ここまで9勝4分7敗と白星先行での8位と、J2への昇格シーズンで一定以上の健闘を見せているレノファ山口FC。JFL時代から継続している攻撃的なスタイルが注目を集めている中で、大卒2年目のシーズンを迎え、左サイドバックとして攻守に躍動している香川勇気の存在が光っています。
高校選手権で“ダブルブルドーザー”を擁して日本一に輝いた滝川第二高校時代は、「テクニックのある中盤の選手」というイメージの強かった香川ですが、進学した阪南大学ではボールを大事にしたいチームの方針もあり、センターバックへコンバート。同ポジションの他の選手と比べてもそこまでサイズはないものの、正確な左足のキックを武器に自らの価値を高め、2015年にはJ3に昇格したばかりの山口へ加入。序盤戦はなかなか出場機会がありませんでしたが、夏過ぎから完全に左サイドバックのレギュラーに定着すると、そのままシーズン終盤まで定位置を譲らず。劇的な優勝を達成した“とりスタの奇跡”もピッチで経験するなど、1年目からいきなりフル稼働。J2デビューシーズンとなる今シーズンも開幕戦から試合出場を重ね、第13節の愛媛FC戦ではJリーグ初ゴールも記録。今後のさらなる成長が望まれている期待のレフティです。
前節の清水エスパルス戦は、その香川が累積警告で出場停止となってしまい、チームも清水に4失点を献上しての完敗と、散々な結果に終わってしまいましたが、GKの一森純、右サイドバックの小池龍太、センターバックの北谷史孝と並んで、ほとんどメンバーが固定されてきた山口のディフェンスラインに香川は欠かせない存在であり、今節での復帰が待たれていることは言うまでもありません。前節も水戸ホーリーホックと引き分け、現在2試合未勝利のモンテディオ山形は、右サイドに10番を背負った技術の光る伊東俊を配しており、失点がかさんできている山口にとって、ここをきっちり抑えられるかどうかが重要なポイント。香川と伊東のマッチアップにも注目しつつ、久々に山口の攻撃力が爆発する予感を「2」に込めたいと思います。
7勝3分10敗の10位。ここ数シーズンの最終順位を考えると、悪くない成績で推移してきている今シーズンのFC岐阜。そんな状況の中、ラモス瑠偉監督の信頼を獲得し、チーム最多の出場試合数と出場時間を誇るなど、最終ラインで奮闘し続けている阿部正紀の存在を忘れる訳にはいきません。近年力をつけてきている東京の大成高校を卒業後、東京国際大学へ進学した阿部。その大学時代に水戸でも指揮を執った経験を持つ前田秀樹監督に認められ、1年生の頃からコンスタントに出場機会を得ると、4年時にはキャプテンとして創部以来初の2部優勝と1部昇格に大きく貢献。その活躍もあり、練習生扱いで参加した岐阜のキャンプでプロ契約を勝ち獲り、Jリーガーとしての道を歩み出します。
迎えたルーキーイヤーも開幕スタメンに抜擢されると、フィールドプレーヤーでは絶対的中心の高地系治に続く、チーム2番目となる37試合に出場。当時センターバックのコンビを組むことの多かった木谷公亮(現・サガン鳥栖コーチ)が「見てくださいよ、アイツのサッカー選手としてのオーラのなさ」と笑っていたのが印象的ですが、しっかりチームの主力の座を確保してみせました。今シーズンは開幕2試合こそベンチスタートとなったものの、2試合8失点という守備陣の崩壊を受けてシーズン初先発となった第3節のギラヴァンツ北九州戦で完封勝利に貢献。以降は全試合にスタメンで起用されており、ここ3試合は右サイドバックでも安定したプレーを披露しています。
前節のロアッソ熊本戦も、阿部は“シャペウ”で田代雅也のゴールをアシストしましたが、彼が交替でベンチに退いた88分以降にチームは2失点を喫して敗れるなど、図らずもその存在がクローズアップされる格好に。昇格プレーオフ圏内をキープしている今節の対戦相手の京都サンガFCが、ここにきて2連敗とやや足踏みの続いている状況も考慮し、今回は7試合連続で勝利のないホームゲームで、岐阜が阿部を中心に意地を見せるのではないかという予想から、「1」で勝負したいと思います。
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第21節
2016年7月3日(日)18時キックオフ
モンテディオ山形vsレノファ山口FC(NDソフトスタジアム山形)
■明治安田生命J2リーグ第21節
2016年7月3日(日)19時キックオフ
FC岐阜vs京都サンガFC(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)