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J2降格の清水、小林新監督が初の取材対応…「J1で忘れていることを学ぶ場になる」

2015.12.12

就任後初めての取材に応じた清水の小林伸二新監督 [写真]=田丸英生(共同通信社)

 来シーズンのJ2降格が決定した清水エスパルス小林伸二新監督が11日、静岡市内のクラブハウスを訪れて報道陣の取材に初めて応じた。過去に3クラブをJ1に導いた実績を持つ昇格請負人は「自分はどこへ行っても『上げてほしい』という話が多く、監督業としてはすごく素敵なこと。すごく可能性があるクラブで素晴らしいご縁をいただいた気がして、引き受ける決断をした」と心境を語った。

 徳島ヴォルティスを率いた今シーズンは明治安田生命J2リーグで14位に終わり、シーズン終了前の11月12日に退任が発表された。「徳島のリリースが流れて数日後に相談を受けた。モンテディオ山形を4年、徳島を4年と8年(監督を)やっているので、そろそろ福岡に帰ろうかなと思っていた。55歳になるが、こういう時にオリジナル10のクラブからオファーをいただくのはありがたいこと。監督業から少し離れて勉強することも考えたが、勉強したからと言ってオファーがあるかは分からない。やれるうちに現場で経験しながら、市場(価値)があるうちにもっとチャレンジできれば素晴らしいこと」と就任決意までの経緯を説明した。

 清水は昨年7月にアフシン・ゴトビ監督を解任し、今年8月には大榎克己監督が辞任。さらにシーズン終了をもって田坂和昭監督も身を引いた。1年半で4人目となる新指揮官は、ここ数年の清水について「いいサッカーをしているが、結果につながっていない。1シーズンを一人の監督や同じメンバーで戦うことにならず、すごく難しいサッカーになったのでは」と率直な印象を口にする。

 まず求められるのが、今シーズンJ1ワーストの65失点を喫した守備の立て直しだ。この点に関しては「データを見るとクロスからの失点が多いので、そこを早めに直さないといけない」と指摘。さらに「影響力のある選手をポンと入れてサッカーが変わるわけではない。今の選手をどう変えていくかが大事。うまい選手が走れるようになったらもっと強くなる。走ることはその選手の質を上げることになる」と、豊富な運動量をベースにして意識改革に取り組むことを強調した。

 小林監督は2001シーズン途中に就任した大分トリニータを皮切りにセレッソ大阪、山形、徳島と合わせてJ1通算223試合、J2通算245試合で指揮を執ってきた。特筆すべきはJ2で02年の大分、08年の山形、13年の徳島と限られた戦力のチームに堅守を植え付けてJ1昇格を勝ち取った点だろう。伝統的に攻撃サッカーの色が濃い清水では「データを見るとサイドからのクロスで点は入っているが、縦パスが入って中央を破る得点がない。ポゼッションをしながら裏を取るダイレクトプレーを忘れないことで、必ず点を取れるようになる。守備をしっかりする監督というイメージが強いんだけれど、そういうことも少し描いている」と構想の一端を明かした。

 一方、J1では通算55勝56分け112敗と苦い経験をしてきた。森島寛晃や西澤明訓を擁した05年はC大阪を最終節まで優勝争いに導いたが、翌年はシーズン途中で解任されてチームもJ2に降格。11年の山形、昨シーズンの徳島はJ1昇格後に最下位に沈んでいる。だが、清水での来シーズンは一年でのJ1復帰だけでなく、当然その先も見据えている。

 J2から昇格一年目で優勝した柏レイソルガンバ大阪、上位に定着したサンフレッチェ広島FC東京の例を引き合いに出し「1年間、ものすごく苦しいJ2の戦いをした後のJ1は、皆さんのデータにもあると思う。厳しいリーグですけど、ものすごく力をつけられる。ひょっとしたらJ1で忘れていることを学ぶ場になると思う。それがおそらくJ1に上がった時に大きな力を発揮する」と力説する。

 初のJ2に臨むサッカー王国の名門には、多くの注目が集まる。「当然、勝負ごとだから負けることもある。でも、負け方というものがある。そこはこだわりたいと思っていて、次につながるようなゲームをしたい」。屈辱的なシーズンで失ったプライドを取り戻すため、清水エスパルスが経験豊富な新監督の下で再出発する。

文・写真=田丸英生(共同通信社)

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By 田丸英生

共同通信スポーツ記者。ロンドン支局勤務。サッカーを中心にオールスポーツを取材

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