FOLLOW US

新時代の幕開け! “世界初”NEW ERA社製ユニフォーム実現の裏側

2023.02.06

世界初のNEW ERA社製ユニを手にしたSHIBUYA CITY FCの小泉翔代表と田中裕介氏

 2022年12月28日、MLBの公式キャップサプライヤーとしても知られている「NEW ERA」が、あるサッカークラブとのサプライヤー契約を発表した。

 キャップや野球の印象が強い「NEW ERA」がサッカー界に進出し、それもユニフォームのサプライヤーになったことで大きな注目を集めたが、そのクラブがJ1から数えると7番目のカテゴリーに相当する東京都1部リーグの「SHIBUYA CITY FC」ということも話題の一つだった。

 ユニフォームのコンセプトは「NEW CULTURE」。ユニフォームデザインには、ベースボール、フットボールそれぞれの伝統であるピンストライプとストライプ(縦縞)が掛け合わされ、両者のカルチャーの融合を表現。そしてストライプの中には、渋谷の街の様々なロケーションが映し出され、そこには「新たなカルチャーを渋谷の街から発信し、新時代を共に創り上げる」というクラブの想いが込められている。

 なぜ「NEW ERA」が日本のサッカー界に進出することになり、「SHIBUYA CITY FC」とサプライヤー契約を結ぶに至ったのか--。その経緯について、SHIBUYA CITY FCの小泉翔代表と、そのキッカケとなった張本人で、今年から同クラブの執行役員に就任した元Jリーガーの田中裕介さんに“舞台裏”をうかがった。

■逆オファーから二足の草鞋生活へ

 2005年に横浜F・マリノスでプロとしてのキャリアをスタートさせた田中さんはその後、川崎フロンターレを経てウェスタン・シドニー(オーストラリア)に加入。再び日本に戻ると、セレッソ大阪での活躍を経て2018年からはファジアーノ岡山に所属し、2022年にSHIBUYA CITY FCへ。年明けに昨季限りでの引退と執行役員就任を発表したが、実は昨季も会社の業務をこなしながら選手としてプレーするなど、二足の草鞋を履いていた。

ーー昨年も選手としての活動と共に会社の業務をこなしていたということで、そういった形に至った経緯をお伺いできますか?
田中さん:自分の経験につながるように、仕事をしながらサッカーを続けたいという話を相談したところ、それだったらウチの会社で働いてみませんかという話をしていただいて、是非お願いしますという形でスタートしました。

小泉代表:厳密には、オファーされました(笑)

田中裕介:僕がちょっとそういう提案を(笑)どうでしょうって(笑)本当は別のところで働きながらサッカーを続けるというイメージがあったんですけど、話をしていたら、非常に面白そうなクラブだなというところがあったので。是非やらせてくださいという形でした。

ーー逆オファーを受けた時の感想は?
小泉代表:田中から「こういう条件でこういうことをやる」「自分がフロントに入るとこういう貢献ができる」ということを、まとめたものが送られてきたんですよ(笑)。それをメンバーで共有した時に、こんな選手いるかと(笑)、凄いことをしてきなみたいな(笑)。120%のリスペクトを込めて、こんな提案できるの凄いなと。内容的にも熱量的にも、僕らからすると面白そうな提案で、これは一緒に働きながら所属してもらおうとなって、この1年間一緒に働いていました。

ーーちなみにどういった業務を行なっていたのでしょうか?
田中さん:基本的に午前中はサッカーをやらせてもらって、午後から出社して、最初はクラブのことを理解するところから。どんなスポンサーさんがいて、どういったクラブの事業体系や規模なのかを把握したり、名刺の渡し方やパソコンの使い方などにも慣れたり、最初の2カ月くらいは準備期間をもらって、徐々に既存のスポンサーさんにご挨拶したりだとか、新規のスポンサーさんに営業に行ったりといったことをやっていきました。

ーー最初に思い描いていたものとのギャップはあったのしょうか?
田中さん:会社のメンバーが非常に若く、歳が近いということで、思っていたよりすんなり入れた印象はあります。もっと苦労するのかなと思ったんですけど、そういう人間関係的なところで言うと、意外にサッカー界からこっちに来た時の大変さみたいなものはなかった印象です。

