今シーズン、松本山雅から川崎に移籍した船山 [写真]=Getty Images
文=元川悦子
浦和レッズの2015年第1ステージ制覇のかかったヴィッセル神戸戦が一番の注目だった6月20日のJ1第16節。その舞台から遠く離れた川崎・等々力競技場では、6位・川崎フロンターレと14位・松本山雅が激突した。
遠く信州から5000人もの大観衆が駆けつける中、ひと際、注目を集めたのが、川崎の背番号15をつける船山貴之。昨季まで松本山雅の10番を背負い、J2の3シーズンで42得点を叩き出したかつてのエースである。
「移籍のことはむちゃくちゃ悩みました。ファンとかサポーターとか言い出したらキリがないけど、一番はソリさん(反町康治監督)との関係ですね。ソリさんが信じてくれたし、俺も信じたし、使い切ってくれたのが大きかった。山雅での3年間がなければ今の自分もない」と船山は新天地を見出した今季開幕直前、古巣への思いを素直に吐露していた。「6月の山雅戦の時には試合に出られるようになっていないとね」とも語っており、このカードを目標に自分を磨き続けてきた。
移籍当初は風間八宏監督に「いいものを持っているけど、ウチのリズムに合わせるのは簡単じゃない」と課題を指摘され、思うように出場機会を得られなかった。それでも尊敬する先輩・大久保嘉人とのシュート練習を日課とし、川崎の色に染まろうと努めた。
その甲斐あって、4月18日のベガルタ仙台戦でリーグ初出場。5月2日のFC東京戦からスタメンの座を確保し、ここまでコンスタントにピッチに立ち続けてきた。「貴之はすごくいいよね。気を使えるし、足元もうまいしね」と大久保も太鼓判を押すほどの成長を見せ、この日を迎えたのである。
試合は案の定、序盤から川崎が一方的にボールを支配する展開となった。川崎は大久保が低い位置に下がってチャンスメークに回り、船山はレナトらと前線を左右に動きながら得点チャンスを狙う。この神出鬼没な攻めに山雅守備陣は翻弄されながら、何とか耐え続けていたが、前半終了間際に一瞬のスキを突かれてしまう。川崎の巧みなパス回しから中央でボールを受けたエウシーニョが裏に飛び出した船山へパス。この瞬間、彼はシュート打つかと思いきや、浮き球のボールを中央へ。ここに飛び込み、頭で合わせたのがレナト。完璧な崩しからの一撃だった。
「ボールをもらった瞬間、打とうと思ったけど(中が)見えたんで。あそこで打つより正確に出した方が得点につながる確率が高いので。(山雅にいた)去年までだったら? あそこに人がいなかったと思う」と本人も冗談交じりに川崎攻撃陣の分厚さを口にした。確かにこの瞬間、レナトだけでなく武岡優斗、大久保もゴール前へ侵入していた。このあたりが攻撃サッカーを標榜する風間イズムが凝縮された形なのだろう。
「船山がいい所に動いて、完全に横を向かれた。あの瞬間、ほとんど入ったなとは思いましたけど、いい形でクロスを上げられた。レナトを生かすためにあいつが引っ張ったりと、いい動きをしていた。山雅ではあいつが一番うまい感じだったけど、川崎にはもっとうまい選手がいますし、やっぱり成長してるんじゃないかと思います」と流通経済大時代の先輩で、親友でもある山雅のキャプテン・飯田真輝も、J1の舞台で初めて対峙した船山の進化を素直に認めていた。
古巣相手に先制点をお膳立てしたのだから、あとは自らゴールを奪うしかない。移籍後、ここまでJ1無得点というのは、生粋の点取屋にとっても納得いかない状況だ。長いトンネルから何としても抜け出したかった。
その絶好のチャンスだったのが、後半17分。田中隼磨のハンドで得たPKだ。本人は蹴りたいと大久保に主張したが、アッサリと却下されてしまった。
「貴之は蹴りたかっただろうね。だけどそんなに甘くない(笑)。いくら古巣相手だろうと、PKで点取っても乗れない。だから『普通に点取れ』と言った。俺も逆の立場だったらそうするからね」と大久保は焦る後輩を説き伏せた。そのPKは結局、決まらなかったものの、川崎は直後にエウシーニョが追加点を挙げて2-0と圧勝。船山自身は中村憲剛のスルーパスに飛び込んだ後半27分の決定機があったが、それを決めきれず、またもJ1初ゴールはお預けとなった。
「ノーゴールから抜け出す方法? 知りたい、俺が(苦笑)。ホント、練習するしかないです」と船山は悔しさをのぞかせた。それでも彼は、久しぶりに山雅サポーターから送られた熱い激励に刺激を受けた様子だった。そして自らを大きく飛躍させてくれた反町監督から頭を叩かれ、エルシオフィジカルコーチから力強い抱擁を受けたことも、向上心を煽ったはずだ。
次こそ、流れの中からのゴールを奪う…。
それを改めて心に誓った船山貴之。彼の川崎初ゴールは果たしていつ見られるのか。そして大久保嘉人のような頭抜けた点取屋として覚醒する日は訪れるのか。それを多くの人々が楽しみに待ち続けている。
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By 元川悦子