2アシストでチームを勝利に導いた齋藤学 [写真]=JL/Getty Images for DAZN
齋藤学は上機嫌だった。試合後、ミックスゾーンに現れた齋藤は、いつものように記者の質問に対して一つひとつ誠実に答える。そして囲み取材も終わりに差し掛かった頃、自らこう切り出した。
「今日、(この)リュックは後輩たちから(誕生日プレゼントに)もらった物なんですけど、負けたらもう使えないなと思ったんだけど、勝てたから、またこれを付けてきます!」
齋藤はこの日も、チームをけん引した。26分に緩急を付けて、ピンポイントクロスをゴール前のマルティノスの頭に合わせると、73分には金井貢史の逆転ゴールをお膳立て。2アシストの活躍に「僕がアシストしたことよりも、一人ひとりが走り切って球際で戦って、最後の最後までそういう姿勢を見失わなかったことがうれしい」と自らの活躍よりも、チームの変化を喜んだ。
「ピッチに立てていない選手たちも悔しい思いがある中で、(練習では)ずっと僕らの対戦相手みたいなこともしてくれている。そういう選手たちのためにも勝たないといけなかったし、勝つことで継続できていくと思うので、そういうものを見せられたことは良かった」
チームは今季、開幕連勝で波に乗るかと思われたが、第3節の鹿島アントラーズ戦を落とすと、引き分けを挟んでリーグ戦3試合で勝ち星から遠ざかった。そして0-2で終えた前節のセレッソ大阪戦後、悪い流れを断ち切るために選手同士でミーティングを行ったという。
ミーティングの詳細については「中身は言わないですけど」と煙に巻いたが、「意識的な問題を話し合ったんですけど、いい話し合いができたから練習での姿勢が変わったと思う。練習での厳しさはすごく大事だと思っているし、コミュニケーションも取らないといけない。セレッソ戦と今日の試合では本当に違った」と“勝利”という結果以上に手応えを感じたようだ。
そしてもう一つ、「そりゃあ、気にしないわけはないから。前半が終わった時にめちゃくちゃ頭が痛くて。なんでだろうね(笑)?」と、まるで子どもが戦隊ヒーローと対戦したかのような笑顔を見せた齋藤。昨年まで背番号10を背負い、キャプテンとして横浜F・マリノスを率いた中村俊輔とのマッチアップも楽しんだようだ。それでも「喜田(拓也)だったり、天野純が俊さんのボールを止めていて。昨年、バカスカ抜けられているのを見ているから、成長したなって思いました」とすぐにキャプテンの顔に戻った。
「僕自身、戦う姿勢は若い時に松さん(故・松田直樹)、(河合)竜二さんにずっと教えてもらっていた。今の若い子たちはあまり知らないので、僕が教えていかないといけない」
奇しくも、この日は“クラブ創設25周年”を記念する試合。スタジアム内には歴代のユニフォームや写真パネルが展示されるなど、改めてクラブの輝かしい歴史を知る機会となったが、偉大なる先輩たちが築いてきた伝統と背番号10を引き継いだ齋藤が刻む歴史は、まだ序章に過ぎない。
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By サッカーキング編集部
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