柏レイソルの下部組織出身である大島康樹 ©J.LEAGUE PHOTOS
クリスティアーノ、ディエゴ・オリヴェイラ、ハモン・ロペスを擁する柏レイソルが、まさかの得点力不足に陥っている。
前節の清水エスパルス戦、柏は圧倒的にボールを支配し、相手の倍以上となる16本のシュートを放ちながらも、そのほとんどが枠を逸れ、選手・サポーターは何度も頭を抱えた。第4節のベガルタ仙台戦と同じパターンの敗戦で、今季早くも4敗目。ホームゲームに限れば開幕から3連敗、その間わずかに1得点と、明らかなゴール欠乏症である。
ただし、このチーム状況を打破しようと、手薬煉を引いてチャンスを窺う若きストライカーがいる。プロ3年目の大島康樹だ。
大島が気持ちを高ぶらせるのには理由がある。昨季、ブレイクを果たした中山雄太が、今ではすっかりチームの主軸にまで成長した。手塚康平もまた、今年3月のルヴァンカップ第1節清水戦の活躍を機に出場機会を掴み取り、リーグ戦でも存在感を誇示し始めている。「アカデミー時代の同期2人の活躍に遅れを取るわけにはいかない」。そんな気持ちが日増しに強くなっているのだ。しかも、手塚と同じくチャンスをもらった3月の清水戦で、大島は前半の決定機を外し、「やっちゃいました。悔しいです…」と千載一遇のチャンスを逃したことを心の底から悔やんだ。だからこそ、「次に起用された時にはチームの勝利に直結する得点を決めたい」と並々ならぬ思いを抱く。
大島は柏U-12から育った生え抜きで、各年代で“エース”の称号を手にしてきたストライカーである。ダイレクトプレー、ワンツー、フリックなどを使って周囲の味方と連動して相手の背後へ抜け出すプレーや、味方のクロスに飛び込む動きなど、ゴール前の感覚は天性の才を持つ。
「僕はディエゴのようにボールをキープして持ち続けるタイプではないです。ワンタッチ、ツータッチではたいて、ボールの回りを良くして、前線のコンビネーションで崩すような形を作りたい」
大島は自分のプレースタイルを客観的に捉えつつ、攻撃のイメージをそう描く。
前節の清水戦後、中川寛斗は「中央のコンビネーションがない」ことを無得点に終わった原因の一つに挙げていた。したがって、コンビネーションを武器とする大島は、今のチームが不振脱却を図るうえで必要なピースとなる可能性がある。
日頃から居残り練習に励み、様々な形の得点パターンを反復している。地道な筋トレの甲斐もあって身体の強さも増し、直近の町田ゼルビアとの練習試合では、2得点と結果も残した。12日のルヴァンカップ第2節大宮アルディージャ戦では、どこかのタイミングでピッチに立つチャンスをもらうはず。
「自分が決めて勝つことしか考えていません」
100か0か。大宮戦への意気込みを口にする大島の言葉からは、そんな決意すら感じられる。得点という形で結果を残せば、間違いなく道は切り開け、ハモン・ロペス、武富孝介とアタッカーに負傷者が出ている今、次節のヴィッセル神戸戦の出場も見えてくるだろう。
昨年から今年にかけて、中谷進之介、中山、手塚と、若手の台頭が著しい柏。彼らの活躍に、次は大島康樹が続く。
文=鈴木潤
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By 鈴木潤