サンフレッチェ広島は20日に行われたFIFAクラブワールドカップ2015の3位決定戦で広州恒大を2-1で下し、大会を3位で終えた。試合後、FW佐藤寿人が取材に応じている。
広島は開始3分にいきなり先制点を喫する苦しい展開となったが、70分に途中出場のドウグラスが同点ゴールを決めると、83分にドウグラスが逆転弾を挙げ、クラブW杯3位を掴みとった。
記者から“世界3位ですね”と問われた佐藤は「まあ、世界3位とは思わないですけど(苦笑)」と謙遜したが、「クラブW杯では前回の5位を上回ることができたし、何より今日はアジア王者に対してしっかり勝つことができた。ちょっと立ち上がりは褒められた感じではなくて、少なからず相手の圧力にビビっていた部分があったんで、そこはチームとして反省材料だと思う。そこから少しづつ自分たちの形にもっていけた中で、チャンスも多く作れましたし、勝利に値する内容だったと思います」と満足感を示した。
先発出場し、58分までプレーした佐藤は、無得点に終わったものの前半には何度かゴールに迫るシーンを作った。「ゴールの匂いがしましたし、『入ったかな』と思ったヘディングがGKにビッグセーブされてしまって悔しいですけど、自分らしさは出せましたし、チームとしてこの難しい試合でしっかり勝てました」と悔しさを見せつつも、改めて勝利を喜んだ。
また、「途中ちょっと(決勝戦を控える)リーベルのサポーターが不思議な雰囲気を作ってくれましたけど、2012年の時もコリンチャンスが同じような雰囲気を作ってくれて経験済みなので、あの時と似てるなと思って(笑)。とにかく3位という形で大会を終えることができて、最後に勝ってこの大会を締めくくることができたのは本当に大きいかなと思います」と試合中のエピソードを明かしている。
来季はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で再び広州恒大と対戦する可能性も考えられる。佐藤はこの勝利が自信に繋がるとしつつ、「今日の広州が本来の姿ではないと思うんで、中2日の連戦で多少疲れはあったと思いますし。自分たちのほうが疲労はあったと思うんですけど、向こうはそのままのメンバーで、自分たちはフレッシュなメンバーで、総合力という意味では来シーズンのACLにつなげていけるのかなと思う」と自身の見解を述べた。
1点を追いかける中でベンチへと退き、逆転勝利を見守った佐藤は、「とにかく何でもいいから同点に追いついてPKに持ち込んでくれと思っていたら、もう一点入ってくれたんで、これ以上ない勝ち方だったと思いますし、本当に全員の力で勝ち取ってきた3位という結果だと思う。そこに対しては胸を張りたいです」と語ると、「ただ、結果は出し続けなければいけないと思うんで。天皇杯もありますし、サポーターが横断幕で掲げてくれていたんですけど、16番のヤマ(山岸智)と一緒に星を増やすというところが天皇杯でやっていきたいです」と続け、ジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド千葉)のジュニアユース時代からの盟友である山岸とタイトルを勝ちとりたいとの思いを明かした。
「ジュニアユース時代の1年と3年という関係からですし、広島でまた一緒になってタイトルも手にして。間違いなく今シーズンの優勝の立役者だと思うんで。試合数やプレー時間の数字ではなくて、あの川崎フロンターレ戦の1点がなければ、僕たちは今、ここにいないんで。そういう意味ではヤマの限られた中で結果を出すということは、非常にこのチームにとって大きなことですし、何より今この大会を3位で終えることができるのは、あのヤマの1点があるからなんで。そのためにも最後まで、天皇杯をなんとしても勝ち上がって、ファイナルの舞台で今シーズン最後まで勝って終えられるように、あと3試合死ぬ気で戦っていきたいと思います」。
そして、大会3位となったことで贈られる賞金3億円の使い道については、「選手にも分配されるんで(笑)。サッカースタジアムですかね。スタジアムができるんだったら、自分たちの賞金は返上してもいいくらいの気持ちはあります。ただ、お金がなくてできない感じじゃなくて、なかなか話が前に進まないから、そこは声をあげ続けていくしかないですけど、今大会で自分たちがやってきたものはいろいろな人たちの考えを変えることもできると思うんで。自分たちが欲しいというわけではなくて、広島の子どもたちや将来広島でプレーする選手とか、いろいろな観点から見て必要だと思います。監督が、そこまで考えなくていいんじゃないかというくらい熱い思いを持っているんで、そういう思いをなるべく皆さんに記事にしていただいて、発信していただいて、いろいろな方々の考えを変えていただきたいなと」とサッカースタジアム建設への思いを語った。