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FC東京をもっと強くする…クラブ愛あふれる“東京育ち”の大砲、中央大FW矢島輝一

2016.08.05

今季から特別指定選手としてFC東京に登録されている中央大FW矢島 [写真]=平柳麻衣

FC東京以外、自分にはないと今は思っている」。FW矢島輝一が抱くFC東京への想いは、今も変わらない。

 FC東京U-18からトップチーム昇格を果たせず、中央大学に進学して3年目を迎えた今季、矢島は2016JFA・Jリーグ特別指定選手として、“古巣”に戻ってきた。学業はもちろん、中央大サッカー部や大学選抜の活動と並行しながら、FC東京U-23の一員としてここまで明治安田生命J3リーグ戦4試合に出場し、1得点を記録。「自分はそんなにタフな選手ではないけど、東京でプレーできるチャンスがあればどんな状態でも来たいし、何かを残して帰らないといけないと思っている」と、強い意欲をみなぎらせている。

 186センチ、82キロの体格を誇る矢島は、高さや当たりの強さはもちろん、ボールキープ力やシュートの決定力を武器とし、ゴール前に飛び込んだ時の迫力は十分。先発でJリーグデビューを飾ったJ3第1節のSC相模原戦では、「何もできなかった」と苦戦したが、第2節のFC琉球戦で早速J初ゴールをマークした。

 4試合目の出場となった第19節のガイナーレ鳥取戦では、ある程度の手応えも感じた。平日は授業や中央大での練習があるため、FC東京に合流している時間は短く、チームメートとの連係不足は否めない。鳥取戦も、前半こそ味方とのコンビネーションが合わず、ストレスを感じながらプレーしていたが、矢島はその状況を自分で改善した。

「初めてJ3の試合に出た時は『チームのために』というプレーができなくて、自分は“置物”のような感じでした。でも、自分の特長を出すためにはコミュニケーションを取ることが必要なので、ハーフタイムに自分からユ・インス選手や林(容平)選手とかに話しかけたら、後半はハマって、何度か良い形でチャンスを作れたので、楽しくプレーできました」

 その鳥取戦は、相手がフェルナンジーニョとバルチ・ジュニオールを投入してから一瞬の隙を突かれて失点し、0-1で敗戦。個の能力が高い外国人選手との対戦は、関東大学リーグでは経験できないもので、矢島に新たな刺激を与えた。

「(鳥取の外国人選手に)試合中、すごいなと感心してしまったんですけど、自分がああいうFWになれれば、FC東京はもっと強くなる。FC東京には上手い選手が多いので、つないで、つないで、最後に自分がしっかり決めきれればいいなと思います」

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フル出場した鳥取戦は前線で存在感を示した

 矢島の憧れは、今も昔と変わらず、FC東京のトップチームだ。「高校の時はトップチームに上がれなかったけど、大学に入ってからもずっと憧れの存在だし、FC東京以外、自分にはないと今は思っている」。また、7月30日に行われたJ1・2nd第6節の新潟戦(1-0でFC東京が勝利)をテレビで見て、さらにその想いは増した。「終盤は本当に勝ちたいっていう気持ちがすごく伝わってきたし、ああいうプレーをすればお客さんも見に来てくれると思った。自分もそれを今の場所、J3で体現したい」

 FC東京のサポーターが矢島のさらなる成長に期待を寄せていることは、何度も名前をコールしていた鳥取戦の応援の様子からも見て取れた。「また応援してもらえることは、本当に幸せだと思う」。一度離れたことで、愛するクラブへの想いをより強くした東京育ちの大砲は、期待に応えるべくゴールを狙い続ける。

文=平柳麻衣

By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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