4節を終了して2勝1分1敗の6位。開幕前はクラブ経営陣の辞任問題などで揺れていた状況の中、ここまできっちりと一定以上の結果を残し、上々の滑り出しとなった長崎。その好調を語る上で、JFL時代を知るクラブ最古参となった前田悠佑の存在を見逃す訳にはいきません。
筑前高校、西南学院大学と過去にほとんどJリーガーを輩出したことのない両校を経て、2007年に当時九州リーグに所属していたホンダロックSCに加入した前田。ルーキーイヤーはリーグ戦18試合出場12得点、2年目は17試合出場11得点という数字を残し、主力級の活躍を見せてチームをJFL復帰に導くと、全国リーグの舞台でも3シーズンに渡って堅実なプレーを披露し、着々とその実力を伸ばしていきます。そして、2012年には同じJFL在籍の長崎へと完全移籍。翌2013年にはチームの昇格に伴い、シーズン開幕戦でスタメン起用されたことで、28歳にしてJリーグデビューを経験。同時期に長崎へと赴いてきた高木琢也監督の信頼も厚く、ここ3シーズンはいずれもリーグ戦で30試合以上の出場を誇るなど、長崎にとってなくてはならない存在としてプレーし続けています。
プレシーズンのDAZNニューイヤーカップでは、自分のほぼ半分の年齢に当たるユース所属の高校生とディフェンスラインを組んでいた前田。「確かに32歳って言ったら、引退していてもおかしくないですよね」と笑いながらも、「僕はJリーガーになったのが遅かったので、まだまだJリーガーとしては“若い”ですし、ここからもっともっと成長できると思っているので、それをポジティブに捉えながら日々練習なり試合なりをやっています」とキッパリ。その言葉を証明するかのように、開幕戦を皮切りにここまでの4試合はいずれもスタメン出場。3節まではドイスボランチの一角を担っていましたが、前節の金沢戦では3バックの中央を任され、開始4分にはコーナーキッカーとして木村裕の先制弾をアシスト。目に見える結果という意味でも3試合ぶりの勝利に貢献しました。
今節の相手は現在2連敗中で18位に沈んでいる京都ですが、ここ2試合は今シーズンから加入した田中マルクス闘莉王がスタメンから外れており、彼が復帰するか否かが勝敗に与える影響も無視できません。それでも、今節のゲームは若いチームの中で確かな存在感を放っている前田の活躍を予想しつつ、アウェイ勝利の「2」でいってみたいと思います。
1分3敗の21位。なかなか今シーズン初白星の遠い金沢。1勝2分1敗の13位。前節の群馬戦でようやく今シーズンの初勝利を手にした町田。この両雄が金沢のホーム・西部緑地で激突する一戦には、鹿島のDNAを知る10代の2人がピッチ上で再会する可能性が秘められています。
186センチの長身ストライカー。鹿島ユース時代からその高さを生かした空中戦はもちろん、足元のテクニックや裏に抜ける速さも兼ね備えたオールラウンドタイプのフォワードとして、大きな期待を寄せられてきた垣田裕暉。ルーキーイヤーの昨シーズンは、いきなりデビュー戦となったJ1 2ndステージ第3節の名古屋戦でスタメンに抜擢され、61分までプレー。惜しいシーンにも顔を出すなど、悪くない初陣を飾ります。ただ、金崎夢生や鈴木優磨、赤﨑秀平が居並ぶフォワード陣のポジション争いには割って入れず、リーグ戦3試合で奪ったゴールはゼロ。今シーズンからは金沢へ期限付き移籍で加入し、若手の育成に定評のある柳下正明監督の下で再スタートを切っています。
ゲームコントロールと展開力に長けたミッドフィルダー。鹿島ユース時代はボランチ、1トップ下、サイドハーフと中盤のあらゆるポジションを高次元でこなし、日本一も主力として経験している平戸太貴。こちらも昨シーズンは小笠原満男、柴崎岳、永木亮太といった代表経験者が顔を揃えるボランチの熾烈なポジション争いを経験し、ナビスコカップではサイドバックでプロデビューを果たしたものの、リーグ戦で出場機会を得ることは叶わず、やはり今シーズンから町田へ期限付き移籍。情熱と知力を兼ね備えた相馬直樹監督の下で、プロ2年目のシーズンに挑んでいます。
垣田はここまでの4試合すべてで途中起用されていますが、まだ初ゴールを記録するには至らず。一方の平戸は開幕戦こそ83分から起用されるも、2節と4節はベンチでタイムアップのホイッスルを聞いており、2人ともここまではハッキリした結果を出せていない現状があります。それでも、ユースの同期で今シーズンは鹿島でプレーしている町田浩樹がリーグ戦やACLのほとんどの試合でベンチに入りつつ、U-20日本代表のドイツ遠征メンバーにも選出されており、それも刺激になっているのは間違いないはずです。金沢、町田とここまでは勝ち点に恵まれていない両チームの対戦ということで、なかなか展開の読みにくい90分間ではありますが、この一戦は2人の19歳がゲームに出場するかどうかもポイントに持ちながら、結果は痛み分けの「0」かなあと予想させてください!
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
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■明治安田生命J2リーグ第5節
2017年3月26日(日)13時キックオフ
ツエーゲン金沢vsFC町田ゼルビア(石川県西部緑地公園陸上競技場)
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