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【2023年大会】“広島ダービー”を制したサンフレッチェ広島が8年ぶり4度目の中国王者に《JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN中国》

2023.04.05

 「2023 JA全農杯 全国小学生選抜サッカー IN 中国」が4月1〜2日に岡山県倉敷市の水島緑地福田公園内多目的競技場で開催された。

 「JA全農杯 全国小学生選抜サッカー」は、小学生を対象とした8人制サッカーの大会。中国地方予選の今大会は、開催地の岡山県から4チームと、その他の各県から2チームずつ、合計12チームが参加(その内1チームが辞退)。決勝に進んだ2チームに全国決勝大会の出場権が与えられる。

 試合は12分×3ピリオドの36分間。第1ピリオドと第2ピリオドは事前に決められた選手で戦い、第3ピリオドはメンバー交代自由というルールで行われた。

 大会初日は予選リーグが行われ、各組首位のオオタフットボールクラブ(岡山)、シーガル広島(広島)、レノファ山口FC U-12(山口)、サンフレッチェ広島F.Cジュニア(広島)が決勝トーナメントに進出した。2日目の準決勝では、シーガルがPK戦の末にオオタFCを破り、サンフレッチェ広島がレノファ山口に1-0で勝利。決勝で“広島ダービー”が実現した。なお、昨年の決勝と同じカードとなった3位決定戦は、レノファ山口が2-1でオオタFCに勝利した。

 シーガルとサンフレッチェ広島の対決は、今大会の県予選を含めて3度目。県予選のリーグ戦と決勝で戦い、どちらもサンフレッチェ広島が勝利していた。

 シーガルの福田知樹監督は、「相手はレベルが高いけど、自分たちは強い相手でも良さを出せるチーム。胸を借りるつもりでやりたい」と3度目の正直へ意気込む。一方、サンフレッチェ広島を率いる元Jリーガーの平繁龍一監督は、「シーガルさんは毎年粘り強く、すごく鍛えられたチームなので、うちもそこで負けないようにしたい」と警戒を怠らなかった。

 決勝戦は両チームの強い気持ちを表すような熱いバトルが繰り広げられた。シーガルは激しい球際と素早い攻守の切り替えで、「攻めるように守ろう」と指揮官が掲げるアグレッシブな戦いを体現。対するサンフレッチェ広島はボールを握って攻撃を作ろうとするが、相手のプレスを受けて、思うようなサッカーをさせてもらえない。

 サンフレッチェ広島の10番を背負う坂藤龍之介は、「よく広島でもやっている相手だし、『絶対勝つ』という気持ちだった。だけど試合の入りは、前がかりになりすぎて、つなぐところが適当になっていた。前に行くけど、相手に弾き返されるっていう攻撃がずっと繰り返しになっていた」と振り返る。

 それでも、サンフレッチェ広島は中盤のプレッシャーをかわすようにロングボールを使うなど柔軟な戦いぶりも光った。第1ピリオドで先制点を取ったのも、そのロングボールから。相手GKの処理が中途半端になると、そのこぼれ球に田中怜汰が反応。「FWの(山田)晃士朗が詰めていてくれたので、相手GKがミスするかもしれないと思って寄せていたらそこに(ボールが)転がってきた。GKが前に出ていたから、頭の上を通せば入るかなと思って、そのままループシュートを打ったら入りました」と鮮やかなダイレクトシュートを沈めた。

 第2ピリオドも拮抗した展開が続いたが、1点リードのサンフレッチェ広島がCKのチャンスで長尾昊馬が押し込み追加点。シーガルは2点を失ったものの、持ち味の粘り強い守備で意地を見せる。味方のバックパスが吉田晴太の体に当たり、こぼれ球を相手に拾われてピンチを迎えたが、吉田が懸命に戻って体を張り、「とにかくゴールは割らせないという気持ちで守りました」というスーパーリカバリーで得点を許さなかった。

 第3ピリオドは立ち上がりからお互いに決定的なチャンスを作ったが、どちらも決めきれない。サンフレッチェ広島は徐々にボールを動かして相手を揺さぶるシーンを増やし、北田心暖が抜け出して1対1になるが、これはGKの好セーブに阻まれる。だが、その後のCKで山田晃士朗がゴールネットを揺らして大きな追加点を決めた。

 試合はこのままサンフレッチェ広島が3-0で勝利し、8年ぶり4度目の優勝を果たした。キャプテンの岩成浩和は、「(相手のプレッシャーが)強かったけど、自分たちならできると思っていた」と仲間を信じて戦い、「1年前は3位で終わったので、優勝したい気持ちがみんな強かった。勝てて本当にうれしかった」と優勝を喜んだ。

 平繁監督は決勝戦を振り返って、「シーガルさんの粘り強さや最後まで諦めない気持ちが前面に出ていて、そういうのが大事だなと改めて思った試合だった。チームとしては、もっと自分たちが意図してボールを動かしながら戦いたかったけど、そこはあまり良くできていなかった」と話す。自分たちの思い通りのサッカーを十分に発揮しきれなかったが、要所で試合巧者ぶりを見せて勝利をつかんだ。

 シーガルの福田監督は、「相手を見て状況に合わせて判断する力はサンフレッチェさんがかなり上回っていた。うちはそこが課題なので、そこが勝負の分かれ目だった」と振り返った。惜しくも負けたが、相手を圧倒する球際の強さや素早い攻守の切り替えは、全国大会でも武器になるはずだ。指揮官は、「守備のところと前線の高い位置でボールを奪うところ、特に攻撃から守備の切り替えのところは、この子たちのストロングポイントなので、そこは素直に認めて、これからも磨き続けていきたい」と選手たちを評価した。

 次は両チームとも5月の全国決勝大会に臨む。シーガルのGK弘中溪人は、「決勝戦まで行けたのはみんなのおかげだから勝ちたかった。みんなの力を発揮したけど、負けてしまったので、全国大会で頑張りたい」と準優勝の悔しさを糧にリベンジを誓う。福田監督は全国大会に向けて、「いかに自分たちの良さを磨き続けて、勇気を持って取り組めるかが重要になる。この子たちは明るさとか、元気の良さとか、そういうポジティブなエネルギーを持っているので、全国の舞台でも発揮してほしい」と意気込んだ。

 サンフレッチェ広島の平繁監督は、「この結果を勝ち取ったのは選手たちの力」とチームを称えつつ、「全国大会では普段できないような経験をさせてもらえると思うので、選手たちは日々満足しないように常に高い目標に向かっていってほしい」とさらなる高みを目指す。トップチームの憧れは同じ10番を背負うMF森島司という坂藤は、「全国には強いチームがいっぱいいるけど、『サンフレの10番がうまい』って言われるような選手になりたい」と紫の誇りを持って全国に挑む。

全国16チームによる「チビリンピック2023 JA全農杯 全国小学生選抜サッカー決勝大会」は5月3〜5日に神奈川県横浜市の日産スタジアムで開催される。中国地方の思いを背負って、広島の2チームが全国の舞台で戦う。

取材・文・写真=湊昂大

全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施中。

チビリンピック2024

By サッカーキング編集部

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