オンライン取材に応じたアディダスのアルトゥール・マルコフスキー氏(右)とデザインディレクターのアメリー・ブンテ氏(左)
アディダスが手掛ける人気スパイクシリーズ『PREDATOR(プレデター)』の新モデル『PREDATOR EDGE(プレデター エッジ)』が2月に登場した。
1994年に登場し、デイヴィッド・ベッカムやジネディーヌ・ジダンなど、攻撃の名手たちが着用してきたモデルだが、今作はメインのキャンペーンアンバサダーとして初の女子選手を起用。ワンディ・ルナール(リヨン/フランス代表)、トニー・ダガン(エヴァートン/イングランド代表)などが登場し、日本では岩渕真奈(アーセナル/日本代表)が着用する。男子ではポール・ポグバ(マンチェスター・U/フランス代表)やダヴィド・アラバ(レアル・マドリード/オーストリア代表)、南野拓実(リヴァプール/日本代表)などが使用する。
『PREDATOR EDGE』のコンセプトや開発の裏側、今作で強く押し出している女子サッカーとの関わりについて、プロダクトマネージャーのアルトゥール・マルコフスキー氏、デザインディレクターのアメリー・ブンテ氏に聞いた。
「男性、女性、グラスルーツの選手たちから積極的にフィードバックをもらった」という今作。「選手は何を求め、ピッチでは何を考えているのか。私たちはこのシリーズの進化を続けていけるのかを考えてきました」と制作過程を振り返り、「これはPREDATORです。新しいバージョンを出すごとに、世界を少し喜ばせる、驚かせたい気持ちもあります。過去を忘れずに新しいものを作ろうと考えました」と、これまでのシリーズの良さを生かしていると話す。
一方で「私たちが重要と考えたことは、女性にしっかりとスポットライトを当て、手に取ってもらえるものを作ろうとしたことが出発点」と、今作の基本方針に触れ、「女性の意見を反映させようとしました。大切だったことは、できるだけ多くの方にシューズを履いてもらうこと。そして安定性も大切です。男性、女性のどちらにも重要だという観点からスタートしました。男女間での共通のニーズも見つかりました。誰にとっても非常に良い経験を提供できるシューズにしたいと考えました」と自信を見せる。
近年、特にヨーロッパで女子サッカーの拡大が続く。アディダスとして「ぜひ貢献したい」とすると、次のように続けた。
「女性にもスポットライト、ステージを提供し、歴史を作り出してほしいと考えています。だからこそ、良い商品を提供し、アディダスも次なるフットボールの始まりに貢献したい。より女性がスポーツに入ってこられるようにしたいと考えています。アディダスにとって、素晴らしい瞬間です。このような形で新しいPREDATORをローンチできます。独自性があり、これまでのピッチ内外でのステレオタイプを打破し、女性にスポットライトを当てる。シューズはデザイン、設計を多くの足型に合うように考え、それを女性が含まれる形で進めました」
今作の開発はコロナ禍が直撃。ドイツが拠点の同社だが、「デザインを考える出発点はロックダウンの前日だったんです。なので、ドイツではチーム構成を変え、リモートでの会話になったので、進め方が難しくなりました」と、困難を極めたと話すが、ポジティブな発見も多かったとのことで、「一方で多くの方と話せるようにもなりました。新しいものの見方や人とのつながりが生まれたんです。出張が不要になったので、逆に広がった輪もあって。コラボレーションし、新しい働き方、デザインのやり方を考えていきました。そして完成に至り、満足しています。選手と話す機会を、むしろ多く作れたので、新しいインスピレーション、考えを持って、開発に望めました」と、新作への自信も見せている。
インタビュー=小松春生
By 小松春生
Web『サッカーキング』編集長