大久保(手前)ら強力なアタッカーを多数擁する川崎 [写真]=Getty Images
■川崎フロンターレ リーグ屈指の破壊力を誇る攻撃陣に期待
勝利に勝る良薬はない。前節のFC東京戦は4-0で完勝し、リーグ戦初勝利を挙げた。ようやくエンジンがかかってきた。
前節からメンバーの入れ替えはなさそうだ。登里享平が離脱した左SBには、今節も新人の谷口彰悟が入る。本職はボランチだが、狭い局面における足元でのつなぎに加え、空中戦もそつなくこなし、チームの攻守に安定感をもたらすピースとなった。負傷により途中交代した井川祐輔も問題なく復帰予定だが、出場が微妙ならば中澤聡太が入るだろう。両者ともに名古屋の西野朗監督の下でプレーした経験があり、特に中澤はG大阪と柏の2クラブで長く指導を受けている。「自分にとって大きな人なので楽しみですね。試合中、何度かベンチを見ると思います(笑)。でも今はこのチームで誇りを持って戦いたい」と恩師との対戦を心待ちにしているようだ。
最大の武器は、10得点と現在リーグ最多の得点数を誇る攻撃陣だろう。前節は大久保嘉人と小林悠がともに2得点と自慢の得点力を披露。昨年は大久保のワントップで得点を量産したが、今年は小林がアクセントをつけている。左サイドのアタッカー、レナトの突破力も健在。次のゴールがクラブ史上1000ゴール目でもあり、その記念弾を誰が決めるかにも注目だ。
懸念材料と言えば、U-21代表合宿帰りの大島僚太のコンディションか。相手は3連勝中だが、大勝による気の弛みもなく連勝といきたい。(いしかわごう)
■名古屋グランパス 川崎撃破の鍵はコンパクトな守備組織の構築
リーグ戦3連勝中の名古屋。前節は地力のある神戸を相手に、しぶとく勝ち切った。発展途上とはいえ、拮抗したゲームを勝ち切れる勝負強さが際立っている。しかし、名古屋のやるべきことは変わらない。まずは主導権を握る戦いを目指す。
名古屋は「攻撃スタイル」を謳うチームだが、好調の要因はコンパクトな守備組織にある。第3節の柏戦、前節の神戸戦と、相手に与えた決定機はいずれも一度だけ。ボールを奪えていることで、主導権を握る時間帯も増えてきている。
とはいえ、風間フロンターレの攻撃は、リーグ屈指の破壊力。オフェンス面の成熟度は、リーグでもトップクラスだろう。特にアジリティーに優れる大久保嘉人と小林悠は、空中戦に強い名古屋の守備陣が苦手とするタイプ。昨季は両者に得点を許しているだけに、コンパクトな組織的守備をおざなりにはできない。加えて、通算成績は5勝4分11敗。嫌なデータを払拭するためにも、まずはボールを保持したい。動かし方・失い方には注意が必要だが、その時間が長いほど、守備に神経を割く時間も減る。そしてポゼッションの中から得点を奪えるのが、今季の名古屋。先制点がポイントだろう。
ただし、西野朗監督の采配がことごとく当たっている点も見逃せない。柏戦では途中出場の矢野貴章が決勝点をアシストし、神戸戦では玉田圭司に代わって投入された松田力が土壇場で決勝ゴール。試合が拮抗した際に、百戦錬磨の知将が切る交代カードには注目である。
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