地方の雄が掴んだ今季2勝目…最下位甲府、浮上のきっかけとなるか

甲府の樋口監督 [写真]=Getty Images

 ついに、長いトンネルを抜け出したか。ヴァンフォーレ甲府は、2日にアウェーで行われたJ1 1stステージ第9節の鹿島アントラーズ戦で、7試合ぶりの勝利を挙げた。

 第2節の名古屋グランパス戦で、今季初勝利を挙げてから6連敗。樋口靖洋監督も「非常に苦しい4月から月が変わり、1つきっかけを掴めるような勝ち点3を取ることができて嬉しい」と、1-0の白星を喜んだ。

 大型連休で試合間隔が詰まる中、「連戦の中で90分間パワーを持って戦うことが大事。先発メンバーの中に90分間持つかどうかという選手を加えられない」という指揮官は、今季リーグ戦で初先発となる若手の堀米勇輝や橋爪勇樹らを送り出した。

 相手の鹿島も5日に行われるAFCチャンピオンズリーグの大一番を睨んで、前節から先発メンバーを6選手変更したが、トニーニョ・セレーゾ監督が「全体的に自分たちのやってきたことは出し切れなかった」と嘆く出来。対照的に、甲府は最後尾のGK荻晃太が「戦術、技術で比較すれば僕らが劣っていることは否めない。ただ、球際の部分で体を投げ出してシュートを防ぐ、ペナルティーエリア内に8人入ってもゴールを与えない。そういう部分が今日はあった」と振り返った守備で、敵地で押し込まれながらも無失点で凌いだ。

 そして、大きな勝因となったのが47分の先制ゴール。これまでの8試合でわずか2得点だったが、ハーフタイムに樋口監督が飛ばした「先に点を取って必ず勝つぞ」という檄が効いたのか、後半開始直後に結果的に決勝点となったゴールが生まれた。

 殊勲のゴールを挙げたのは、こちらもリーグ初先発となるルーキーの伊東純也。相手のパスミスを拾った阿部拓馬の浮き球に反応して、ゴール前に一気に抜け出すと、「浮いたボールの落ち際を上手く逆サイドに打てた」というように、胸トラップからの右足シュートでゴールを射抜いた。

 ようやく挙げた今季2勝目だが、シーズンの約4分の1を終えて依然最下位に沈んでいる。「このままのペースで勝ち点を重ねても、間違いなく降格すると思う。今日や名古屋戦で自分たちがどういう意識で守備をしていたのか。今まで喫した失点を減らすことはできないので、こういう時こそチーム一丸となって守備の部分で修正を加えていきたい」とは、荻の言葉。

 約2カ月ぶりの勝ち点3は、チームの先行きを照らす一筋の光になるのか。それとも暗闇に差し込んだ一瞬の光に終わるのか。3度目のJ1昇格から3シーズン目。地方の雄の戦いは続く。

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