖いからよく見るようになって。それで相手の逆を突く動きとかもできましたし、相手がどこにいるから、このスペースが空いているから、このまま走り込もうとかを、日本にいた時より見られるようになったのは、ちょっと成長した部分ではあります。
岩政 見るように意識するという面で言うと、当然、見ようと思ってもなかなか難しい面はあったと思うんですけど。どういったところで工夫していったんですか?
豊川 僕はやっぱり、動き出しで、どちらかというとオフ・ザ・ボールで勝負したいなと思っていて。だから例えば、うちのボランチの選手がボールを持った時とかは、そのボランチの選手を見るよりかは、基本ずっと相手のDFを見て、重心とかを、ちょっとずつですけど練習から意識するようになって。前に来たな、と思ったら後ろ、右に来たら左、というのを、ちょっとずつですけど意識していったら、何か自然と試合でもそれが生きてくるようになりましたね。やっぱり、飛び込んでくるのは日本と違って、食いついたなっていう相手の逆を取った時の喜びは日本よりもベルギーのほうが感じました。日本ではガンってくるのはあまりなかったんですけど、ベルギーでは食いついてくる相手の逆を取った時は超うれしいです。
毎週金曜日21時から放送されている『スカサカ!ライブ』。次回は8月3日(金)21時からの放送で、次期日本代表メンバーの考察などをお届けする予定。岩政がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く」はKASオイペン 豊川雄太篇の後編を放送する予定となっている。その後編では、3ゴール1
アシストでチームを残留に導いた試合を、豊川本人が振り返る。
By サッカーキング編集部
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