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女子中学生年代支援へ「JFA×MS&AD なでしこ“つぼみ”プロジェクト」が始動 元なでしこ選手も多数参加

2時間前

ピッチでは「JFA×MS&AD なでしこ“つぼみ”フィールド」が開催 [写真]=金田慎平

 日本サッカー協会(JFA)と、JFAメジャーパートナーのMS&ADホールディングスは、価値共創事業として『JFA×MS&AD なでしこ“つぼみ”プロジェクト』を始動。17日に茨城県水戸市で第1回を開催した。

 同プロジェクトは、女子サッカーの普及に向けて、自治体等と連携して中学生年代女子の受け皿となるサッカークラブ設立や運営の支援、事例発信等を行うもの。2025年4月からの支援開始を予定しており、JFAは対象クラブへ2年間の運営サポートや運営費補助等を行い、MS&ADホールディングスは、グループ各社が長年取り組んできた自治体等と連携した地方創生取組み、地域社会における課題解決やリスク軽減に関する知見やノウハウを提供し、安心・安全な地域 クラブの設立・運営を支援する。

 第1歩となる今回は、「JFA×MS&AD なでしこ“つぼみ”フィールド」と「JFA×MS&AD 地域スポーツ改革カンファレンス」を同時開催。ピッチではプレー機会や競技人口が減ると言われる女子中学生年代が集まり、地元の茨城県、近隣の栃木県、千葉県から合同チームが集まったほか、地震や豪雨で被災した地区である石川県能登の生徒も参加した。

 また、ゲストとして元なでしこジャパンのレジェンドが多数集結。川上直子さん、小林弥生さん、矢野喬子さん、宮間あやさん、鮫島彩さん、阪口夢穂さんが参加し、生徒にサッカーの楽しさを伝えるとともに、ピッチでともに汗を流し、休憩をはさみながら午前と午後、長い時間選手と交流した。また、佐々木則夫JFA女子委員長も来場。その様子を見つめるとともに、プログラムの最後で行われた各チームと元なでしこジャパンチームの試合に佐々木委員長自らも出場し、“ダブルタッチ”を披露するなど、かつての教え子たちの前ではつらつとしたプレーも見せた。

 参加した宮間は「普段一緒にやっていない子や、今回は能登から来てくれた子どもたちもいる中で、1試合目からお互いすぐに声掛けをするような選手が多く、一緒にやっていてサッカーって楽しいものだなと感じました。OGの私たちにとっても、このようなイベントはありがたい機会ですし、今回参加したメンバーはポジションもそれぞれ違うので、選手たちと触れ合う上で、私たちのいろいろな意見が聞けることも、選手たちにとって一番いいことだったと思います」と、充実のコメント。佐々木委員長も「レジェンドのそうそうたるメンバーが来てくれて、本当にいいイベントになりました。U-15世代の子どもたちの環境は、私たちも一生懸命取り組んでいる中で、まだしっかりと構築できてない部分はあります。U-12からサッカーを続けてきたU-15世代に向けて、こういった場を多くし、才能のある子だけでなく、生涯スポーツとして、もっとサッカーと触れ合ってもらい、ぜひ高校や次のステップに繋げていただきたい。今回、多くの方にご理解いただき、一緒に協力していただいて、私たちとしてもU-15世代を次に繋げるということの中で、非常に重要なイベントだと思っています。必ずこういった機会には参加して、さらに多くのレジェンドたちに来てもらい、サッカーの楽しさを伝えてもらいたいと思っています」と、こういったイベントの重要性と、中学生年代の環境整備・改革への意欲を改めて見せている。

 ピッチでは選手が交流するとともに、会議室では「JFA×MS&AD 地域スポーツ改革カンファレンス」が開催。部活動地域移行や地域クラブの設立・運営など、地域スポーツの活性化の取り組みに関心のある自治体、民間スポーツクラブ、指導者を対象に、現場での具体的な事例が共有・議論された。こちらは影山雅永JFA技術委員長が世界と比較してのJFAの現況、日本での状況、今後目指すべき日本サッカーの姿を説明。強化を並行して、少子化や教育現場の現状を踏まえた上での“生涯スポーツ”としてのサッカー環境の整備の重要性が説かれた。また、“女子サッカーのまち”宣言をしている佐賀県みやき町のクラブ『みやきなでしこクラブ』で昨年まで代表を務めた海堀あゆみさん、部活動の地域移行事例として千葉県柏市教育委員会の相澤智幸さん、街クラブ事例として一般社団法人福知山ユナイテッド代表の片野翔大さんなどからそれぞれの取り組みが紹介された。

 影山技術委員長は「今は少子化問題もあり、学校でスポーツをどうしていくのか、スポーツだけでなく文化的な活動も含めて、スポーツ界が本来のスポーツになっていく大事なタイミングだと思っています。これは1年でできるものではなく、10年後、20年後に向けて『こうなりたい』というものを私たちがしっかりと示さなければいけません。それは時間がかかることですが、まずスタートを切る、という段階にあります。なでしこジャパンが世界チャンピオンになり、今これだけサッカー楽しむ女の子も増え、夢を与えられる存在ではあると思う一方、その場所がないから諦めてしまっている部分があります。やりたい子どもたちに、どう場所を提供できるのか。地域の方々と一緒に、どう増やしていけるかが私たちサッカー界にとっても大事なことですし、サッカー界は垣根をなくしてきた歴史の中でここまで育ってきたので、今あるバイアスもどんどん取り払い、やっていきたいと考えています」とコメントしている。

『JFA×MS&AD なでしこ”つぼみ”プロジェクト』とは、持続可能で多様なスポーツ環境を提供するために、JFAとMS&ADホールディングスが自治体と連携し、中学生年代女子の受け皿となる地域クラブの創設や運営の支援、事例発信などを行うプロジェクト。支援の開始は2025年4月からを予定しており、対象クラブには、JFAによる2年間のサポート(クラブ運営のサポート、運営費の補助等)が行われる。2014年からの10年間で中学生年代のJFA登録選手数が22.1%減と、当該年代の人口減少率(-9.2%)を上回るペースで減少していて、特に中体連の登録選手数が38.5%減という顕著な減少率を示しているため、学校単位で部活動を維持できない状況を鑑み、スポーツをしたい子どもたちが支障なく、好きな競技をプレーできるようにするため、地域で受け皿となるクラブづくり、特に受け皿の少ない女子中学生年代への課題を解決するため、開始されたプロジェクトとなっている。

By サッカーキング編集部

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