5勝11分15敗。1つ上の順位につけるギラヴァンツ北九州とは1ポイント差の勝ち点26で最下位に沈むツエーゲン金沢。引き分けと負けを交互に繰り返しながら、7戦未勝利という状況で迎える今節のFC町田ゼルビア戦は、古巣対決となる太田康介が勝敗のカギを握っている気がします。
中央大学を卒業後、関東1部リーグに所属している埼玉SCでプレーしていた太田。草津のチャレンジャーズチームを経て、JFLの横河武蔵野FCで3シーズンをレギュラーとして過ごした彼が、2010年に加入したのが当時Jリーグ参入を目指していたJFL時代の町田。成績面の参入条件をクリアしていた加入初年度こそ、スタジアムの問題で昇格を見送ることとなったものの、翌シーズンにはピッチ外における全ての条件を揃えた上で、チームも3位に入って悲願のJ2参入を達成。この2シーズンの町田を主軸として支えていたのが太田であり、2012年には29歳にしてとうとうJリーグのピッチを踏みしめることになりました。ただ、町田はJ2参入初年度を最下位で終えることとなり、JFLへ無念の逆戻り。翌シーズンは大幅に出場機会を減らし、2014年に同じJ3の創設メンバーとなった金沢への移籍を決断した太田は、それでも新天地で再び躍動。J3優勝に大きく貢献し、ここでもクラブ初となるJ2参入をチームへもたらすことに成功します。
町田の昇格によって、今シーズンは太田にとっての古巣対決が復活。1度目の対戦となった第4節ではフル出場を果たすも、聖地・野津田で町田が2-1と勝利を飾っており、ホームの石川西部で迎える今回のリターンマッチに太田が懸ける思いは、現状のチーム状況も考えると並々ならぬものがあるはずです。とはいえ、町田も実は金沢同様に現在は7戦未勝利となっており、このあたりで負の連鎖を断ち切りたいところ。非常に予想の困難な一戦ではありますが、ここは太田の執念に期待して「1」で勝負に出ましょう!
8勝13分10敗と黒星先行も、得失点差は「+1」。7月にはエースの三島康平を松本山雅FCに完全移籍で送り出しながら、ここまで勝ち点37で14位につけている水戸ホーリーホック。そんなチームの中で西ヶ谷隆之監督もシーズン中盤から信頼を置いて起用している、白井永地と湯澤洋介の両サイドハーフが確かな存在感を放っています。
東京ヴェルディとホームで引き分けた前節の試合後、西ヶ谷監督に2人についてお伺いすると、「湯澤はスピードがあって相手のラインを剥がせる選手。“ソロ”で行ける選手というのはやっぱりJ2の中では必要ですし、ウチの中では凄く貴重な存在になっています。逆に永地はスピードはないけれども、しっかり相手の間で受けたり、ボックスのところでしっかりゲームを創れると。右でゲームを創って左で仕留めたりとか、左でソロで突破した部分から右でしっかり仕留めるとか、サイドアタックを含めた攻撃ができてきています」とのこと。元々柏レイソルの下部組織で育った白井は、的確なポジショニングと正確な技術に定評があり、湯澤はとにかくキレキレのドリブルが持ち味。2人のバランスについて湯澤本人は「僕らが考えなくても自然とバランスが取れているというか、永地はあまり自分で打開するようなタイプではなく、ボールをもらうのが上手い選手で、僕はどちらかと言うとサイドで張ったり、1対1でどんどん仕掛けたりする選手で、タイプがまったく異なる。逆にそれが良い感じになっているのかなという気はします」と手応えを感じている様子。東京V戦もこの2人からチャンスが生まれるシーンが少なくなく、白井はポスト直撃の惜しいシュートも放ちました。今の水戸の攻撃をこの両サイドハーフが牽引しているのは間違いありません。
今節の相手は現在公式戦6戦負けなしと好調をキープしている5位の清水エスパルス。9月3日に対戦した天皇杯2回戦ではリーグ戦の出場機会が少ない選手を多く起用した水戸に対し、ほぼベストメンバーが顔を揃えた清水が3-0で快勝を収めており、途中出場となった湯澤は「今年で一番、何もできなかった試合だと思います。今年対戦した相手で一番強いなと思いました」とその試合を振り返ります。ただ、続けて「あの試合は本当に悔しかったので、相手には栃木(SC)でお世話になった阪倉さんもいますし、そういう人の前で良いプレーをしたいですね」と気持ちを新たに。水戸ホームではスコアレスドローだったこのカード。今回は湯澤と白井が清水相手に躍動する可能性を信じて、「0」にマークしたいと思います!
文=土屋雅史
予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! サッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/top/)』にて、『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』が好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第32節
2016年9月18日(日)18時キックオフ
ツエーゲン金沢vsFC町田ゼルビア(石川県西部緑地公園陸上競技場)
■明治安田生命J2リーグ第32節
2016年9月18日(日)16時キックオフ
清水エスパルスvs水戸ホーリーホック(IAIスタジアム日本平)