リーグ戦第36節終了時点で、勝ち点78で首位に立つ札幌 [写真]=Getty Images
5シーズンぶりのJ1を目指してひた走る首位の北海道コンサドーレ札幌。前節はアウェーで愛媛FCと引き分けたものの、依然として3位のセレッソ大阪とは11ポイント差を保っており、最速で第38節での昇格が見込まれています。そんなチームを最後尾から支えているのが、今年の11月で37歳となる増川隆洋。実は第840回コラムでも彼の話題に触れているのですが、僕と同い年ということで(笑)、あえて今回も増川推しでいかせてください!
現在も大宮アルディージャでプレーしている播戸竜二とチームメイトだった兵庫の琴丘高校時代は目立った実績を残せず、大阪商業大学を卒業後もJリーガーを目指すものの、けがの影響もあって浪人生活を強いられた増川。練習生を経て、2003年にアビスパ福岡へ加入した彼がブレイクしたのは、ボランチから今や本職となったセンターバックへコンバートされた2004年のこと。このシーズンにJ1・J2入れ替え戦まで進出したチームでレギュラーを勝ち獲ると、翌2005年に名古屋グランパスへ移籍。年々着々と出場機会を増やしていく中で、2010年には田中マルクス闘莉王とのCBコンビでリーグ優勝を経験し、自らもベストイレブンを受賞。2014年からは2シーズンに渡ってヴィッセル神戸でプレーし、今シーズンから札幌へと完全移籍で加入することになりました。
第30節の京都サンガF.C.戦後、昇格争いに身を置く状況について伺うと、「刺激のある日々を過ごしていますし、やっぱり毎試合毎試合負けられないという想いでやっています。これがないと自分としても物足りない日々になると思うので、そういう意味ではすごくやりがいのある日々を過ごしているのかなと思います。もうちょっと長く頑張ってやりたいですね(笑)」と笑顔で話してくれました。自身にとって12シーズンぶりとなるJ2でのプレーについて尋ねた時に、「もう1回J1でやりたいという想いは強いです。去年までずっとJ1でやっていましたし、J1に上がってからも勝つという喜びを毎週味わえるようにやっていきたいと思うので、だからこそ1試合1試合にこだわって頑張っていきたいと思います」と一転して真顔で答えてくれたのが印象的でした。
今節の対戦相手にあたる東京ヴェルディは4戦未勝利の17位と、残留争いに片足を突っ込んでいる状況ゆえに、モチベーションも十分にアウェーの札幌ドームへ乗り込んでくることが予想されますが、札幌にとってその札幌ドームで戦った今シーズンのホームゲームは13勝2分と未だに無敗であり、さらに現在は8連勝中と圧倒的な強さを誇っています。今の好調について「まだまだこんなレベルで満足してはいけないと思うので、もっとチームとしても向上心を持っていきたいですし、自分としてもそういうことを伝えたいというところはありますね」と話す増川を筆頭に、チームに慢心する様子は微塵もなし。このゲームは「1」をオススメしたいと思います。
8勝11分17敗の19位。気づけば22位のツエーゲン金沢、21位のギラヴァンツ北九州と勝ち点3差というシビアな状況に立たされているカマタマーレ讃岐。今節の相手は17位でやはり残留争いに巻き込まれつつあるロアッソ熊本ですが、讃岐を率いる北野誠監督にとっては、この状況で思い入れのあるクラブとホームでの大一番を迎えることになります。
香川から越境入学した帝京高校で高校選手権優勝を経験し、日立製作所サッカー部を経て、京都で現役生活を終えた北野監督。引退後はその京都で下部組織のコーチを歴任していた彼が、2005年にヘッドコーチとして迎え入れられたのが当時九州リーグに所属していた熊本でした。現在は社長を務める池谷友良監督の下、1年で九州リーグ優勝とJFL昇格を成し遂げたチームを陰から支え、J2昇格にも大きく貢献した“北野ヘッドコーチ”は、クラブにとってJリーグ参入2シーズン目となる2009年に監督に昇格。指揮官としては1年で退任となったものの、熊本がアマチュアからプロへと変貌していく、まさに黎明期を支えた指導者として、チームの礎を築いた一人であることは間違いありません。
翌年の2010年に地元からのオファーに応える格好で、讃岐の指揮官に就任した北野監督ですが、当時のカテゴリーは熊本へ赴いた時と同様に地域リーグ。そしてここでも1年で四国リーグと地域リーグ決勝大会を制し、チームを悲願のJFL昇格に導くと、2013年にはJ2・JFL入れ替え戦に進出。ガイナーレ鳥取相手に1勝1分という成績を残し、就任4年目でとうとうJリーグの舞台までクラブを押し上げることになりました。
今年で7シーズン目を迎える北野監督体制下、何とかJ2残留を果たすためにも絶対に星を落とせない重要なゲームに臨む讃岐ですが、アウェーに乗り込んだ前節の北九州戦は原一樹にハットトリックを許し、0-3で完敗と守備の立て直しは急務。一方の熊本も前節はアウェーでFC町田ゼルビアに0-1で敗れており、お互いに連敗は避けたいところ。ここは今の双方の内容を比較しても大きな差はないと考え、「0」が濃厚という予想でいきたいと思います。
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第37節
2016年10月22日(土)14時キックオフ
北海道コンサドーレ札幌vs東京ヴェルディ(札幌ドーム)
■明治安田生命J2リーグ第37節
2016年10月23日(日)13時キックオフ
カマタマーレ讃岐vsロアッソ熊本(Pikaraスタジアム)
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