2016明治安田生命J1リーグ・セカンドステージ第9節
8月20日 19:00 サンフレッチェ広島 vs ヴァンフォーレ甲府(@エディオンスタジアム広島)
■サンフレッチェ広島 塩谷ら合流も先発に変更なしか、攻撃に一抹の不安あり
塩谷司がリオ五輪出場、水本裕貴と佐々木翔が負傷で長期離脱。主力ストッパーが全員離脱するという大ピンチの4試合を3勝1敗、6得点2失点で見事に乗り切った。この結果、年間3位の鹿島とは勝ち点「6」差まで肉迫。直接対決がもう終わっているため他力になってしまうことは否めないが、それでもチャンピオンシップ出場権に向かって首の皮一枚、希望をつないでいる。
そして塩谷はブラジルから戻り、リハビリを終えた水本がチーム練習に復帰し、14日に行われたサテライトリーグ湘南ベルマーレ戦で90分間プレー。その後のリバウンドもほぼなく、「試合に出場できる状態にある」と森保一監督も認識している。ただ、指揮官の常として、結果を出しているチームは簡単にはいじらない。森崎和幸と清水航平の両ストッパーは、確かに高さはないが粘り強く、森崎和の冷静さと清水の身体能力がうまくはまり、相手の圧力を凌ぎ、その前に位置する丸谷拓也の積極的なディフェンスと相まって、バランスも良い。塩谷と水本という大立者も、そう簡単に割っては入れない。
ただ、不安材料も決して小さくはない。この4試合で3得点1アシストとチームの攻撃を牽引してきたピーター・ウタカが前節の湘南戦で左太もも裏に筋肉の張りを訴えて途中交代。精密検査の結果は幸いにして内出血も見られず、肉離れには至っていないが、違和感があることは間違いない。トレーニングにも合流し先発の可能性もあるが、果たして指揮官はどう判断するか。アンデルソン・ロペスは練習での力を試合で発揮することができておらず、柴崎晃誠も5試合ゴールなし。シャドーの選手が具体的な結果を残せていない現状を考えると、攻撃陣にやや暗い影が落ちている。(紫熊倶楽部 中野和也)
■ヴァンフォーレ甲府 前節の完封勝利で調子上向き、広島本拠地では2008年から白星なし
年間順位14位対15位の顔合わせだったアルビレックス新潟戦を、2ndステージ初となる完封勝利で制し、降格圏との勝ち点差を「4」に広げてみせた。残留争いをさらに優位に進めるために、今年初の連勝がほしいところ。
今週のトレーニングでは、今月再加入したダヴィが主力組の1トップでプレー。本人も「ほぼ90分間できるんじゃないか」と、意欲をのぞかせる。これまで1トップだったドゥドゥはシャドーにまわる予定。「シャドーのポジショ二ングについて、まだ100%理解できていないところがある」(ドゥドゥ)だけに、二人を併用することでの守りのリスクを軽減するには、稲垣祥や橋爪勇樹といった選手の奮闘が欠かせないだろう。
佐久間悟GM兼監督は「ほとんどチャンスを作らせていなくても、ピーター・ウタカに一発捻じ込まれるのが、今の広島の強さ」と、得点ランクトップに君臨する相手エースに、最大限の警戒を払う。同時に、ウタカとアンデルソン・ロペスの守備の甘さは「狙いどころ」になると指摘したとおり、ロングボールを駆使しながら、チャンスをうかがうつもりだ。
現在広島には3連敗中。エディオンスタジアム広島に限ると、2008年を最後に勝利がない。また、川崎フロンターレ戦で痛めた左ひざの状態が思わしくない土屋征夫は欠場。ほかにも山本英臣、新井涼平、保坂一成など、万全なコンディションではない選手がいるだけに、ダヴィとドゥドゥの大暴れ、さらには相乗効果が期待される。(渡辺功)