33歳の金澤は2002年にJリーグデビューを果たし、今季で16年目を迎える [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
生き残った選手は29名中1名だった。
今、手元には大宮アルディージャの選手たちが並んだ2枚の下敷きがある。1枚は大型連休中、ルヴァンカップのベガルタ仙台戦を観戦した帰り道にNACK5スタジアム大宮近くのオレンジスクウェアで貰って来きた最新の2017年版。もう1枚は自分が新人デザイナー時代に制作した2005年版のものだ。
細部のデザイン変更はあっても、表は選手名鑑、裏は試合日程表という基本レイアウトはまったく変わっていない。こういう情報モノの印刷物はとにかく文字校正がハードだ。デザイン入稿する直前、同僚デザイナーと選手名の間違いがないように喧嘩寸前まで何度も読み合わせをして確認したので、いまだに05年全メンバーの顔と名前を記憶している。
当時の男しかいない仕事場にはトップグラビアアイドルだった安田美沙子や井上和香の水着ポスターが貼られ、デビュー直後のアークティック・モンキーズやカサビアンといった音楽が流れていた。もちろんまだスマホではなくガラケーの時代だ。ちなみに、06年ドイツW杯直前に日本で販売が始まり制作系の職場で瞬く間に広まっていったのが翼を授けるエナジードリンクのレッドブルである。
思えば遠くに来たもんだ。この12年間にみんな色々あった。安田美沙子や井上和香はすでに結婚して母親だし、自分も今は『プロ野球死亡遊戯』名義で主に野球のことを書くスポーツライターとして活動しているが、あの頃は無名の新人サッカーデザイナーだった。05年1月にサッカーDVDのジャケットやJリーグチームのポスターや販促物を手掛けるデザイン事務所に就職。入社してすぐに担当したのがJ1に昇格したばかりの大宮のポケット型カレンダーやチラシや下敷きだったというわけだ。
あれから12年……。2枚の下敷きの選手名鑑を見比べてみると、05年版で爽やかに笑っている選手たちの何人かは、17年版ではスタッフとしてチームに残っているケースが多いことに気付く。
14番のFW森田浩史(38)はジュニア監督。15番のMF斉藤雅人(41)はユースコーチ。17番のMF島田裕介(35)はジュニアコーチ。24番のMF橋本早十(35)もU-12コーチだ。顔写真も若者から立派なおじさんへ。ちなみに05年はコーチとして三浦俊也元監督の横で笑顔を見せていた渋谷洋樹が今のチームを指揮している。NHK BS『Jリーグタイム』の元キャスター宮崎瑠依さんに教えてもらった現場情報によると、渋谷監督のマスコミ対応は素晴らしく「取材に行く度に一つひとつの質問に対して、丁寧に分かりやすく説明をしながら答えてくれる神対応」だという。
それにしても、選手の入れ替わりが激しいサッカー界において「12年間」という時間は大きい。05年版と17年版の選手名鑑下敷き。その両方にいるのは『金澤慎』だけだ。つまり、05年版掲載の29名中で今もチームに残るのはたったの1名ということになる。
大宮ユースからのプロ契約第1号だった当時21歳の若手選手は、いまや33歳のチーム最古参のベテラン選手になった。プロ16年目、大宮の通算最多出場記録を保持するボランチ。174cmの小さな巨人は先日の浦和レッズとの“さいたまダービー”でキャプテンマークを巻き、相手エースの興梠慎三を最終ラインまで下がりマンマークにつくとチームの今季初完封勝利に大きく貢献した。
別に個人的な知り合いでも何でもないけど、この33歳金澤の渋い活躍にはテレビの前で誇らしい気持ちになった。長年ここでキャリアを積み上げ(※06年と07年の2年間は東京ヴェルディにレンタルでプレー)、「あいつが今も第一線で頑張ってるから、俺もまだ頑張ろう」と観客に思わせてくれるベテランの存在はクラブの宝だ。どんなに金を積んで補強しても、この手のストーリーだけは買えやしない。多くのアルディージャサポーターが金澤のプレーに勇気と元気を貰ったのではないだろうか。すべてのプロスポーツ選手は、同時代に生きたファンの代表なのである。
12年前から、世の中もサッカー業界周辺もあらゆるものは変わったが、今も変わらず金澤は大宮でプレーし続ける。そんな背番号23はまるで実家に帰ったらいつも必ず食卓に並んでいる、みそ汁のような存在だ。思い出の家庭の味で、いないと困るピッチ上の名脇役。
現在、得点力不足に悩みJ1最下位に沈むアルディージャだが、また近々“変わらない男”金澤慎の姿を見るためNACK5スタジアム大宮へ行こうと思う。
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