■ヴァンフォーレ甲府 新布陣で攻撃陣の活性化を狙う
今週の練習で樋口靖洋監督は「攻撃の推進力、躍動感を出したい」と、2トップ・3ボランチを採用。これはキャンプの段階から試していた布陣で、アドリアーノは「近くに選手がいる分、コンビネーションを作りやすい」と歓迎する。その他、前線にターゲットが二つできる、攻撃時にボランチ3枚のうち2枚が攻撃に参加できるなどのメリットを選手たちは感じている。まずは開幕戦で、枠内シュート「0」に終わった攻撃の活性を図りたい。
明るい材料としては、左ひざを痛めていたボランチの新井涼平が、予定より1週間ほど早く復帰。「自分が球際の激しさを出してルーズボールを拾っていけば、攻撃の時間も増えるし、開幕戦のようにシュートを打たれることもないはず」と、意気込んでいる。ただ、プレシーズンの段階では、2トップはアドリアーノとウィリアム・エンリケのコンビがほとんど。3ボランチも今年初めての組み合わせとなる。実戦を通して、連係を細部まで詰め切れていない点は気掛かりだ。
両チームともセットプレーで失点した開幕戦、先発11人の平均身長は名古屋が180.2cmで、甲府は175.6cmだった。今節もセットプレーは勝負を分けるカギになるはず。サイズの差は「ポジショニングで先手を取る。しっかりと身体を寄せる」(樋口監督)ことで埋めていきたい。また、川又堅碁は岡山、新潟時代からの“甲府キラー”。彼には十分な警戒が必要だ。(渡辺功)
■甲府予想スタメン
3-5-2
GK
荻晃太
DF
畑尾大翔
山本英臣
野田紘史
MF
松橋優
新井涼平
阿部翔平
石原克哉
稲垣祥
FW
アドリアーノ
阿部拓馬
■名古屋グランパス 昇格組相手に白星を逃すも得点力は大きな魅力
開幕戦は収穫と課題の双方が等しく出たような試合だった。収穫の一つはノヴァコヴィッチと小屋松知哉の活躍。前者はプレシーズンの動きが嘘のように前線で体を張り、スーパーな反転シュートで試合を振り出しに戻してみせた。後者は指揮官の抜擢に応え、1点ビハインドの前半にプロ初ゴールを記録。この二人の活躍は連係不足が不安視されていた前線にとっては光明と言えた。
また、1―3からの追い上げはリーグ随一の高さと強さを活かしたものであり、流れを無視した得点能力は今後、接戦を制する大きな武器となる。その全てを生み出したのは指揮官の采配と起用法であり、これもシーズンを戦う上では大きなプラス要因だ。
その一方で、課題が多いのも事実。早急な対応が必要なのはセットプレーの守備で、警戒していたにも関わらず2失点を献上した。そのための練習時間がまさかの降雪で阻まれるなど、準備が遅れているのも気掛かりだ。甲府は松本以上にリトリートして守ってくる相手だけに、セットプレーでの失点は普段以上に大きくのしかかることになる。
前述のパワープレー以外に攻撃面での対策が見出だせていないのも、試合の見通しを悪くしている要素となる。12日の非公開練習でどれだけ有益なトレーニングが積めたかどうかが、今節の行方を左右することになりそうだ。(今井雄一朗)
■名古屋予想スタメン
4-2-3-1
GK
楢崎正剛
DF
竹内彬
牟田雄祐
田中マルクス闘莉王
本多勇喜
MF
ダニルソン
田口泰士
矢田旭
小屋松知哉
永井謙佑
FW
ノヴァコヴィッチ