浦和レッズは30日、ガンバ大阪のFWパトリックに対してツイッターで人種差別的な投稿をした埼玉県内の高校生から、学校を通じて謝罪の申し入れがあったと発表した。
28日に行われた明治安田生命2015Jリーグチャンピオンシップ準決勝の浦和対G大阪戦(1-3で浦和が敗戦)後、チーム3点目を挙げたパトリックに対して人種差別の投稿が行われた。
これに対し、同選手は自身のツイッターで「こういった書き込みはどんな人でも傷つきます。私は黒人であることをとても誇りに思っています。息子も黒人ですし、とても幸せです。今回の件は、どれほど悲しいかは神様にしか分からないです」とコメント。浦和、G大阪の両クラブに加えJリーグも人種差別非難の声明を出す事態となり、同選手の母国であるブラジルでも報じられた。
発表によると、投稿を行ったのは年1~2回埼玉スタジアム2002で浦和の試合を観戦する高校生で、浦和は学校から、「本人から該当するコメントを投稿したとの申し出があった」との報告を受けた。本人は「自宅でテレビ観戦中に投稿してしまいました。投稿を後悔し深く反省しています。パトリック選手やガンバ大阪に謝罪したいです」と話したという。
クラブは、「浦和レッズを応援する高校生が差別的な投稿をしていたことは、非常に残念です。浦和レッズは、パトリック選手はもちろんのこと、ガンバ大阪、Jリーグをはじめとするサッカーに関わる全ての皆さまに深くお詫び申し上げます」と謝罪。
また、投稿者の通う学校も、「様々な機会を通じてあらゆる差別が絶対にあってはならないものであることを教育して参りました。また、SNSの利用につきましても、その危険性を教えるとともに誹謗中傷や無断掲載等は決して行ってはならないことを指導して参りました。にもかかわらず、こうした行為を予知予防することが出来なかったことは遺憾であります。生徒指導が至りませず、誠に申し訳ありませんでした。本件を真摯に受け止めた上で、今後は、改めて人権教育に取り組み、国際教養とライフスキル教育を推進して参ります」との声明文を発表した。
そして、G大阪も同日に声明文を発表。謝罪の申し入れはJリーグから報告され、パトリックにも伝えられたという。クラブ公式サイトで、「パトリック選手は既に大勢の方々からの励ましの声を受け、現在の心境は落ち着いております。同時に、今後の練習と試合に集中したい意向を強く持っています。投稿者本人の深い反省と謝罪の意は、パトリック選手も十分に理解し、受け入れましたことを、皆様にご報告させていただきます」とのコメントを掲載した。
なお、Jリーグは同日に、「本件は、スタジアム外で発生した事象であり、Jリーグによるクラブへの処分はありません」とし、処分なしの決定を発表した。