小泉代表:新規スポンサーの営業先もそうですが、田中自身がクラブのことを発信すると、色んなサッカー業界の人たちとか、彼を慕っている後輩選手たちが反応してくれて、結構なレジェンド選手たちが「裕介くん」「裕介くん」って言っているので、そこの反響は最初に思っていた以上に凄く大きかったなというのが一つありますね。

 それから業務的なところでは、田中は元々現役時代から選手会の就学支援制度を使ってパソコン教室に通ったりしていて、仕事の進め方とか社会人的なコミュニケーションの方法に関しても、ずっとサッカー選手としてやっていたはずなのに、かなりすんなり入れたところは正直、僕らも驚きました。そういうのもひっくるめて、僕ら的にも違和感なく中に入ってくれたなという印象はありました。

■もっと若い人たちをサッカーで盛り上げたい

ーーそういった業務の中で今回のNEW ERAのユニフォームに関しても田中さんがキッカケだったという話ですが?
小泉代表:僕らはWindowsではなくフロント全員がMacBook、PowerPointではなくKeynote、エクセルではなくスプレッドシートと、業務に慣れるまで最初はハードルがあったと思うんです。田中がすぐに作業とかを覚えてくれるとは思っていなかったし、つきっきりで資料作りを教えたりしていた期間が最初にあったんですけど、午後にみっちり覚えることがある中で、ちょこちょこ「NEW ERA展示会」みたいな予定をカレンダーに入れていたんですよ。これは完全にプライベートだよなーと思って(笑)

 なので、「裕介さん、ちょっと仕事中にNEW ERAの展示会はどうなんですかね?」って、どこかのタイミングで言おうかなぐらいの時に、「ちょっと狙っていることがあって、こうなったら凄いなっていうのがあるんですけど、話していいですか?」って言われたんですよ。

 実はNEW ERAの人たちと繋がっていて、「SHIBUYA CITY FCのユニフォームのサプライヤーがNEW ERAになったとしたらインパクトがあるし、クラブのヴィジョンというか、もっと若い人たちをサッカーで盛り上げたいというか、日本サッカー全体のファン年齢層が上がっているという課題がある中で、若者のカルチャーのど真ん中にいるブランドさんと一緒にやっていくという文脈が、SHIBUYA CITY FCにとって凄くポジティブに働くと思う」みたいな話をされたときに、それができたら凄いことになるなと。

 実際に何回か田中が足を運んでコミュニケーションをとったり、「実はこういうことを考えているんです」みたいな話をし始めて、1回資料を作って、ウチのデザイナーと、僕と田中で先方に説明というか、プレゼンをする機会を田中がセッティングしてくれて、実際にお話をして、正式に決まってみたいのが、4月、5月くらい?

田中さん:そうですね。最初に展示会に行ったのが3月1日。アポが4月の頭くらい。5月くらいにはある程度OKみたいな感じで動いていました。

小泉代表:先方の担当の方々も最初のタイミングから「それは面白いね」みたいな感じで前向きに捉えていてくださっていた印象はあります。メインで担当してくださった2名の担当者の方々が社内を説得して下さって、その2人は最初から「一緒にやりたい」と言ってくれていたので、そこの最初の田中とのリレーションが凄く大きかったなと思います。

 僕らはクリエイティブの部分にこだわりを持ってやっていて、若い世代に対してフットボールという競技自体をプロモーションしていきたいという思いと、NEW ERAさんの新時代を作っていくというか、新しいことに挑戦していくところのカルチャーフィットみたいなところは大きかったのかなとは思います。

ーーどれくらい前から温めていたアイディアだったんですか?
田中さん:最初に展示会に行ったときですね。行ったときにパーッと見て、すぐに思いました。もちろんNEW ERAさんという存在は知っていたんですけど、どういったアパレルがあるのかとかは、はっきり見ていなかったので。パッと見た時にSHIBUYA CITY FCと同じく白と黒がベースで、最初はユニフォームのイメージは湧いてないんですけど、練習着とか移動着も含めていいかもとは、すぐに思いました。その時は挨拶だけして、でも抑えきれず、2回目に会った時には提案していましたね。実は…っていう(笑)

