提携記者会見に出席したブリース氏(日産自動車常務執行役員)、バートン氏(SAPバイスプレジデント)、嘉悦氏(横浜マリノス社長)オマール氏(CFMコマーシャル・ディレクター)(左から) [写真]=Y.F.M
マンチェスター・C、メルボルン・シティ、ニューヨーク・シティを所有し、横浜F・マリノスの少数株主であるシティ・フットボール・グループ(CFG)は、ドイツの大手IT企業であるSAP社と7月にマーケティングおよびテクノロジーを対象とした複数年のグローバルパートナーシップを締結。17日には日産スタジアムでSAP、CFG、横浜FM、日産自動車の代表が出席し、提携についての記者会見が行われた。
SAP社はNBAやNFL、テニスなどのスポーツリーグや、マクラーレン・ホンダ(F1)、サンフランシスコ・49ers(NFL)などの個別チーム、さらには多くのスタジアムやシルク・ドゥ・ソレイユなどと提携をしている。サッカー分野ではバイエルンとのパートナーシップの他、2014年のワールドカップを制覇したドイツ代表を情報面で大きくサポートし、その貢献度が注目されている。
会見に出席したSAP社のSEグローバルスポンサーシップ担当バイスプレジデントであるクリス・バートン氏は、「マリノスには世界でも熱いファンがいます。数カ月前から話し合いをしてきましたが、常に話の中心にはファンの存在がありました。なぜ我々がマリノスに投資するのか、それはファンのためです。テクノロジーの改革が世界中で起きていますが、皆様が愛しているサッカーを通じて、それを伝える、感じてもらえることができると考えています」と挨拶。
今回の提携発表においてSAP社とCFGは、『ビジネスオペレーション』、『ファンエンゲージメント』、『プレイヤーおよびチームパフォーマンス』の強化に主眼を置いているとしているが、バートン氏は特に『ファンエンゲージメント』の部分を強調。「皆様の生活をテクノロジーがどう助けていくかを考えていかなければいけません。現代に生まれている子どもたちは“デジタルネイティブ”です。そういった層にもどうやってマリノスの存在、SAPの技術を伝えていくかが重要となります。SAPの技術を使って、マリノスブランドがスタジアムで目につくようになります。また、ゲームデータもアプリなどを用いてリアルタイムに伝えていきたいと考えています。我々はスタジアム全体を変えていきたいと考えています。NBAには興味深いデータがあります。バスケットボールファンで実際にコートまで足を運ぶ方はファン全体の2パーセントほどです。マリノスにおけるその割合はこれから精査しますが、スタジアムにどれだけのファンを連れてこられるかを考えていきたいです。“クレイジー”で“ハッピー”な体験をスタジアムにきたファンに伝えたいですね」と挨拶で述べている。
横浜マリノス株式会社の嘉悦朗代表取締役社長も、「ビジネスとピッチで支援していただきたいです」と、今回への提携への期待を口にし、「データに基づいたマーケティングをしていきたいと考えています。2010年以降、入場者増に努めてきましたが、昨年壁にぶち当たりました。そこで何か変化が必要であると考えました。そのノウハウを持っているSAP社のバックアップがあれば、まさに鬼に金棒と言えます」と、スタジアムを訪れるファンの増加を掲げ、「ファンエンゲージメントにおいても、試合のデータや選手のデータをリアルタイムで発信していければ、関心を持っていただけると思います」と、SAP社のバートン氏と同じ考えを持っているとコメントした。
CFGはイングランド、オーストラリア、アメリカ、そして日本とグローバルにサッカークラブの運営をしているが、嘉悦社長は「人材管理の領域でも協力していきたい」と話し、「グループ内での共有はできていますが、各チームでの細かいニーズは異なります。様々な選手のデータを共有し、それを用いれば、世界中の選手データを得て、効果的なチーム補強も可能となります。選手のコンディション管理など医科学分野での協力もそうですね。アジアそして世界で戦えるクラブにしてきたいです」と意欲的に話す。
CFGのコマーシャル・ディレクターであるオマール・ベラーダ氏も「世界中のファンに最高の体験をしてもらいたいと考えており、その中で様々なパートナーを探しています。市場の観点から言っても、日本には敬意のあるリーグ、質の高いサッカー、熱狂的なファンと大きな3つの要素があります。長期の関係を構築し、より素晴らしい経験を提供していきたいです。SAP社はそのパートナーとしてふさわしいと考えております」、今回提携を発表した4者が全て同じ方向を向いて、強化・協力の体制作りをしていくとしている。
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