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【ライターコラムfrom柏】守備を安定させた中川寛斗の献身 ハモン・ロペス復帰でどうなる?

2017.04.27

横浜FM戦で活躍した中川 [写真]=JL/Getty Images for DAZN

 開幕ダッシュに失敗した柏レイソルだったが、明治安田生命J1リーグ第7節のヴィッセル神戸撃破に続き、前節は第8節終了時点で4位につけていた横浜F・マリノスを2-0で下して連勝を飾った。

 柏の復調は、紛れもなく守備の安定に要因がある。それまでのリトリートした守備は、3月15日のルヴァンカップ第1節・清水エスパルス戦を機に前線からのプレスへ回帰し、守備のスイッチを入れる第一ディフェンダーとしての役割を担う存在として中川寛斗が起用された。その清水戦以降、公式戦7試合4失点と明らかな改善が見られている。

「僕らの良い時は前から守備に入って、蹴らせてそれを回収するというサイクルができている。今日もそれができた」

 横浜FMに完封勝利を飾った後、中川はそう言ってチームの守備が機能したことを勝因に挙げた。

 そもそも今季、柏がリトリートした守備戦術を採用したのは、ハモン・ロペスをはじめ、クリスティアーノ、ディエゴ・オリヴェイという前線の強烈な外国籍選手の攻撃力を生かすためだった。やや引いた位置で守備陣形をオーガナイズし、相手を引き込んでからボールを奪い、素早く攻撃へ転じる。しかし、その守備の仕方が思いのほか機能せず、開幕3試合で6失点と苦しんだ挙句、先述したハイプレスへの回帰によって調子を取り戻したのだ。

 横浜FM戦では、開幕戦で負傷したハモン・ロペスが約2か月ぶりの復帰を果たした。今季の目玉の補強だっただけに、待ち望んだストライカーの復帰である。ただ、そうなると気になるのは、この先、ハモン・ロペスに中川と同等の“第一ディフェンダー”としての役割を求めるのか、そして求めた場合は、果たしてそれが機能するのかどうかだ。

ハモン・ロペス

横浜FM戦でのハモン・ロペス [写真]=JL/Getty Images for DAZN

 大谷秀和は次のように答える。

「ハモンも寛斗も特徴が違うし、どの選手にもできること、できないことがある。そこは選手に合わせて少しずつ変えていく必要がある。ハモンはチームのためにものすごく献身的にプレーをしてくれる。でも寛斗のように守備のスイッチを入れる役割を求めるのは酷かなと思うし、そういう部分は周りが支えながら、彼らが生きるような戦い方を見つけられればいいかなと思う」

 おそらく、下平隆宏監督はこの先もプレッシングをベースにした守備の仕方を大きく変えはしないだろう。大谷の言葉にあるとおり、中川と同等の役割をハモン・ロペスに求めるのは難しいため、戦い方を少々マイナーチェンジする必要性はあるかもしれない。

 ただし、堅守と言われたベガルタ仙台でその守備戦術を理解し、献身性を貫いた自信からか、ハモン・ロペスはハイプレスに伴う自分に与えられる守備の役割を前向きに捉えている。

「前線での守備に関しては、仙台でやっていた守備の意識とそれほど変わらずにやってくれればいいと、監督から言われています。自分が離脱してしまった間に戦い方が若干変わってきていますので、戦術的な理解を深めていかなければいけないというのはあると思います。ただ、前線からの守備に関してはさほど難しいという認識ではいません」(ハモン・ロペス

 ゴールデンウィークの突入を機にJリーグは連戦が増え、気候的にも暑さを増していく。中川一人に“第一ディフェンダー”の役割を任せるのはフィジカルにも大きな負担をかけるだろう。また仮に、中川を欠いた時に守備が機能しなくなるのでは、長いリーグ戦を勝ち抜いていくことはできない。

 柏の良い攻撃は、いずれも良い守備から始まっている。選手が入れ替わった中で、いかに守備のクオリティーを落とさないか。ハモン・ロペスの復帰によって攻撃力の増幅が期待される一方で、それ以上に彼の“守備”に、柏が上位へ食い込む鍵が隠されている気がしてならない。

文=鈴木潤

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By 鈴木潤

『柏フットボールジャーナル』などで執筆するフリーライター。柏レイソルを中心に、ラグビーなども取材。

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