小泉代表:今はユニフォームだけ前に出ているんですけど、実は移動着とかバックとか、ピッチ外の部分のチームウェアみたいなところも多数提供としてご用意いただきました。選手たちの反応もめちゃくちゃ良かったです。

 選手たちに伝えた際には喜んでいたというより、みんな「そんなコラボがあり得るのか….」とかなり驚いていました。ユニフォームのお披露目のタイミングではそのかっこよさに大騒ぎでしたね(笑)。

■唯一無二のユニフォームデザイン

ーー今回のユニフォームの特徴は?
小泉代表:ひとつは、渋谷の街、渋区内で撮影した写真を使用しているところですね。109の建物とかは、東急さんにオフィシャルトップパートナーとしてスポンサードいただいているので、許可をいただいたり。渋谷の色んな場所がプリントされていて、唯一無二のユニフォームデザインになっているのが一番大きなところです。

田中さん:スクランブル交差点とかマークシティとかも。あとは、NEW ERAさんが野球のイメージが強いということで、ピンストライプを入れて、サッカーはストライプがよくあるということで、そこをミックスさせています。NEW ERAさんらしさを出しつつ、サイドにNEW ERAのロゴが入っている斬新なデザインでメッシュになっています。これが結構評判がいいんですよ。

田中さん:僕も選手だったので、ギアって一番テンションが上がるんですよ。試合の時はユニフォームだし、練習の時はウォーマーであるとか、袖を通すときに、これを着てやるんだっていうのを自覚してやれることで選手もプレーに重みを持ってやれるというか。モチベーションも上がるかなと思います。

--キャップもあったらいいですね?
小泉代表:横浜F・マリノスさんのサポーターがトリコロールの傘を応援グッズとして揃えるカルチャーがあるじゃないですか。あれがNEW ERAのキャップになったら面白いねという話をしていて、ファン・サポーターの人たちにSHIBUYA CITYのNEW ERAキャップを被ってもらってみたいなのはすごく面白そうだなと思っています。

 あと基本的にはサプライヤーさん側のデザイナーがディレクションをしてユニフォームを作っていくことが通例だと思うんですけど、今回は僕らの過去のユニフォームを見ていただいた上で、SHIBUYA CITYのデザインを評価いただいて、弊社のデザイナーが基本的な全体のコンセプトとか、ベースのデザインを作って、NEW ERAさんのデザイナーとやりとりしながら作らせていただいたというところが、僕ら的にはすごく嬉しかったところです。

 クラブの勝ち筋というか、いわゆるJクラブに対抗していくというところで言うと、デザインや映像など、クリエイティブの部分には自信を持っているので、そこを評価いただいて一緒にやれたことはすごく嬉しかったです。

■クラブへの投資で新ユニを入手?!

 世界初のNEW ERA社製ユニフォームで注目を集める「SHIBUYA CITY FC」だが、これまでにない都市型フットボールクラブを目指し、様々な試みにも挑戦している。そのひとつが、トークンを発行すると同時に支援を募る、Web3時代のあたらしいクラウドファンディング「FiNANCiEフィナンシェ)」というサービスの導入だ。

 トークンとは、応援する「しるし」や「証」の役割を果たすデジタルアイテムで、支援の証になるだけでなく、保有することでクラブ発の投票企画への参加や、トークン保有者限定の特典への応募ができるなど新しい体験ができるデジタル上のアイテムだ。要するに、ただ支援するだけなく、何かしらのリターンが期待できることで、双方にメリットがあるというもの。

 そして今回、1月末まで販売される追加トークンを購入すると、注目を集めているSHIBUYA CITY FCの新ユニフォームをいち早く入手することが可能となる。小泉代表も「要はトークンを買って、かつユニフォームも付いてくるというのは、シンプルにお買い得」と語ってくれたように、最も安い3万円のトークンを購入しても、ユニフォーム自体が1万5000〜1万8000円くらいであるため、資産にもなるトークンを手にしながら、話題のユニフォームも手にできるチャンスになっている。

