22日に行われた『熊本地震復興支援マッチ』のロアッソ熊本vs水戸ホーリーホック。未だに地震の影響が色濃く残るうまかな・よかなスタジアムでの試合開催が困難なため、日立柏サッカー場を舞台として繰り広げられた熊本の“ホームゲーム”は、少しでもこの一戦を盛り上げようと、普段は両チーム以外のクラブをサポートしているであろうサッカーファミリーが大集結。募金するともらえる赤いビブスを着用されている方も多数いらっしゃったことで、普段は黄色く染まるスタンドがロアッソカラーの真っ赤に染まり、個人的にも過去に味わったことのない温かな雰囲気にスタジアム中が包まれる、忘れられない1日になりました。
そして、この特別なゲームに確かな彩りを加えていたのが青を纏った水戸サポーター。「ロアッソ熊本に再び逢えたことを俺達は嬉しく思う! これからも支援し続けるぞ! がまだせくまもと」という“ダンマク”をゴール裏に掲出した彼らは、試合前から幾度となく「ロアッソ熊本」コールで相手のサポーターを、試合中はいつものチャントで自らがサポートするピッチの青い選手を勇気付け、試合後には再び「ロアッソ熊本」コールを繰り返すなど、自らの役割を120パーセント以上にまっとうし、Jリーグの素晴らしさを我々に改めて伝えてくれました。元々、水戸サポーターはJ屈指のアクティブ集団であり、2004年から2007年まではアウェイゲームで流しそうめんをやったり、出店を出したり、ゲーム大会を開いたりという『納涼漢祭り』を敢行(笑)。当時は一部のメディアで大々的に取り上げられ、そのハチャメチャぶりが話題になったこともあったほどです。「週末の試合を目いっぱい楽しんでやれ」という姿勢を、今でも強く感じさせるサポーターだと思っています。今節のカマタマーレ讃岐戦はアウェイゲーム。さすがに『納涼漢祭り』は開催されないと思いますが(笑)、讃岐には昨年まで2年間に渡って水戸のエースとして活躍していた馬場賢治も在籍しているため、因縁も十分。そんな水戸サポーターに敬意を表し、今回はアウェイから勝ち点を持ち帰る「0」を予想します!
赤嶺真吾のホーム初ゴールで愛媛FCに逆転勝利を収め、とうとうJ1自動昇格圏内の2位へ浮上したファジアーノ岡山。今シーズンは赤嶺、豊川雄太と攻撃陣に即戦力を補強し、ここまでリーグトップタイの21ゴールを叩き出すなど、昨シーズンの課題でもあった決定力不足が解消しつつあるのは間違いありません。その好調をキープしているチームの中で、MVP級の活躍を見せているのが、試合によって左右両サイドのウイングバックを高水準でこなす片山瑛一。ここまでJ2のランキングトップとなる7アシストを記録しており、前節の愛媛戦でも先制点の起点となるボールを放り込み、赤嶺の決勝ゴールもアシストするなど、主力の座をがっちりとつかんでいます。
その片山の特筆すべき武器はリーグ屈指のロングスロー。前述した愛媛戦の先制点につながる“放り込み”はロングスローによるもので、赤嶺のゴールも片山のロングスローをそのまま頭で叩き込んだもの。第4節の水戸戦でも岩政大樹の先制ゴールを“遠投”でアシストしており、岩上祐三や藤田直之クラスのロングスローワーぶりは、J2の中でも際立っています。ただ、もちろん足でのアシストも積み重ねているからこそのランキングトップであり、本人も「ワイドになったことで、より自分の強みを生かすことや、得点チャンスに関わっていく回数を増やしていくことを、さらに自分の中で責任感を持ってできるようになってきています」と手応えをつかんでいる様子。チームの指揮を執る長澤徹監督も「しっかり戦える選手であり、走れる選手ですが、まだまだ課題も多いですし、本人にも高い要求をずっと突き付けているので、ここからまだ成長してほしいと思います」と厳しい視線を送りながらも、期待を寄せていることが窺えます。
岡山が今節で相見えるのは、前節で終盤に先制点を許しながら、ブルーノ・メネゲウのボレーで何とか追いつき、勝ち点1を拾ったセレッソ大阪。J2きってのタレント集団が相手ということもあって、片山にとってもその実力を示すには格好の舞台となりそうです。リーグ戦における過去5度の対戦では1分4敗と非常に相性の悪い相手ではありますが、今回は両チームの現状も加味し、岡山の勝利を見込んで「2」で勝負したいと思います!
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。