J2で首位を走る札幌は敵地で2位C大阪と対戦する [写真]=Getty Images
今節からいよいよ2巡目に入るJ2リーグ。“昇格”というシンプルかつ明確な目標を掲げて戦うこのリーグの前半戦を制したのは、1試合消化が少ないにも関わらず、第13節から首位をキープし続けてきた北海道コンサドーレ札幌。そして、そのチームを率いるのは、クラブ在籍18シーズン目となる四方田修平監督です。
フランスW杯に出場した日本代表でスカウティングを担当した縁から、1999年に岡田武史監督に誘われる形で北の大地へ降り立った四方田監督。当初はトップチームのアシスタントコーチを務めていましたが、2002年からU-18のコーチを2年間務めると、2004年にU-18の監督へ就任。以降はトップチームの監督に指名される2015年7月まで、12年以上も高校年代の選手たちを指導し続け、30人以上の選手をトップチームに輩出。2012年にはJユースカップ選手権で優勝を果たして日本一へ輝くなど、育成と結果の両面で大きな成果をクラブへもたらしてきた指導者です。さらに、現在の札幌にはU-18時代に四方田監督の指導を受けた選手が実に12人も在籍しており、横浜FCを5-2で粉砕した前節も、スタメンの半数を超える6人の教え子がピッチに立ちました。ある意味では理想的なチームビルディングの形で、堂々とJ2のトップを快走していることは、もっと評価されるべきトピックスであると思っています。
今節のゲームは、2位につけているセレッソ大阪と激突する大一番。首位攻防戦という側面と同時に、この一戦は育成型クラブとして似たようなフィロソフィーを有してきながら、今は育成からトップチームへのつながりで考えると、真逆に近いアプローチを取っているように見える両者の“育成力”が問われる90分間でもあるはず。そろって育成組織出身である山口蛍と深井一希というボランチ対決にも注目しつつ、ここは若い“四方田チルドレン”たちを中心に老獪な戦い方を披露してきた札幌の勝負強さがC大阪を飲み込むと予想し、「2」を推したいと思います。
アウェーに乗り込んだ前節のツエーゲン金沢戦で引き分け、ようやく連敗を「4」でストップした15位のカマタマーレ讃岐。そのゲームで今シーズン3度目のスタメン出場を果たし、勝ち点1獲得に貢献した綱田大志は、在籍10シーズン目を数えるチーム最古参。今や讃岐の四国リーグ時代を知る唯一の選手です。Jリーグ参入を目指し、チームが「カマタマーレ讃岐」という名前に生まれ変わったのが2006年。その翌年に鹿屋体育大学からルーキーとして加入した綱田は、すぐに欠かせない戦力としてフル稼働の活躍を見せ、2度の四国リーグ優勝を経験。2010年に讃岐への改称後では3度目の挑戦となった地域決勝大会でも全6試合にフル出場を果たし、悲願のJFL昇格に大きく貢献します。そして、挑んだJFLのステージでも主力選手として3シーズンを過ごし、鳥取と対戦した2013年のJ2・JFL入れ替え戦でチームが歓喜のJリーグ参入を決定させた瞬間をピッチで迎えるなど、クラブが辿ってきたJリーグへの軌跡をすべて体感している、まさに“讃岐の生き字引”的存在と言っても良いでしょう。
ミックスゾーンで彼から最後に話を伺ったのは、フクアリでジェフ千葉に敗れた2013年の天皇杯2回戦。羽中田昌さんが監督を務められていた時代に、私が一度取材で訪れた土のグラウンドの話題を振ると、「もうあそこは使っていないんですよ」と笑いながら、「結果を出すことによって練習場や環境、周りの観客も変わってきていることを、一番自分の中で感じています」と続けた言葉が強く印象に残っています。あれから3年の月日が経ち、クラブもシビアな入れ替え戦を経験しながらもJリーグの舞台で戦い続けている中、綱田も確実にJリーガーとしての足跡を刻み続けています。
今節は千葉を2-1で下し、10位に浮上した愛媛FCと激突する“四国ダービー”。過去の対戦成績は1分4敗と、讃岐はまだ一度もダービーで凱歌を揚げたことがありませんが、これまでにクラブにとっての数々の“初体験”を目にしてきた綱田が、このタイミングで出場機会を増やしているのは、讃岐にとっては何かのタイミングなのかもしれません。ということで、今回は“タイミング”を重視して、綱田のダービー初勝利、すなわち讃岐の白星を予想する「1」で勝負したいと思います!
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第22節
2016年7月9日(土)19時キックオフ
セレッソ大阪vs北海道コンサドーレ札幌(キンチョウスタジアム)
■明治安田生命J2リーグ第22節
2016年7月10日(日)18時キックオフ
カマタマーレ讃岐vs愛媛FC(Pikaraスタジアム)
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