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【インタビュー】りんたろー。(EXIT)~「今の僕を作った」サッカーへの感謝の気持ち~ 恩師・長谷川監督とのエピソードも

2019.10.02

 今、最も忙しいお笑い芸人の一組であるEXIT。“ネオ渋谷系チャラ男漫才師のチャラデカフェイス担当”(本人のSNSプロフィールより)の、りんたろー。さんは、芸人の道へ進むまでは、サッカー一筋でプロ選手も目指していた。

 相反する(?)チャラさと真面目ぶりは、どんな学生時代を送ることで作られたのか…。お話しを聞いていくと、サッカーを通じて得た学びや経験が今に生きていることが見えてきた。さらには現在FC東京を率いている長谷川健太監督とのエピソードまで。

 当時と現在のサッカーの違いについてなども語っていただき、大いにサッカーの魅力を話してもらった。

取材・文=小松春生
写真=須田康暉、Getty Images

■「やってやったぜ」っていう感覚にハマった

―――学生時代、本気でサッカーをされていたとうかがいました。

りんたろー。 まあ、テキトーにチャラついていましたね(笑)。ボール追っかけて、夜は女子を追っかけて。サッカー部あるあるです(笑)。

―――何歳くらいから始められたんですか?

りんたろー。 小2くらいから始めて、大学4年までやっていました。ポジションは最初からずっとゴールキーパーでしたね。少年団がスタートだったんですけど、最初は必ずキーパーを経験してから他のポジションをやっていく、というチームだったんです。僕は、ちょっとうますぎて、そのまま。目立ちたがり屋だったんで、周りと違うユニフォームを着られるし、チャラいかなって(笑)。キーパーのユニフォームは派手だし、結構気に入ってやっていましたね。

―――ちょうどJリーグが開幕した年の前後くらいでサッカーをはじめられているんですね。

りんたろー。 開幕は1993年ですよね。俺が8歳で…。そうだ、ちょうどヤマハ発動機からジュビロ磐田に名前が変わったくらい。周りがサッカー少年ばっかりで、運動やるならサッカー一択くらいの勢いでした。たぶん静岡だからでしょうね。サッカー王国だし。懐かしいな。

―――ゴールキーパーとしてはどんな選手でしたか?

りんたろー。 上背があるほうではなかったので、反射神経とシュートストップ系のタイプでしたね。楢崎(正剛)選手よりは川口(能活)選手みたいな(笑)。

―――ゴールキーパーって時には批判も浴びやすいポジションですが、続けられたと。

りんたろー。 やっぱ、止めたときの爽快感というか、達成感というか。「やってやったぜ」っていう感覚にハマりましたね。キーパーが止めれば失点がないから、負けもない。そういうところに魅力を感じました。

―――サッカーを続けていくと、プロ選手を目指すことを考えるようになると思います。

りんたろー。 それはサッカーを始めた時から大学でケガをするまで、ずっと思っていました。

■きつかった練習をみんなで乗り越える楽しさ

―――憧れていた選手はいましたか?

りんたろー。 川口さんが好きでした。男前だし、アトランタ・オリンピックのブラジル戦で、劣勢をキーパーが止めて勝つっていうのは、すごくかっこいいなって。川口さんはPKもかなり止めていて、そこもカッコよかったですね。

―――サッカーを続けてきた中で、一番楽しかった思い出は何でしょう。

りんたろー。 中学時代、Honda FCのジュニアユースでプレーしていて、清水エスパルスやジュビロも出ている大会で、ゼロに抑えてPKも止めまくって最後勝ったんですよ。アドレナリン出まくりで、あの大会は忘れられないですね。高校時代は走りの練習とかが始まって、超きつかったです。でも、それをみんなで乗り越える楽しさもありましたね。

―――時には、つらい思い出も…。

りんたろー。 グラウンドは土なんで、キーパーだと倒れるから痛ってぇし、青アザ作っていました。あと、高校はキーパーも走らなくちゃいけなくて、遅いやつの背中を押して一緒にゴールしたりして。しんどかったですね。俺個人は長距離が超速かったです。今は全然走れなくなりましたけど(笑)。

―――キーパーは他のポジションと違い、スタメンは一人だけです。コンスタントにはプレーを?

