2015年よりJリーグとタイトルパートナー契約を締結し、日本サッカー界をサポートしている明治安田生命。契約から2シーズン目を迎え、『明治安田生命Jリーグ』の名もすっかり定着した。また、契約を結んだ2015年より、全国の各支社が地元のクラブチームと協力してJリーグの普及に努めている。その一例が小学生向けのサッカー教室だ。「従業員全員がサポーター」というコンセプトの下、サッカー教室を開催。今ではその活動が大きく普及して各支社が現役選手やJリーグ選手OBを講師に招き、未来のJリーガー育成に尽力している。
日本全国に支社を構える明治安田生命だからこそ実施可能な試みだが、これらの活動に加え壮大なビジョンを掲げているのが、三重県の四日市支社だ。今年9月、四日市中央緑地公園陸上競技場でサッカー日本代表として1998年のフランス・ワールドカップに出場した中西永輔さんら4人のJリーグOBを講師に招き、サッカー教室を開催した。三重県には中西さんをはじめ、現日本代表の浅野拓磨らを輩出してきた名門、四日市中央工業高校がある。さらに、Jリーグには三重県出身の選手が多い。その反面、三重県にはJクラブが存在しない。そこで、四日市支社は「三重県にJクラブ誕生を」という目標を掲げ、日々活動している。
「J1からJ3まで53チームも全国にあるのに、三重県にはJクラブがないんですよ。そこは少し残念なところではありました」。そう話すのは、明治安田生命の宮本勉四日市支社長である。
「Jクラブを三重県に誘致したいと考えています。現在は社会人リーグ(東海社会人リーグ1部)で、桑名を中心に活動するヴィアティン三重というチームと、鈴鹿を中心に活動している鈴鹿アンリミテッドFCがプレーしています。両チームは四日市支社管内のチームなので、社を挙げて応援しています。この応援活動は社員たちにとっても心に突き刺さっている部分が多くあるようです」と、地元チームの応援活動は社員全体へ浸透しているという。しかし、その目標を実現するには資金面や施設面で多くのハードルが存在する。
四日市支社がサッカー教室を開催し、東海社会人リーグの舞台としても使用される四日市中央緑地公園陸上競技場の客席数はわずか2000。クラブがJ3ライセンスを取得するためには、最低でも5000席を有するホームスタジアムを所有する必要があるが、三重県には規定を満たすスタジアムが存在しない。このままでは、仮にヴィアティン三重や鈴鹿アンリミテッドFCが結果を残し、Jリーグ参入の権利を得てもそれが認められることはない。そこで、三重県では現在「Jリーグ規定のスタジアムをわが街に!」の号令の下、サッカースタジアム建設へ署名活動が行われている。四日市支社もこの活動に協力し、現在までに約3万5000人の賛同を集めるに至った。さらに、スタジアム建設の後押しとなりそうなのが、2021年に三重県で開催される『第76回国民体育大会』だ。宮本支社長は、日本全国からトップアスリートが集結する祭典に乗じて、規定をクリアするスタジアムの誕生を目指しているという。
「まずはスタジアムを作らないと、今頑張っている三重県のチームがJリーグに上がったとしても『スタジアムがないからダメ』となってしまう。それを解消できる“最後のチャンス”と思っているのが、三重国体なんです。我々はそれまでに規定をクリアするスタジアム建設の署名を推進していくことが大切と考えております」
さらに、資金面でも光明を見せている。「クラブチームをサポートする企業が多くなることと、その企業に“三重県にJクラブがあった方が良いということを認識してもらうこと”が大事だと思います。社員たちもご縁がある企業に『年間3万円でクラブチームを応援していただけませんか?』とお願いしています。今後はさらに行政も動いてくれそうな気がしています」
とはいえ、ヴィアティン三重と鈴鹿アンリミテッドFCが所属するのは東海社会人リーグ1部。チームがJFLに昇格するには、まずリーグで上位に入り『全国地域サッカーチャンピオンズリーグ』で2位以内に入らなければならない。加えて、県内にはJライセンス認可のスタジアムもなく、資金もまだまだ大きく不足している。それでも宮本支社長の目標はただ一つ、「三重県にJクラブ誕生を」だ。