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Jリーグのスポンサー力でチーム成果は変わるのか?

2014.09.24

現在J1で首位に立つ浦和 [写真]=Getty Images

 現在首位を走る浦和レッズを筆頭に、鹿島アントラーズ川崎フロンターレサガン鳥栖ガンバ大阪などがJ1リーグで上位を争っています。首位の浦和と2位川崎の勝ち点差は現在6点、3位以下も接戦を繰り広げ今シーズンも大混戦の様相を呈しています。まだ優勝争いの先は見えていませんが、今回はJリーグのスポンサー力でとチーム成果は変わるのか、過去の成績などを元に検証していきたいと思います。(2014年9月24日時点)

 Jリーグ加盟チームの最大の収入源は、ユニフォームやスタジアムのサイネージや看板に企業名や商品名を入れる広告収入です。割合としては広告収入が約5割、入場料収入が2割となっています。スポンサーは出資者と違い、運営に関する発言権などはありません。発言権がないとはいえ、収入の半分を占める広告料を負担するスポンサーの存在は、チーム(運営組織)にとって重要な存在であり、チームの強化力にも関係してくると考えられます。広告料収入の多いチームはそれだけ強固で優秀なスポンサーが付いているわけですが、2013年度の上位10チームの広告料収入と昨年の成績をまとめてみました。

1位 名古屋グランパス(2,457/11位)
2位 浦和レッズ(2,319/6位)
3位 大宮アルディージャ(2,296/14位)
4位 柏レイソル(1,947/10位)
5位 鹿島アントラーズ(1,864/5位)
6位 川崎フロンターレ(1,702/3位)
7位 ジュビロ磐田(1,645/17位)
8位 横浜F・マリノス(1,513/2位)
9位 セレッソ大阪(1,499/4位)
10位 FC東京(1,422/8位)

※(カッコ内、広告料収入(単位は百万円)/リーグ戦順位)

 広告料収入上位10チーム中、成績も10位以内に入ったのは6チームとなりました。ちなみに2013年度のJ1優勝を果たした広島の広告料収入は13億円強で、広告収入では11位でしたが、その他の収益や、経費等を差し引いた純利益は1億3000万円の利益をだし、チーム別2位でした。単純に広告料の順位よりも、最終的に安定した運営を行えるチームが好成績を残しているとみることができます。

■Jリーグチームの人件費と順位の関係

 チームの強化に手っ取り早いのは有力選手の確保です。優勝争いに絡むような有力選手を得るには相当の報酬が必要となってきますから、人件費を多く出せるようなチームが有利となりそうです。多額の人件費を捻出するには、営業成績がいいのはもちろん、スポンサー力も影響してくるといえます。実際人件費とチームの成績は比例しているのでしょうか? J1リーグの2013年度の人件費上位10位のチームと人件費の額、そして昨年度の成績をまとめてみました。

1位 名古屋グランパス(2,348/11位)
2位 柏レイソル(2,118/10位)
3位 浦和レッズ(2,016/6位)
4位 鹿島アントラーズ(1,701/5位)
5位 横浜F・マリノス(1,701/2位)
6位 FC東京(1,637/8位)
7位 大宮アルディージャ(1,606/14位)
8位 川崎フロンターレ(1,557/3位)
9位 サンフレッチェ広島(1,449/1位)
10位 ジュビロ磐田(1,369/17位)

※(カッコ内、広告料収入(単位は百万円)/リーグ戦順位)

 J1リーグの2013年度の平均人件費は13億9000万円ですが、20億円以上の人件費を費やした名古屋、柏、浦和の順位は6~11位とあまりふるっていません。一方優勝した広島は14億円ほどと平均に近い額です。J1リーグに関しては人件費の多寡が順位を左右しない傾向にあるようです。しかし今季は浦和が現在首位を取っていますので、人件費への投資は長い目でみてみるとチーム強化につながる可能性もありそうです。

■今季首位「浦和レッズ」のスポンサーと財務力

 今季首位を走るのは浦和です。スポンサーである浦和レッズパートナーには、POLUS、ナイキ、三菱自動車工業、DHLといった企業が並びます。また株主は母体企業である三菱自動車工業の他、さいたま市、埼玉県の他、27社のスポンサーがそれぞれ出資しています。ユニフォームの広告料(胸スポンサー)は年間10億円とも言われていますが、いま現在胸スポンサーになっているのはポラス株式会社です。

 ポラス株式会社は、埼玉県越谷市に本社を置く、埼玉県や首都圏を商圏とした傘下に多数の不動産関係のグループ会社を持つ持ち株会社です。平成25年度のグループ合計売上高は2349億円(連結会社全体)、グループ合計経常利益は114億円(連結全体)となっています。4期連続で売上高を更新し、順調に業績を伸ばしている企業です。

 浦和の広告料収入は先ほどまとめたように23億1900万円ですが、それ以外の収入を含めた営業収益は57億8600万円、対して人件費などを含む営業費用は56億8300万円となり、最終的な2013年度の純利益は9200万円でした。昨年1位の広島に次ぐ好財務状態です。安定したスポンサーや出資者を抱え、堅調な財務状況にある浦和レッズの活躍に今季は期待できるかもしれません。

■健全な財務運営もJリーグチームの重要課題

 Jリーグから開示された2013年度のJクラブ経営情報によると、J1、J2のチームで12チームが赤字や債務超過などで経営危機にあることが明らかになりました。この中で3期連続の赤字はJ1では名古屋、J2からは栃木SC、ザスパクサツ群馬など5チームがあげられています。債務超過も11チームあり、これらのチームはJリーグによってクラブライセンスを更新しない候補に位置づけられています。成績以前にJリーグから退会させられてしまうと元も子もないですから、各チームとも健全な財務運営が行われるよう早急に対策することが課題となります。そういう環境の中では安定した力をもつスポンサーを獲得しているチームは、非常に有利と言えそうです。

(記事/ZUU Online)

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