りんたろー。 大学は1年からトップチームに入れてもらったんですけど、この頃からケガをし始めて。BチームとAチームを行ったり来たりでした。それまではキャプテンをやったり、試合も絶対スタメンでした。

■健太監督、覚えていてくれているかな?

長谷川健太

浜松大学監督時代、りんたろー。さんを指導していた長谷川監督 [写真]=Getty Images

―――大学は浜松大学(現・常葉大学)ということですが、在籍時代の監督は、長谷川健太さん(現・FC東京監督)だったとお聞きしました。

りんたろー。 そうなんです。バシバシ、シュート練習させられましたね。監督はランニングシューズ履いていたんですけど、めちゃめちゃエグいコースに決めてくるんですよ。あの時、「日本代表ってレベル違ぇな!」って思いました。触るのがやっとで、「そんなことある?」と思って(笑)。絶対、ゴール決めて気持ちよくなっていましたね。健太さんは「そんなんじゃ、ダメだぞ」ってスタンスでしたけど、俺はまだ納得いってないかな。ちょっと、ニヤついていた気もするし(笑)。

―――長谷川監督は現在、J1首位チームの指揮官です。

りんたろー。 すごいですよね。ガンバの時も優勝されていますし。でもその、基盤を作った大学ですから!(笑) 俺のこと、覚えていてくれているかな? 卒業してからは会っていないんです。覚えてくれていたら、ありがたいですね。

―――当時、印象的だった言葉や思い出はありますか?

りんたろー。 「灰になるまで走れ」ですかね。チームに陸上選手のトレーナーがいて。その人にとにかく走らされた記憶があります。

―――現在も厳しい監督としても有名です。

りんたろー。 やっぱりそのままなんだ。でも結果が出ていますし、すごいですよね。

■2度目のじん帯のケガで「潮時かな」

―――りんたろー。さんはプロを目指している中、大学でケガを理由にその道を断念することになります。ショックが大きかったと思います。

りんたろー。 そうですね。でも、しょうがないかなって感じでしたね。ケガするのも一流ではない証拠かな、と思っちゃいます。いい選手ってケガしないですから。2度目の前十字じん帯のケガだったので、「ここが潮時かな」って。

―――ヒザのケガだったんですね。

りんたろー。 ザーヒーぶちかましで、バチーンっていっちゃいましたね(笑)。

―――そこから全く別の、お笑いという世界に進みます。

りんたろー。 「就活もしてないし、どうしよう。普通に働くのもな」って、投げやりな感じにもなっていました。そこで、お笑いだったらケガが理由で、途中で夢を絶たれることもないだろうって。そしたら、俺、結構苦労することになるんですけどね(笑)。大ケガっぽいこともめっちゃありましたね(爆笑)。前十字くらい、いってるんじゃないかな?

―――学生時代、サッカーではキャプテンをやっていたとのことでしたが、周囲を笑わせることも好きだったんですか?

りんたろー。 ツッコミ役をやっていることが多かったですね。でも、やっぱり大学時代がハジけていました(笑)。体育会のノリみたいなのがあるじゃないですか。先輩にいろいろやらされて、これが“お笑い”だぞって教えられて(笑)。その影響で「なるなら芸人っしょ!」って勘違いしつつ、「こんなに笑ってもらえるならいいな」って思って、お笑いの世界に入っちゃったんですけど、学生ノリではないってことにすぐ気づいて(笑)。先輩に騙されたなって思いましたよ。あの頃をどうにかしたいですね。

―――現在、かなり忙しい毎日を送られていると思います。サッカーをやり続けた経験が生きていると感じることはありますか?

りんたろー。 今、“お笑い第7世代”って俺ら呼ばれているんですけど、世代の中では年上の33歳なんすよ。忙しい上に必ずクラブに1、2時間行っているから、ほとんど寝てないんですけど、体はまったく壊さないっすね。これは当時の経験が生きているなって思います。試合の遠征で5、6時間バスに乗って強豪チームと対戦しに行って、移動中に寝てっていう経験をしているんで、ロケバスで長時間移動とかになっても「超~楽」みたいな。しかもロケバスの方が広いからラッキーなくらい。そこは鍛えられたと思いますね。なかなかできない経験ですから。恩師に感謝っす(笑)。

■サッカーをやってきて良かったし、感謝している

ピーター・シュマイケル

りんたろー。さんの憧れの選手の一人、シュマイケル [写真]=Shaun Botterill/Allsport

―――サッカーをご覧になる方はいかがでしょう?