■新指揮官の下、新たな戦闘服で新時代へ

 2019年に株式会社化し本格的にチーム強化を開始した「SHIBUYA CITY FC」は昨年、元日本代表で解説者の戸田和幸氏をテクニカルダイレクター兼コーチとして招聘。東京都リーグを勝ち抜き関東他県の代表チームが集まるトーナメント戦に初出場を果たしたが、あと一歩のところで昇格を逃すことになった。

 そして、戸田氏がJ3相模原の監督に就任したことを受け、かつて柏レイソルなどで活躍した増嶋竜也氏を新監督に招聘。最後に、新ユニフォームと新監督の下で迎える新シーズンに向けた決意や意気込みを語ってもらった。

小泉代表:昨年から契約を更新した選手が15名ほど残っていて、大体10名強くらいが新加入選手なので、半分近くが入れ替わってはいるんですけど、既存メンバーは昨年、1年間ずっと昇格を目標に設定してやってきた中で関東に上がる昇格トーナメントの2回戦で負けてしまって、そこの悔しさは強烈なものがありました。

 今年は絶対に同じ思いをしたくないというのは、選手・スタッフを含めて共通認識としてあるので、とにかく東京都の予選とトーナメントを絶対に勝ち抜くというところにしか目線はありません。そこにマインドはセットされているので、昇格だけを目指してやっていきたいと思います。

田中さん:去年の前半戦は本当にパーフェクトな出来で、全勝でいけたんですけど、後半少し尻すぼみになってしまった。その理由として、ある意味で固定メンバーが試合に出るようになって、チーム内で少し差が出てしまっていたというところがあったと思うので、全選手が試合に絡んでいけるようなチームづくりをしていくところが1つ。

 そして、昨年は戸田さんという凄い戦術家というか、全てをコントロールしてくれる方がいたので、そこに依存していた部分もあったと思うんですけど、その戸田さんから増嶋監督に代わったところで、また違ったものが必要とされると思っています。具体的には、選手の主体性というか、去年の土台を受け、自分がやるんだというところをより持ってもらいたいということを思っています。

小泉代表:今の僕らは、サッカークラブのビジネスモデルで言うところのスポンサー、放映権、チケット、グッズ、アカデミーという5大要素のうち、基本的にはスポンサーさんからの売り上げ以外はほぼほぼない状態です。ですが、ファン・サポーターの方がちょっとずつ出始めている。直近2〜3年で、サポートして応援してくださる人たちが増えていくフェーズだと思うので、スポンサー企業様からいただく広告費用という既定路線の事業を拡大していくというところと、今まであまり着手してこなかったファン・サポーターというか、toC事業の部分も収益化に向けて動けるように、どうやってファンの数を増やしていくのかっていうところはやっていきたい1年かなと思っています。

田中さん:全く一緒ですね(笑)正直、何から何まで足りていない。これからの部分が多いと思うので、全てチャレンジ精神というか、他がとかではなく、渋谷だからできるみたいなところにフォーカスして色々とやっていきたいというのはあります。サッカーだけにとどまらず、渋谷って本当になんでもあるところがメリットでもあるので、企業さんも含めてですけど、タイアップして色々とやったりとか、それこそ野球のイベントを一緒にやったりだとかも面白いなと思いながら、枠にとらわれないことをしていきたいなと思います。

小泉代表:去年1年やっていて思ったのは、NEW ERAさんの話とかは田中が来なかったら成り立たなかった話で、SHIBUYA CITY FCというチームが僕らを想像していないところに連れて行ってくれる感覚がすごく強く、そういった時にいつでも食いつける状態でいたいとは思っているので、まだ何が起こるかわかっていないというのが正直なところです(笑)。

▼ 新シーズンのユニフォームをいち早く入手!
SHIBUYA CITY FC第4回ファンディングはこちら

By サッカーキング編集部

サッカー総合情報サイト

世界のサッカー情報を配信する国内最高峰のサッカー総合メディア。日本代表をはじめ、Jリーグ、プレミアリーグ、海外日本人選手、高校サッカーなどの国内外の最新ニュース、コラム、選手インタビュー、試合結果速報、ゲーム、ショッピングといったサッカーにまつわるあらゆる情報を提供しています。「X」「Instagram」「YouTube」「TikTok」など、各種SNSサービスも充実したコンテンツを発信中。

SHARE

SOCCERKING VIDEO