2戦連続ゴールを決めた東(右)。試合後は悔しさを露わにした [写真]=瀬藤尚美
熱戦の幕切れを知らせる笛の音が響いた瞬間、ペナルティエリア付近にいたFC東京の4選手は、しばらくその場を動けなかった。太田宏介はその場でピッチに倒れこみ、東慶悟は芝をたたいて悔しさを露わにした。
試合後のミックスゾーンは重い空気に包まれていた。2戦連続ゴールを決めた東は「絶対に勝たないといけない試合だった。勝てなくて残念です」とがっくりと肩を落とした。
明治安田生命J1リーグ・2ndステージ第13節のサンフレッチェ広島戦では、アウェーで僅差の勝負をものにした。過去の“勝負弱い”という雑音を自分たちの力でかき消したと言ってもいいだろう。1999年のクラブ創設以降、初めてはっきりと優勝への道筋が見えた。
しかし、ホームで迎えた第14節の湘南ベルマーレ戦では、格下相手にまさかの敗戦。優勝戦線から一歩遠のいてしまう。
そして迎えた第15節、浦和レッズを味の素スタジアムに迎え撃った一戦は、優勝をもぎ取るために絶対に負けられないゲームだった。しかし、立ち上がりにミス絡みで失点を喫し、一時は1-4の大差を付けられた。途中出場の松田陸は「ベンチから見ていて、いつもの東京じゃないと思った」と言い、「相手の勢いを感じたし、雰囲気が違った。ちょっと受け身になり過ぎていたのかもしれない」と分析した。
イタリア人指揮官の下で培った強固な守備で、ここまでクラブ史上最多の勝ち点を積み上げてきた。浦和戦では前回、前々回の対戦でも4失点を喫したが、3戦連続となるとプレーしている選手たちも精神的に堪えたはずだ。それにもかかわらず、ここからFC東京の逆襲が始まった。74分、84分と高橋秀人の連続ゴールで1点差に詰め寄る。終盤に左サイドの太田を中心に猛攻を仕掛けたが、一歩届かなかった。
試合後、選手は口々に「悔しい」とこぼしていたが、それぞれの目はすでに次に向けられている。前節負った左足打撲が完治していない中で強行出場したキャプテンの森重真人は「連敗したが、終わったわけじゃない。残り2試合に気持ちを切り替えて、バラバラにならず、もう一度全員で勝ちにいきたい」と静かに闘志を燃やす。
魂のこもったプレーで2ゴールを挙げた高橋は、短い言葉に力を込めた。
「可能性がある限り、精いっぱいやるだけです」
この日、今シーズンのJ1リーグ年間総合、2ndステージともに優勝が消滅した。しかし、依然として年間3位でのJリーグチャンピオンシップ進出の可能性は残している。本当にFC東京は生まれ変わったのか。首都クラブの真価とは。むしろラスト2戦でこそ、本物の“勝負強さ”が問われることになる。
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By サッカーキング編集部
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