「そういう彼の感覚と合ったので、あのゴールに関しては非常にいいゴールだったかなと思います」。彼とは伊藤翔のこと。そして、このコメントの主は三門雄大。先制点は、2人のイメージがうまく合致した結果だった。
横浜F・マリノスはアウェーで先制しながらも、浦和レッズに1−2で敗れた。その先制点を生み出したのが、今シーズン初先発となった伊藤だった。
34分、三門が自陣深くで奪ったボールをドリブルで運ぶ。と同時に、よそ見することなく伊藤を見る。そして伊藤が真っ直ぐ走りながらも一瞬膨らんで、相手DFの間にうまく入ったタイミングでスルーパスを送ると、前を向きながらボールを受けた伊藤がゴールネットを揺らした。
「その前に同じようなシーンでミカちゃん(三門雄大)が(齋藤)学に出したシーンがあったんですけど、それでミカちゃんはこっちに出しておけば良かったなという後悔があったと思うんです。それで同じような動きというか膨らんでボールをもらえる位置にいれば、来るなと思っていたら本当に来て感謝しています」
“その前”とは、開始9分のシーンだ。ハーフウェーライン付近でボールを奪った三門がドリブルで持ち上がる。この時、右から中央寄りに走り出した喜田拓也、中央で背後を狙う伊藤、そして左サイドを駆け上がる齋藤という3つのパスの出しどころがあった。三門は迷いながらも、左の齋藤を選択していた。
「その前に学に出して、学からのクロスでチャンスがあったと思うんですけど、その時も翔が結構いい動き出しをしてくれていて。その時には出せなかったので、次は見てあげようと思っていた。そうしたらもう一回同じような場面が来たので、一か八かというのもアリだと思ったので(出した)」
開始9分のズレを、34分にゴールという結果に結びつける。勝利こそついてはこなかったものの、2人の完璧な共通のイメージから生まれた素晴しい先制点だった。