鳥栖のエース・豊田陽平 [写真]=Getty Images
マッシモ・フィッカデンティ体制になって2年目の今季、サガン鳥栖はタイトル獲得を目標に掲げている。今オフには積極的な補強を行い、原川力や小野裕二などの実力派若手から小川佳純、小林祐三といった優勝経験のあるベテランまでを獲得。昨季までのレギュラー陣もほぼ残留したことで戦力はさらに充実した。
戦術的には昨季から行っているボールを保持して主導権を握るサッカーを継続。その中で鳥栖の特徴でもある相手の背後を突いたり、前線で構えるエース豊田陽平の高さを生かした攻撃を織りまぜる。
昨季までキム・ミヌが務めた右インサイドハーフでの起用が濃厚な小川は「相手のシステムや相手のプレッシャーのかけ方によって、どこにプレッシャーをかけるか、どこでボールを受けるかがけっこう変わるポジションでもあるので、完全に慣れたとは言い切れない」と話しながらも、「監督がやろうとしていることは理解できている」とフィッカデンティ監督の戦術をピッチ上で表現しようとしている。
基本のシステムはこちらも昨季同様、『4-3-1-2』になるが、展開や出場している選手によって試合中に『4-4-2』へと変えるもの同じ。その中で誰と誰を組み合わせて1+1を2ではなく、それ以上のものにしようとする指揮官の采配に注目してほしい。
あえて不安点を挙げるとするならば守備。現時点でCBを務めるのは昨季も存在感を示したキム・ミンヒョクと新加入のフランコ・スブットーニという外国人2人だが、彼らがいかに守備のスイッチを入れるかが、鳥栖の堅守に関係してくる。
FW富山貴光は「(高橋)義希さんからの声が多いけど、守備のスイッチは前が入れてもいいと思う」と話し、後ろからの指示待ちではなく、前線主導で守備を仕掛けていく考えを示した。前線からの積極的なプレッシングが鳥栖の良さだが、昨年以上に積極的な守備が見られるかもしれない。キャプテンの豊田は「経験のある選手が入ってきてくれたことは大きいと思いますけど、鳥栖にフィットするかわからない。うまく進むようにはやっていますので、楽しみであり、不安ももちろんある中でしっかりやっていきたい」と話す。
豊田の言うように既存の選手と新加入選手の連係をさらに高める必要はあるが、十分にタイトルを狙える戦力が鳥栖に備わっている。
文=荒木英喜