りんたろー。 正直、あんまり見ないですね。プレーに集中する方と言いますか。あとはゲームをやっていましたね。

―――憧れの選手で川口さんの名前は出されましたが、他にいますか?

りんたろー。 最初は(ピーター)シュマイケルを好きになりました。今はお子さんが、活躍していますけど、お父さんの方。スタージャンプで止めているのがカッコよかったです。VHSを借りて見ていましたね。プレーヤーごとにまとめられているビデオ、よく借りていましたよ。懐かしいなー。海外だと他には(ジャンルイジ)ブッフォンとか(オリヴァー)カーンですね。

―――当時のゴールキーパー像と現在のゴールキーパー像はかなり変わりました。

りんたろー。 足元あって、蹴れるのは当たり前ですもんね。俺は足元、全然ダメだったんですよ。ちょうど、プレースタイルの移行時代くらいで、シュートストップだけではダメで、フィードの起点にもならないといけないから、めっちゃ練習したんですけど、センスある人には敵わなかったですね。日本代表のキーパーの練習を見ていても、ロングフィードは決まった場所から動かずキャッチするみたいな。あれがスタンダードスキルで備わっているってすごいです。

―――気になるチームはありますか?

りんたろー。 特定のチームはあまり、ですね。でもこの前日本でやった川崎フロンターレvsチェルシーのお仕事をさせてもらって。ちょっとチェルシーが気になりました。(フランク)ランパードが監督になったんですもんね。

集合写真時のGK風ポーズで

―――チェルシーは今シーズン、チャンピオンズリーグにも出場しています。この大会はご存知ですか?

りんたろー。 はい。昔(1997年)、CLを優勝したドルトムントがトヨタカップ(現・クラブワールドカップ)に出てきましたよね。あの頃はよく覚えていますね。今の勢力図とかはつかめていないんです。(CL組み合わせ表を見ながら)ザルツブルクは南野(拓実)選手と奥川(雅也)選手がいますよね。バイエルンと言えば、(マヌエル)ノイアーですね。俺と年齢がタメなんで、気になりますよ(笑)。

 1990年代から2000年ちょっとくらいまでの印象なんで、ロナウドとか(ティエリ)アンリとか超有名選手たちが、活躍する大会って印象ですね。ちなみに(ロベルト)バッジョはユヴェントスにいます?(笑)

―――ユヴェントスにはいないですけど、ちょくちょく来日してはいますね(笑)。

りんたろー。 マジっすか(笑)。

―――チャンピオンズリーグをはじめ、海外も国内もスピード感が昔に比べて、かなり速く感じると思います。ロナウドやアンリは当時も速かったですが(笑)。

りんたろー。 また見てみようかな。チャンピオンズリーグもJリーグもDAZNでやっているんですよね。けっこう周りの人たちもDAZN入っているんで、俺も入ろうかな。

―――ぜひ! 最後に、このインタビューはサッカーが好きな方以外にも、りんたろー。さんキッカケで、見ていただいている方もいると思います。ぜひ、サッカーの魅力をお伝えいただければと。

りんたろー。 僕の人生のうち、14年間くらいという長さをサッカーに費やしてきて。そこで出会ったチームメイトやコーチがいて、今の人間が形成されていると思うんです。サッカーを通じて知り合った人に「キーパーはこうあるべき」、「サッカー選手はこうあるべき」と教わりました。そういう部分で、サッカーをやってきて、すごく良かったなって思うし、感謝している部分があります。今は、競技のレベルもどんどん上がってきて、日本から海外に行く選手が増えて、フォーメーションも戦術もどんどん変わって、日本も世界との差がどんどん埋まってきていると思います。より、サッカーがおもしろくなってきているので、ぜひ、生で、スタジアムで見てほしいですね。

―――最後はだいぶ真面目な決着になりましたけど大丈夫ですか?(笑)

りんたろー。 やべえ! ボールPON!PON! シュートPON!PON! ゴールキーパー卍。って付け足しておいてください(笑)。

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By 小松春生

Web『サッカーキング』編集長

1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。イギリスと⚽️サッカーと🎤音楽と🤼‍♂️プロレスが好き

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