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大阪から世界に挑め! J-GREEN堺で国内外48チーム参加の『YANMAR CUP U-12 -#Football is Our Engine- 2023』が開催

2023.12.08

 日本代表が世界に驚きを与え、欧州リーグでも多くの日本人選手が目覚ましい活躍を見せてくれた2023年。その年末12月2日と3日の2日間、『YANMAR CUP U-12 -#Football is Our Engine- 2023』がJ-GREEN堺(大阪府堺市)にて開催された。

 2011年から開催されてきたこの『YANMAR CUP U-12』の開催目的は、“ジュニア年代におけるサッカーの技術向上と健全な心身の育成を図り、広くサッカーの普及振興に寄与することを目的とし、同年代の選手同士の交流を図る”ことであり、ヤンマーホールディングス株式会社による特別協賛の下、8人制・全試合15分ハーフというルールで行われる大会だ。

 今年はカシオ計算機株式会社の協賛も加わり、参加チーム数も昨年の32から48チームへと1.5倍に拡大され、海外からは韓国(4チーム)とオーストラリア(1チーム)、国内はアイリスFC住吉(大阪代表)、京都長岡京SS(京都代表)、スフォンダーレSS(奈良代表)といった年末に開催される全日本U-12サッカー選手権大会に出場するチームに加え、セレッソ大阪U-12など関西中心に岡山、香川、愛知、福井、鳥取、富山の各県から子どもたちが集まり、3チーム×16グループによる予選リーグ後、順位決定トーナメントで優勝を争った。

 決勝戦のカードは、アイリスFC住吉(以下、アイリス)vs.セレッソ大阪U-12(以下、セレッソ)という大阪対決となった。両チームとも予選リーグは2戦2勝で突破し、各グループ1位16チームによる1位トーナメントに入っても1回戦、準々決勝、準決勝とその強さを見せつけて決勝戦に勝ち上がってきた。

 スコアを動かしたのは開始早々2分のセレッソ。川崎心豊(かわさき・しんと)の左足シュートが右スミに決まって幸先よくリードを奪う。そこから試合はショートパスをつなぐセレッソ、スピーディーかつ巧みなドリブルで前進するアイリス、それぞれの特長、持ち味を出したスキルフルな展開から積極的なシュートが飛び交い、あっという間に15分間が経過し前半は終了した。

 後半に入ると、1点を追いかけるアイリスが優勢に試合を進めていくが、ともに球際では激しく競り合い、ボールを奪うと素早いトランジションで攻撃を仕掛けていく。そして後半8分、アイリスが試合を振り出しに戻す。芝野椿也(しばの・しゅんや)が強烈なシュートでニアポスト際を打ち抜いた。同点とし勢いに乗ったアイリスは、一気に逆転ゴールを狙う。それが実ったのは2分後、益田良太(ますだ・りょうた)が右サイドからのラストパスを冷静に流し込んだ。

 追いかける立場になったセレッソは相手ゴール前に迫るが、アイリスはGKを中心に身体を張った粘り強いディフェンスで凌ぐ。そしてアディショナルタイムにアイリスは髙橋璃成(たかはし・りせい)のダメ押しゴールで試合を決着させ、アイリスFC住吉が3ー1で優勝に輝いた。

 両チームの監督が選ぶMIP(副賞は大会ロゴの入ったオリジナルG-SHOCK)はセレッソから川崎心豊、アイリスからは芝野楓也(しばの・ふうや)が選ばれた。そしてMVPに輝いたのは芝野椿也(芝野ツインズでMIPとMVPを獲得!)。彼にはセレッソ大阪の選手直筆サイン入りユニフォームが贈られるとチームメイトからは羨望の声が聞かれた。
 

 選ばれた3人はみな攻撃的ポジションの選手だったが、守備でも手を抜かずハードワークを繰り返せる現代的な選手たちだ。MVPに選ばれた芝野椿也は、贈られたセレッソ大阪のユニフォームを纏うと笑顔で「(決勝には)点を取ることを考えて入った。手ごたえはありました。(目標は)全国1位で、憧れているのは…久保コーチ!」と、大阪の少年らしく笑いをとる場面も。名前を挙げられた久保秀太郎監督は「(求めて)言わせたみたいになったけど、ありがとう(笑)」と笑顔で拍手を送っていたが、「全員が出場して楽しんでサッカーができた。(出場する年末の全日本U-12選手権で)子どもたちと大阪代表として恥ずかしくない戦いをしたい」と意気込みを語った。

 今大会では、昨年の大会同様に大会本部の横に、「ICON」を設置。「ICON」とは、2014年にイングランドで開発されたサッカー専用トレーニング機器のことで、バルセロナら世界各国のクラブチームでも採用されているもの。周囲を円形で囲むパネルの中に人が入り、制限時間内で360度どこかが点灯したらそのランプのパネルにボールを当てるというもので、「パスの精度」や「判断力」を高めることができる。点灯した色に応じてポイントが加算され、ゲーム感覚でトレーニングすることも可能。ポイントを増やすためには、常に首を振って視野を確保する必要があり、止めて蹴る技術が必要とされ、実戦で使える技術向上に、大いに役立てることができる。試合の合間に子どもたちは獲得点数を競い合い、ワイワイと賑やかに楽しんでいた。

 参加チームに感想を聞くと、大阪市ジュネッスFCの塩村コーチは、「この大会には3年連続で参加しています。一昨年優勝、昨年準優勝でした。今年は残念でしたが、チーム数も増えて大会も盛り上がって、レベルも高くなっていると思います」と盛り上がりを実感している様子。

また、韓国から参加し、今大会は準決勝でアイリスに惜敗したSEOUL SHINDAP FC(ソウルシンダップFC)のキム・ウロ監督は、「いい大会だと事前に聞いていましたし、サッカーだけでなく大会の運営面も学びに来ました。もう4、5回参加しています」と述べ、この大会が各方面から高い評価を得ていることをうかがわせた。

 今回、優勝したアイリスFC住吉の子どもたちは、来年度2024年シーズンのセレッソ大阪のホームゲームに招待されることも決定。「YANMAR CUP U-12」で2日間ピッチを駆け回った選手の中から、未来のJリーガーだけでなく、世界で活躍するプレーヤーが生まれることに期待したい。もう来年度の大会が楽しみでならない。

取材・文=貞永晃二
写真=齊藤友也、後藤大輝、佐々木駿秀



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